2024.10.01

耳の下のしこりは放置していても問題ない?しこりの種類や治療方法について解説

耳の下にできるしこりには、さまざまな種類があります。痛みを伴わないケースもあるため、放置している方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、耳の下にできるしこりは悪性の可能性も考えられるため、できるだけ早めに医療機関を受診することが望ましいとされています。

本記事では、耳の下にできるしこりの種類や治療方法について解説します。注意点や、何科を受診すべきかも紹介しているので、ぜひ病院選びの参考にしてください。

耳の下にできる良性のしこり

耳の下にできる良性のしこりの代表例は以下のとおりです。

頸部嚢胞(けいぶのうほう)

頸部嚢胞とは、皮膚内に袋状の組織ができ、その中に液体がたまったしこりです。触ると柔らかいしこりがあり、炎症が起きると痛みを伴います。
悪性腫瘍ではありませんが、大きくなったり痛みを伴ったりする可能性があるため早めに治療をすることが望ましいしこりです。

粉瘤(アテローム)

粉瘤(アテローム)は、角質や皮脂などが溜まってできる袋状の組織です。
良性の腫瘍で、表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれます。サイズは数mmのものから、10cm程度に大きくなるものまであります。

悪性ではありませんが、自然に治癒しないできものです。

初期の段階では特に問題はありませんが、細菌感染などで炎症を起こしたり化膿したりすると痛みを伴い、破裂すると独特のニオイを発します。
炎症がおさまって治ったように見えても、袋状の組織を取り除かない限り再発するため、早めに治療した方がよいできものです。

耳の下にできる悪性・悪性の可能性があるしこり

耳の下にできる悪性のしこり、もしくは悪性のしこりに病変する可能性のある症状は以下のとおりです。

リンパ節炎

リンパ節炎は、リンパ節がウイルスや細菌に感染し炎症を起こし、腫れと圧痛が起こる症状です。

耳の下(首の付近)にしこりができ、のどの痛みや鼻水・発熱を伴う場合もあります。
リンパ節炎そのものは悪性ではありません。
ただし、しこりが硬く2cm以上の大きさの場合は、がんの可能性もあるため注意が必要です。

耳下腺腫瘍

耳下腺腫瘍は、唾液腺にできる腫瘍です。唾液腺は、左右の顎の下にあります。
触るとしこりのような腫瘤がありますが、痛みがないケースがほとんどです。
耳下腺腫瘍は増殖が遅く、急激に大きくなることはありません。
良性であることが多い症状ですが、悪性(がん)に病変することもあるため注意が必要です。

耳下腺がん

耳下腺がんは、はじめにしこりのような腫瘤ができ次第に大きくなります。
症状が進行し、腫瘤が周りの組織に癒着すると、神経が圧迫され顔面神経麻痺を引き起こす場合があります。

以下のような症状が現れた場合は要注意です。

  •  ■顔の左右どちらかがうまく動かせない
  •  ■目をしっかり閉じられない
  •  ■口元から水がこぼれる
  • 通常、顔面神経麻痺は耳下腺がん以外の原因によるものですが、しこりがあり痛みを伴う場合は耳下腺がんの可能性も考えられます。

 

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耳の下にできるしこりの治療方法

耳の下にできるしこりの治療方法は以下のとおりです。

リンパ節炎

細菌感染の場合、抗生剤と抗炎症剤の内服、もしくは点滴で治療します。
通常は、1~2週間程度で回復します。

耳下腺腫瘍

耳下腺腫瘍は、薬で治療できないため外科手術が必要になります。
良性の場合でも徐々に大きくなり、悪性に病変する可能性もあるため、摘出するのが一般的です。

耳の前方から耳の後ろ、首の横のしわに沿ってS字に切開し、顔面神経を確認しながら、腫瘍を取り除きます。全身麻酔での手術が基本です。

頸部嚢胞

頸部嚢胞は、外科手術による嚢胞の摘出が一般的です。
炎症がある場合は、抗生剤などで腫れを抑えます。

嚢胞壁が薄いリンパ管腫の場合は、薬剤を注入する硬化療法を行う場合もあります。

粉瘤

粉瘤は薬で治療できないため、外科治療が行われます。

「くり抜き法」もしくは「切開法」という手術法で、組織をきれいに取り除きます。

耳下腺がん

耳下腺がんは、腫瘍と腺の部分切除、もしくは全摘出を行います。
顔面神経に転移している場合は、神経も切除し、神経移植を行うこともあります。
経過を見て、手術後に放射線治療や化学療法を行うケースもあります。

がんが転移している場合は、拡大手術が必要です。
耳下腺がんは、転移の仕方や再発のしやすさ、症状が進行するスピードが異なるため、症状にあわせた治療が行われます。

病名 治療方法
リンパ節炎 ・抗生剤と抗炎症剤の内服
・点滴
耳下腺腫瘍 ・全身麻酔による外科手術
頸部嚢胞 ・抗生剤などで炎症を抑えた後、全身麻酔による外科手術
粉瘤 ・局部麻酔による外科手術
・くり抜き法もしくは切開法で摘出する
耳下腺がん ・全身麻酔による部分切除、もしくは全摘出
・術後の経過次第で放射線治療や化学療法

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耳の下にしこりができたら何科を受診する?

しこりに痛みがあるのかないのかによって、適切な治療方法があります。症状に合わせて受診する病院を検討してください。

耳の下のしこりが痛い場合

耳の下のしこりが痛みを伴う場合は「耳鼻咽喉科」を受診しましょう。
耳の下が腫れる原因の多くは、耳下腺の病気です。

早い段階で適切な治療を行えば、重症化するリスクを抑えられます。
悪性の可能性もあるため、放置はしないようにしましょう。

耳の下しこりが痛くない場合

しこりに痛みがない場合は、「形成外科」を受診しましょう。
痛みがない場合は、粉瘤など良性のしこりであることが多いためです。

しこりを摘出するためには、外科手術が必須となります。
形成外科は外科手術を得意としているため、治療後の傷跡をできるだけ目立たなく縫合できます。

少しでも傷口を目立たなくするために、できるだけしこりが小さいうちに受診することをおすすめします。
当院では、悪性腫瘍が疑われる場合や全身麻酔が必要な場合は、提携している大学病院などを紹介しています。

耳の下にしこりができた際の注意点

耳の下にしこりができた際の注意点は以下のとおりです。

放置していても治らないケースが多い

耳の下のしこりは、放置していても自然に治らない症状が多いため、できるだけ早めに病院を受診しましょう。

本記事で紹介した症状のように、しこりの種類によっては大きくなったり、炎症を起こして痛みを伴ったりする場合もあります。

症状が軽い段階で治療を行えば、患者様の身体にかかる負担も少なく、完治も早くなります。

痛みがなくても悪性腫瘍の可能性もある

しこりに痛みを感じなくても、悪性腫瘍の可能性もあるため放置はしないようにしてください。

もともと良性のしこりの場合でも、悪性に転化する症状もあるため早めに医療機関を受診しましょう。

なかには、がんなどの大きな疾患の可能性もあります。
そのため、しこりに気づいたにもかかわらず、放置することはおすすめできません。

まとめ

耳の下に気になるしこりができた場合、できるだけ早めに耳鼻咽喉科もしくは形成外科を受診しましょう。

大きな病気が潜んでいる可能性もあるため、絶対に放置してはいけません。
当院では、患者様の容態をしっかり伺い、検査の結果と症状に合わせた治療を行います。

早めに治療をすることで患者様の負担も軽くなるため、気になるしこりやできものができた方は、当院へご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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足の付け根にしこりや痛みを感じる疾患は何?治療方法や注意点を解説

足の付け根のしこりに関連する疾患はさまざまで、良性のものもあれば命にかかわる疾患のものもあります。
そのため、放置せずに早めに医療機関を受診することが大切です。

本記事では、足の付け根にできるしこりに関連する疾患やその治療方法について解説します。

足の付け根のしこりにどのような症状があるのか知りたい方や、何科を受診すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

足の付け根(鼠径部)にできる良性のしこり

足の付け根にできる良性のしこりは以下のとおりです。

鼠経ヘルニア(脱腸)

鼠経ヘルニアは、腸などの臓器が外に飛び出す疾患で、一般的には脱腸と呼ばれます。

鼠径部にピンポン玉程度のふくらみが現れ、立っているときや力を入れたときに大きくなります。
横になったり、手で押したりすると引っ込むのが特徴です。

鼠経ヘルニアは放置していると症状が悪化し、鼠径部の痛みも増してきます。
脱腸したまま腸が詰まると腹膜炎を起こし、命にかかわる危険性もあるため治療が必要です。

Nuck(ヌック)管水腫

ヌック管水腫は、鼠径部にあるヌック管と呼ばれる場所に液体が溜まることでできるしこりです。
ヌック管は、本来1歳ごろまでに閉鎖する組織ですが、成人しても退化せず残っているケースがあります。
ヌック管水腫は女性に多く見られる疾患で、鼠経ヘルニアの症状とよく似ています。
大きくなったり小さくなったりと、大きさに変化があり、指で押しても鼠経ヘルニアのように引っ込まないことが特徴です。

動脈瘤

動脈瘤は、動脈の一部がふくれてこぶ状になった症状です。
動脈瘤が大きくふくらむと、こぶが目立つようになり、持続的な強い痛みを感じることがあります。

無自覚・無症状のまま大きくなり破裂すると、体内で大量出血し激しい痛みに襲われ、命を落とす危険もあります。
動脈瘤が破裂することで容態が急変し、一気に危険な状態に陥ることもあるため注意が必要です。

静脈瘤

静脈瘤は、静脈が伸びて数珠玉のように腫れあがる症状です。
症状はさまざまで、無症状の場合もあれば、痛みを伴う場合もあります。

静脈瘤は、ふくらはぎに発症することが多い症状ですが、足の付け根に発症することもあります。
足のむくみや、だるさが発症のサインです。
放置していても問題はありませんが、足の血管がボコボコと浮き出るため、見た目が気になる場合があります。

脂肪腫

脂肪腫は、皮下に発生する良性の腫瘍で、体のどこにでもできるしこりです。

はっきりとした原因はわかっていませんが、内容物は脂肪の塊で、肥満者に多いといわれています。
大きさは数mm程度のものから、10cm以上になるものまであります。

かゆみや痛みはなく、触ると柔らかいことが特徴です。
放置していても問題ありませんが、だんだん大きくなるため日常生活に支障をきたす場合があります。

粉瘤(アテローム)

粉瘤は、皮膚の下に皮脂や角質などの老廃物がたまった袋状の組織で、体のどこにでもできます。

初期の段階ではあまり目立たず、痛みも感じませんが、次第に大きくなったり独特なニオイを発したりする場合があります。
炎症を起こすと痛みを感じる場合もあるため、できるだけ早めの治療が望ましい腫瘤です。

足の付け根にできる悪性の可能性があるしこり

足の付け根にできる悪性の可能性があるしこりは以下のとおりです。

鼠径部リンパ節腫大

鼠径部リンパ節腫大は、リンパ節が腫れている状態のことを指します。
リンパ節が感染すると、炎症を起こし、痛みを伴います。
リンパ節腫大の考えられる原因は以下の3つです。

足の付け根にできたしこりの治療方法

足の付け根にできたしこりの治療方法を、症状別に紹介します。

鼠経ヘルニア(脱腸)

鼠経ヘルニアは、薬や運動療法では治療効果が得られず、自然に治癒することもないため手術以外に治療方法がありません。

鼠経ヘルニアは良性の病気ですが、長年放置すると嵌頓(かんとん)を引き起こし、緊急手術が必要になる場合があります。

そのため、身体への負担が少ない初期段階で治療することが大切です。

Nuck(ヌック)管水腫

ヌック管水腫は症状が軽ければ経過観察で問題ありませんが、子宮内膜症が関連している場合は治療が必要となります。

外科手術が必要で、鼠径部切開や腹腔鏡などの術式があります。
手術をすれば再発の可能性はほとんどありません。

動脈瘤

動脈瘤は、大きくなり破裂することで命に危険が及ぶため、予防のために切除しなければいけません。
破裂する危険性が低ければ経過観察となりますが、定期的に専門医を受診する必要があります。

静脈瘤

静脈瘤は、動脈瘤と異なり命にかかわる疾患ではないため、治療をしなくても問題はありません。
痛みがある場合や、見た目の問題から治療するケースがほとんどです。

治療方法は、外科手術や硬化療法、レーザーや高周波など多岐にわたります。
身体に負担の少ない治療方法を選択することが重要です。

脂肪腫

脂肪腫は、局所麻酔を行い外科手術で切除します。
内容物が液体ではないため、注射器などで吸い出すことはできません。

手術の際に取り残しがあると、再発するリスクがあるため完全に切除する必要があります。

粉瘤

粉瘤は、自然治癒せず、外用薬でも治療できないため外科手術が必要です。局所麻酔を行い、「くり抜き法」もしくは「切開法」という手術法で摘出します。

放置していると大きくなったり炎症を起こして痛みを伴ったりするため、早めの治療が最適です。
小さいうちに切除すれば、縫合した傷口も目立たずに済みます。

鼠径部リンパ節腫大

鼠径部リンパ節腫大の治療方法は、原因によって異なります。
自然に治るケースもありますが、炎症を抑える場合は、抗生剤や抗炎症剤を使用して治療します。
悪性の場合は、原因に合わせた治療をガイドラインに沿って行うのが一般的です。

症状 治療方法
鼠経ヘルニア(脱腸) 外科手術
Nuck(ヌック)管水腫 ・軽度の場合は経過観察
・子宮内膜症が関連している場合は外科手術
動脈瘤 ・基本的に外科手術が必要
・破裂の危険性がない場合は経過観察
静脈瘤 ・未治療でも問題なし
・治療を希望する場合は外科手術やレーザー治療など治療方法は多岐にわたる
脂肪腫 局所麻酔による外科手術
粉瘤 局所麻酔による外科手術
鼠径部リンパ節腫大 ・抗生剤や抗炎症剤
・悪性の場合はガイドラインに沿って治療

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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【粉瘤と粉瘤によく似たできもの3種類】見分け方と治療方法を解説

2024.08.01

首にできたしこりや腫れは病気?考えられる疾患と治療法を解説

首にできたしこりは、様々な疾患が考えられます。

そして痛みを伴わないしこりこそが、放置すると危険なしこりです。痛みがなければ、問題ないと考える人も多いですが、実際にはさまざまな病気が潜んでいる可能性があります。

特に、急激にしこりが大きくなった、痛みがない、押しても動きがない場合は、悪性腫瘍の可能性も否定できません。

そのため、首にしこりや違和感がある場合は、自己判断をせずに、早めに専門医に相談することが重要です。

本記事では、首にできるしこりの原因や症状、そして正しい治療法について詳しく解説します。

首のしこりについて

首にできるしこりとは、様々な原因によって首に塊ができることです。原因となる病気によっては、一つだけの場合や複数できることもあります。大きさもバラバラで、1cmにも満たない小さいものから10cmほどに肥大する大きなしこりまであります。

しこりは、耳の下やあごの下、首の前側、横側、後ろ側、鎖骨の上など、首のあらゆる部位に発生します。そして疾患の種類によっては、痛みや発熱、色の変色などが見受けられます。

首のしこりで考えられる疾患

首にできるしこりには、様々な疾患が考えられます。ここでは、首のしこりで多い代表的な病気について解説します。

  • ・リンパ節炎
  • ・粉瘤(アテローム)
  • ・唾液腺腫瘍
  • ・甲状腺腫瘍

 

特に首のしこりで注意が必要なのは、痛みを伴わないしこりです。
痛みがないと放置されがちですが、痛みがないしこりこそ、早期の治療が重要になります。

痛みを伴う 痛みを感じない
リンパ節炎 粉瘤
唾液腺腫瘍 甲状腺腫瘍

発生しやすい場所

疾患名 発生しやすい場所
リンパ節炎 首筋
粉瘤 首全体(全身)
唾液腺腫瘍 耳の周囲、顎の下
甲状腺腫瘍 のどぼとけ下

痛みを伴う疾患

首のしこりで、痛みが発生しやすい疾患について紹介します。

リンパ節炎

リンパ節炎とは、リンパ節が炎症を起こして、しこりのように腫れた状態を指します。

リンパ節とは、全身にある器官で細菌などから守る働きをしており、特に首や脇の下、脚の付け根で腫れやすいです。1cm未満のしこりは良性であることが多く、押さえると痛みを感じることが一般的です。しかし、1cm以上になると感染が広がっている場合があり、強い痛みを伴うためリンパ節炎は基本的に痛みを伴う良性の腫瘍と言えます。

つまり、しこりが2cm以上になっても、痛みがない場合は悪性の可能性があるため、早めに精密な検査が必要です。
違和感を感じたら放置せず医療機関に相談しましょう。

痛みがない疾患

ここでは、比較的痛みを伴わない疾患について紹介します。特に、痛みがない疾患に関しては、早期に治療が必要なことが多く注意しましょう。

粉瘤(アテローム)

粉瘤は、首や背中、顔にできやすいしこりですが、全身のどこにでもできる疾患です。皮膚に袋のような膨らみができ、その中に老廃物などが溜まっています。粉瘤は、自然に放置しても消えることはほとんどありません。粉瘤の大きな特徴は、中央に黒い点があることです。

この黒い点のように見えるのは、毛穴の皮脂が酸化したことによるものです。ほとんどの場合、良性の腫瘍であり、痛みがありません。

しかし、悪化して細菌感染を起こすことがあり、しこり部分が赤く腫れて痛みを伴うことがあります。粉瘤は、自然に小さくなることはなく、悪化や悪性への変異も懸念される疾患です。

また、しこりが大きくなった場合、傷跡が残りやすくなるので、早めに治療を行うようにしましょう。

唾液腺腫瘍

唾液腺腫瘍とは、唾液腺(唾液を作る組織)にできるしこりのことです。唾液腺には、耳下腺、顎下腺、舌下腺の4つがあります。

このしこりは、8割程度は良性であり、耳の周囲や顎(アゴ)の下に発症します。

主な症状は、基本的には痛みがなく、徐々に大きくなることです。しかし、急激に大きくなった場合や、痛みや顔に麻痺が出た場合は、悪性腫瘍の可能性があります。

また、良性であった場合でも再発しやすく、放置するとがんになることもあるため、完全摘出が推奨されている疾患です。

甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍は、首ののどぼとけ下部分にできるしこりで、大きくなるまで自覚症状がほとんどありません。そして初期の段階では、甲状腺機能に異常もなく、気付きにくい疾患です。

そのため、健康診断などの超音波検査で偶然発見されるか、触ってわかるほど大きくなった段階でようやく気付く人がほとんどです。

また、痛みや体調不良など自覚症状が少ないため、放置されてしまうケースが多いです。このしこりは、9割程度が良性であるため、心配しすぎる必要はありません。

しかし、悪性腫瘍の可能性も0ではないので、早めに病院で検査することをおすすめします。しこりが大きくなると、腫れや違和感を感じることがあります。

しこりの原因

しこりの原因は、疾患によって様々ですが、明確な原因が判明していないことがほとんどです。
ここでは、上記で紹介した4つの疾患の判明している原因と推測について解説します。

疾患名 原因
リンパ節炎 病原体の感染
粉瘤(アテローム) 不明(体質の可能性あり)
唾液腺腫瘍 不明(ウィルス感染・放射線被ばくの可能性あり)
甲状腺腫瘍 不明(遺伝の可能性あり)

リンパ節炎の原因は、病原体による感染です。病原体が体内に侵入すると血液を通じて、首などにあるリンパ節で炎症が起こります。次に、粉瘤の発生原因はほとんど分かっていません。皮脂の分泌量が多い男性の方ができやすく、体質によるとも言われていますが、はっきりとした発生原因は不明です。

唾液腺腫瘍は、ウイルス感染や放射線被ばくが引き起こしている可能性があると言われています。最後に、甲状腺腫瘍は男性より女性が多い傾向があるため、女性ホルモンや生理による作用が何らかの要因になっていると示唆されています。

いずれの病気も、明確な原因が判明していない場合が多いため、未然に防ぐことは難しいでしょう。

首のしこりや腫れには何科を受診する?

首のしこりや腫れを感じた場合、どの科を受診すべきかについて説明します。下記を参考に、症状や希望する治療に合わせて選択しましょう。

疾患名 診察科
リンパ節炎 耳鼻咽喉科
粉瘤(アテローム) 内科、形成外科、皮膚科
唾液腺腫瘍 耳鼻咽喉科
甲状腺腫瘍 耳鼻咽喉科、内分泌科

首にできる病気の治療は、一般的に耳鼻咽喉科の領域になります。そのため、首にしこりを見つけた場合、まず耳鼻咽喉科を受診するといいでしょう。しかし、病気の原因によっては、他の専門科を受診する方がよいケースもあります。

例えば、リンパ節炎や唾液腺腫瘍、甲状腺腫瘍は、耳鼻咽喉科を受診する方がいいですが、粉瘤の場合は形成外科や皮膚科が専門です。特に傷跡をきれいに治したい場合は、形成外科を検討するといいでしょう。また、甲状腺腫瘍の専門としては、内分泌科が最も適しており、精密な検査が必要になった場合、専門に検査が行える科に変更することで、専門的な治療を受けることが可能です。

首のしこりや腫れは多くの場合、早期発見と適切な治療が重要です。首に違和感を感じたら、迷わずにいずれかの診察科を受診しましょう。

治療法について

首のしこりには、一般的に下記の3つの治療法があります。

  • ・手術
  • ・くりぬき法
  • ・抗生物質などの服用

ここでは、それぞれの治療について解説します。

疾患名 治療方法
リンパ節炎 抗生物質等の服用
粉瘤(アテローム) 切開法、くり抜き法(手術)
唾液腺腫瘍 手術による摘出
甲状腺腫瘍 手術による摘出

手術

粉瘤と唾液腺腫瘍、甲状腺腫瘍の治療は、手術を行うことが一般的です。粉瘤はしこり部分が自然に小さくならないので、切開法による手術で取り除きます。大きさによっても異なりますが、多くの場合、日帰りによる手術ができます。また手術時間も短く、術後の社会復帰も早くできるでしょう。

唾液腺腫瘍は良性、悪性に関わらず、薬で治療はできません。そのため、全身麻酔による手術で摘出する必要があります。特に、悪性腫瘍が疑われる場合は、早急に手術が行われます。甲状腺腫瘍は良性であれば経過観察することが多いです。しかし、見た目的に気になる場合や痛みが出た場合、悪性が疑われる時は、手術を行って治療することが多いです。

くりぬき法

顔や首、腕など傷が目立ちやすいところにできた粉瘤を摘出する場合や、小さめの粉瘤を摘出する場合は、切開法ではなく「くり抜き法」を選択します。くりぬき法では、しこりの中心部分に小さな穴をあけ、溜まった中身を押し出して取り除く方法です。

傷跡は小さな穴だけになるので、縫合をしないで自然にふさがるのを待つため抜糸が不要です。くりぬき法は、傷が目立ちにくく、体への負担が少ない治療になりますが、通常の手術に比べて再発の確率が高いです。また、粉瘤の大きさや炎症を起こしている時は、くりぬき法による治療が難しい場合もあります。

抗生物質などの服用

抗生物質の服用による治療は、リンパ節炎が疑われるときに採用されます。リンパが腫れてしこりのようになっている場合、抗生物質などの薬で様子を見ることが多いです。一般的にリンパ節炎は、病原体の感染による一時的なものなので、栄養バランスの整った食事や休息で2〜3日でよくなるでしょう。

もし、薬を服用しても回復しない、または悪化してくる場合は、他の疾患も疑われるので医師に相談してください。

まとめ

 

首にできたしこりは、放置せずに早めの診察が必要です。考えられる疾患には、リンパ節炎、粉瘤、唾液腺腫瘍、甲状腺腫瘍などがあります。

病気の種類によって診察する科や治療法が異なります。基本的に首の疾患は耳鼻咽喉科が専門分野になりますが、粉瘤の場合は形成外科に相談する方がよいでしょう。

当院は、皮膚のできものと粉瘤に精通した形成外科クリニックです。

特に傷跡を残さず、綺麗な仕上がりが期待できるので、粉瘤が疑われる場合は、ぜひ当院にご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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2024.08.01

脇の下のしこりは何の病気?原因や症状と治療について徹底解説

脇の下にしこりを見つけると、不安に思う方も多いのではないでしょうか。しこりができる原因は様々ですが、リンパ腫や副乳、まれに乳がんといった深刻な病気まで考えられます。そのため、痛みがないからといって放置することは非常に危険です。早期発見と検査、そして適切な治療が、体への負担を軽減し、健康維持にとって重要になります。

本記事では、脇の下にしこりができる原因や症状、そして正しい治療法について詳しく解説します。

脇の下にできるしこりとは?

脇の下にできるしこりは、皮膚の表面や皮膚の奥にできる硬い塊や腫れ、できもののことを指します。このしこりは、脇の下の中でもどこに発症するかによって原因や考えられる病気が異なります。

発症部位 疾患名
腕の付け根付近 副乳、粉瘤
脇の中心部分 リンパ腫、化膿性汗腺炎
胸側(乳腺の外れ) 乳がん

まず、腕の付け根付近にできるしこりは、副乳や粉瘤であることが多いです。これらはほとんどの場合良性なので、特に心配いりません。

一方、脇の凹んだ中心部分にできたしこりは、リンパ節の腫れが原因で、感染症や炎症によるものが多いです。そして、この部位にできるしこりは悪性腫瘍(ガン)の可能性もあるため、特に注意してください。また、脇の凹んだ部分より更に胸側、乳腺の外れにできるしこりは乳腺の腫瘍である可能性があります。

乳腺腫瘍と乳がんは見分けが難しいため、自己判断や放置をせずに、早めに病院で検査を行うようにしましょう。しこりがあっても痛みが伴わないと、多くの人は放置しがちです。しかし、予期せぬ病気が潜んでいることもあります。「急にしこりができた」「次第に大きくなった」など、しこりに気づいた時には、早めに対処しましょう。

脇の下にできやすい病気の種類と原因

脇の下にできやすいとされる病気は、以下の5つがあります。

  • ・乳がん
  • ・粉瘤
  • ・副乳
  • ・リンパ腫
  • ・化膿性汗腺炎

ここでは、それぞれ症状の特徴や原因について詳しく解説していきます。

乳がん

乳がんに気付く方のほとんどが、しこりの発見によるものです。腫瘍が約1cm以上になると触って分かるようになるため、乳がん患者の多くはこのしこりの自覚症状で病気に気づくことが多いです。特徴的な症状としては、痛みがない、動きにくい、硬いなどがあります。

一方、乳がん以外のしこりは弾力性があり、触るとゴロゴロとしこりが動きやすいです。そのため、触っても動きにくいしこりは、特に注意しましょう。乳がんの原因は、普段の食事による栄養分や分泌ホルモンが関係しています。また、高齢出産の経験がある・出産経験がない・親族に乳がん患者がいるなど、の要因が考えられると言われています。

粉瘤

粉瘤は体のどこにでも発生する腫瘍ですが、特に脇や背中、おしりにできやすいと言われています。症状としては、袋状の塊ができて、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まることでしこりのような膨らみができます。そしてしこりの中央に黒い小さな穴があり、その周辺を強く押すと中に溜まった老廃物が放出されて異臭を放つことがあります。

皮膚にしこりができて自然と消えない場合は、粉瘤の可能性が高いです。粉瘤は、少しずつ大きくなり、自然に消えることはほとんどありません。原因は明確に分かっておらず、悪化する前に適切な治療を行うことが大切です。

副乳

乳房以外の部分に乳腺があることを、副乳と呼びます。副乳は生まれつきのもので、表面が茶色っぽいあざのように見えたり、しこりとして気付くことが多いです。これは脇や乳房の下、足の付け根部分にできやすく、ほくろと間違えて気付いていない方もいます。

そして、副乳は稀なものではなく、女性でいうと5%、男性だと1.5%※の割合で発生しています。原因はいまだに明らかになっていませんが、遺伝的な要因があると考えられています。目立って気になったり、症状があるときは治療が必要です。

参考:日本形成外科学会『副乳』

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは、ガンの一種です。初期症状として、痛みを伴わないしこりが脇の下や口、足などにできることがあります。稀に、急速にしこり部分の腫れが大きくなると、痛みを感じることもあります。特徴として、しこり部分は硬く、押しても動かないことが挙げられます。また、しこり部分は少しずつ大きくなっていきます。原因は判明していないですが、ウイルスなどの感染によって、悪性リンパ腫になるケースも報告されています。

化膿性汗腺炎

化膿性汗腺炎は、痛みを伴うしこりができる皮膚の病気です。できやすい部位は、脇の下やお尻、あしの付け根、胸の下などです。このしこりは、20~40歳代の人に多く見られます。皮膚にある毛包(毛根を包む皮膚の組織)に炎症が起こることで、赤く腫れあがったしこりを形成します。

悪化すると膿が溜まり、破れてしまうと傷跡が残りやすいです。また、再発を繰り返すことで太い縄のような傷跡が残ってしまうため、美容的観点から見ても早めの治療が大切です。原因は明確ではないですが、遺伝的な要因や喫煙者、肥満の方に多いと言われています。

しこりは放置しても問題ない?

脇の下のしこりには、自然治癒するものや症状が軽いものまで様々な可能性が考えられますが、悪性腫瘍(ガン)の可能性もある以上、楽観視せずにまずは受診をすることが大切です。

先ほど紹介した5つの病気のうち、副乳は一時的に痛みを感じることもありますが、基本的には時間と共に治まってきます。しかし、前述した他の4つの病気については、早期の診察と治療が重要です。特に、乳がんや悪性リンパ腫の場合、早期発見が重要視されている病気です。一般的に悪性(ガン)の場合は、しこり部分を押しても動かないという特徴があります。しこり部分を押してみて、動きがない場合は早めに病院を受診しましょう。

粉瘤や化膿性汗腺炎は、悪性の可能性が少ない病気ですが、自然に治ることはほとんどありません。放置することで、しこりが徐々に大きくなり、炎症や悪化を引き起こす可能性があります。そして、悪化した場合傷跡が残りやすいため、美容的な観点から見ても、早めに治療を行うようにしましょう。

脇にしこりを見つけた場合は、自分で病気の判断が難しいです。最悪の場合、悪性のガンの可能性も否定できないため、専門の医者に相談するようにしましょう。

症状に応じた正しい治療法

脇の下のしこりは、病名や状態によって治療法は大きく異なります。ここでは、代表的な治療法である、手術、塗り薬、薬物投与による治療について解説します。

先ほど紹介した5つの病気には、主に下記の治療法があります。

病気の種類 治療法
乳がん 手術(部分切除・全摘術)、放射線治療、ホルモン治療など
粉瘤 手術(くりぬき法・切開法)など
副乳 手術
悪性リンパ腫 抗がん剤治療、放射線治療など
化膿性汗腺炎 抗菌薬の内服、塗り薬、手術など

手術による治療

乳がんや粉瘤、副乳、化膿性汗腺炎の治療には、外科手術が行われることがあります。

手術では皮膚を切開して、しこりや悪性部分を取り除いていきます。特に症状が軽度の粉瘤の場合は、切開せずに小さな穴を空けて廃物を摘出する「くりぬき法」を採用することもあります。

手術と聞くと不安に思う方も多いですが、事前に精密な検査を行い、医師による説明を受けるので心配する必要はありません。そして、全身麻酔や局所麻酔を使用するので、痛みに不安がある方も安心して受けることが可能です。

塗り薬の薬物療法

化膿性汗腺炎の治療には、塗り薬を使用して治療する場合があります。また、塗り薬と併用して注射を行う場合もあり、症状や患者の希望に応じて治療法が異なることが多いです。

塗り薬の治療では、手術とは異なり、効果が現れるまでに比較的時間がかかります。しかし、体や精神的な負担が少ない治療法で、最も手軽な治療法です。

また、薬局などで市販薬も多く販売されていますが、市販薬の使用はおすすめしません。根本的な改善を希望する場合は、医師による投薬や治療計画が必要になるでしょう。

飲み薬の投与

軽度の化膿性汗腺炎の場合、飲み薬による治療ができます。効果が出るまでに時間がかかり、2~3ヶ月程度飲み続ける必要があります。

同様に、乳がんの治療でもホルモン療法の飲み薬が使用されることがあります。飲み薬では、複数の薬剤を使用でき、痛みがなく、日常生活に支障をきたさずに治療できるため、手軽に治療できる方法の一つです。

しかし、完治に時間がかかり、副作用の可能性があること、他の治療と併用する必要があるなど、デメリットもあります。症状や病状の進行具合を考慮し、正しい治療法を選ぶことが大切です。

まとめ

脇の下にしこりを見つけた場合、早めの治療をおすすめします。

病気の種類によっては、緊急性が低い場合もありますが、悪性腫瘍(ガン)の可能性や将来的に傷跡に残ってしまう場合もあります。

痛みがないからといって放置する方も多いですが、早期発見と適切な治療が重要です。

本院では、傷跡が目立たない治療を得意とする、形成外科専門医が治療にあたっています。脇の下にできる様々なしこりの診断を行っていますので、お気軽にご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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2024.07.04

足にできるできものの種類|治療方法や原因、注意点を解説

足にできるできものには、さまざまな種類のものがあります。痛みを感じたり、大きくなったりするなど日常生活に支障をきたす場合は、適切な処置を取る必要があります。

本記事では、足にできるできものの種類や治療方法について解説します。症状が悪化する前に治療をすることで、元のきれいな状態に戻すことができます。足のできものにお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

足にできる良性のできものの種類

まず、足にできる良性のできもの(転移しない腫瘍)の種類を紹介します。

たこ(胼胝)

たこは、圧迫や摩擦など外部からの慢性的な刺激を受けることによって角質が厚くなり、皮膚が盛り上がる症状です。医学的には、胼胝(べんち)と呼びます。自分に合わない靴を履いていたり、歩き方や立ち方の癖があったりするとできやすくなります。角質が厚くなり、感覚が鈍っているケースが多いため、痛みを感じることはほとんどありません。

たこは、生活習慣や職業など、その人の癖で身体のどこにでもできるできものです。「ペンだこ」や「座りだこ」をイメージするとわかりやすいでしょう。
基本的に放置していても問題はありませんが、痛みや赤みを伴う場合は何らかの原因で細菌感染を起こしている可能性があるため注意が必要です。異変を感じた場合はなるべく早めに病院を受診しましょう。

うおのめ(胼胝)

うおのめは、直径5~7mm程度の硬い角質の塊のことです。「たこ」と同様、外部からの圧迫や慢性的な刺激を受けることで発症します。できものの中心部分に「魚の目」のような芯ができるため「うおのめ」と呼ばれていますが、医学的には鶏眼(けいがん)と呼びます。

たこと異なる点は、痛みを感じることです。外部からの圧迫が続くと「芯」が皮膚の下にめり込み、押したり歩いたりすると神経を圧迫して痛みを感じます。
うおのめは足裏が好発部位ですが、手足の指のふちや間にできることもあります。放置していると大きくなる可能性もあるため、早めの除去が望ましいできものです。

いぼ(尋常性疣贅)

いぼは、身体のあらゆる場所にできる病変で、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発症します。医学的には尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)と呼ばれ、足の裏にできるいぼは足底疣贅(そくていゆうぜい)と呼びます。

足底疣贅は、歩行の際に負荷がかかり、いぼが奥に押し込まれてしまうため「最も治りにくいいぼ」と言われています。

いぼは表面がざらざらしており、形状はさまざまです。伝染性があるため、別の箇所に広がったり、人から人に感染したりします。
プールサイドや公衆浴場など、裸足で行動する場所で感染する可能性が高く、家庭内では皮膚の接触やタオルやバスマットなどを介して感染する可能性があります。
ほとんどのいぼは、痛みを伴いませんが、足底疣贅は歩いたときに痛む場合があるため気をつけなければいけません。また、体重で圧迫され平らになり、周辺が分厚い皮膚で囲まれる可能性もあります。

脂肪腫(リポーマ)

脂肪腫は、皮下に発生するやわらかい良性のできもので、脂肪細胞で構成されています。リポーマと呼ばれることもあり、皮下にできるできものの中で最も多いできものです。ぷくっと膨らみますが、痛みはありません。

大きさは1cm~15cm程度と幅広く、ゆっくりと徐々に大きくなりますが、自然に消えることはありません。日常生活に支障がなければ無理に取る必要はありませんが、小さいうちに摘出すれば傷口も小さくて済みます。
急速に大きくなった場合は、別の病変の可能性があるため注意が必要です。

粉瘤(アテローム)

粉瘤は、袋状の組織の中に垢や皮脂などの老廃物が溜まってできる良性の皮下腫瘍です。アテロームや表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれています。内容物が垢や皮脂のため、清潔にしていないことが原因と思われがちですが、体質による差もあり清潔にしていても発生します。

ニキビと勘違いされることがありますが、粉瘤は自然に治ることはありません。腫瘍の中央に黒い点が見られることが特徴で、サイズが大きくなったり独特の臭いを発したり、細菌感染などによって炎症を起こす可能性があります。
炎症を起こした場合、化膿して強い痛みを伴う場合があるため注意が必要です。粉瘤は良性の腫瘍ですが、サイズが大きいものや炎症を繰り返していると、まれに悪性腫瘍になる可能性もあるため気をつけなければいけません。

足にできる悪性のできものの種類

足にできる悪性のできものの種類を紹介します。悪性の腫瘍は命にも関わる可能性があるため、疑いがある場合はすぐに病院で受診することが必要です。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫は、皮膚の細胞が悪性化してできる腫瘍で、皮膚がんの一種です。「ほくろのがん」とも呼ばれており、皮膚のメラニン(色素)を作る「メラノサイト」という細胞が悪性化したものです。黒色もしくは褐色のシミや、腫瘤として皮膚の表面に現れます。

メラノーマは、白人に多い皮膚がんです。日本人の患者数は10万人に1~2人※1と言われており、稀少がんとして扱われていますが増加傾向にあります。

一般的には、シミやほくろが徐々に拡大し、ある時点から急に大きくなる経過をたどるケースが多く見られます。
悪性黒色腫は転移する可能性もあり、命に関わる疾患のため絶対に放置してはいけません。

※1引用:国立がん研究センター「悪性黒色腫」

基底細胞癌(きていさいぼうがん)

基底細胞癌は、皮膚の一番下の層にある基底細胞や毛根を包む組織を構成する細胞から発生する悪性の腫瘍です。基底細胞癌は、皮膚がんの中で一番多いものです。顔にできることが多いがんですが、身体の表面のどこにでもできるため足にできる可能性もあります。

基底細胞癌は、直径1~2mm程度の黒い点が皮膚の表面に現れ、次第に円や楕円の形で広がり、さらに進行すると中央がへこんで腫瘍になります。
転移することはまれですが、放置していると腫瘍は拡大し出血するようになります。適切な切除を行えば、再発する可能性は低いがんですが自然治癒することはありません。

足のできものの治療方法

上記で紹介した足のできものの治療方法は以下のとおりです。

できものの種類 治療方法
たこ 専用の医療機器で患部を削り取る
うおのめ ・軟膏で芯を浸軟させた後、芯の根元から切除
・-196℃の液体窒素による冷凍凝固療法
いぼ -196℃の液体窒素による冷凍凝固療法
脂肪腫 外科手術(切開法)※局所麻酔を使用
粉瘤 外科手術(くり抜き法・切開法)※局所麻酔を使用
悪性黒色腫 病状の進行度によって異なる
(外科手術、リンパ節の生検、化学療法など)
基底細胞癌 手術による切除

関連記事:内痛みを伴ったできものの治療について

足にできものができたら何科を受診する?

足にできものが出来た場合は、形成外科もしくは皮膚科を受診しましょう。

できものを根本的に治療するためには、外科手術が必要になるケースが多くあります。傷跡をきれいにしたいのであれば、手術に特化している形成外科の受診が必要です。

一方、皮膚科は病理診断をして内服薬や塗り薬などを使用して治療します。薬で治療できるものであれば、皮膚科でも問題ありません。

皮膚科でも、できものの摘出手術を行う場合もありますが、より傷跡を目立たなくしたいのであれば、手術を専門分野とする形成外科が最適といえます。形成外科は「外科」、皮膚科は「内科」とイメージするとわかりやすいでしょう。

良性のできものであれば放置していても問題ないケースもありますが、悪性腫瘍の可能性もゼロではないため、一度しかるべき病院を受診することをおすすめします。

足にできものができた際の注意点

足にできものができた際の注意点を紹介します。

放置しても治らないできものが多い

足のできものは放置していても自然に治らないできものが多いため注意が必要です。できものの種類によってはサイズが大きくなったり、痛みを伴うこともあります。

できるだけ早めに治療することで、傷跡も小さく済みます。

根治させるために摘出が必要なケースもある

できものを根治させる場合、外科手術による摘出が必要なケースがあります。適切な処置をしなければ、再発する可能性もあるため気をつけなければいけません。

できものを必要以上に触ったり、自分で潰したりすると症状が悪化するため絶対にやめましょう。

悪性の可能性もある

先述したように、できものは悪性腫瘍の場合もあるため注意が必要です。悪性のできものを放置していると命に関わることもあります。

そのため、自己判断でできものを良性と決めつけて放置することはおすすめできません。医師に診断してもらい、適切な治療をしてもらいましょう。

まとめ

足にできるできものは、良性のものから悪性のものまでさまざまな種類があります。放置していても自然に治るできものはほとんどないため、早めに病院を受診することが望ましいです。

当院では、形成外科専門医が施術を行なっています。傷跡が目立たず、きれいな仕上がりでできものを切除します。痛みを抑えた日帰り治療を行なっているので、足に気になるできものがある方はお気軽にご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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2024.07.04

指にできるできものは何?種類や症状・治療方法を詳しく解説

できものは、身体のどこにでもできるもので、手足の指に発症する可能性もあります。中には自然治癒しないものもあり、大きくなったり悪化したりする可能性があるため、放置することはおすすめできません。

本記事では、指にできるできものの種類や治療方法を紹介します。指にできものでお困りの方は最後までお読みいただき、早めに病院を受診することをおすすめします。

指にできる良性のできものの種類

指にできる良性のできものの種類を紹介します。

いぼ(尋常性疣贅)

いぼは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することによって発症します。医学用語では、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)と呼びます。細胞が増えることで皮膚が盛り上がりますが、痛みやかゆみなどの症状はありません。

いぼは感染力があるため、他の箇所に広がる可能性があります。特に、手足は小さい傷ができやすいため、症状が広がりやすくなります。

ガングリオン

ガングリオンは、ゼリー状の内容物が詰まった良性の腫瘤です。手の甲にできるものが典型的ですが、指の付け根や関節の周辺、腱鞘などにできます。

ガングリオンは痛みもなく、無症状であれば放置していても問題ありません。ただし、神経のそばにできると神経を圧迫して、しびれや痛みを感じる場合があります。

腱鞘巨細胞腫(けんしょうきょさいぼうしゅ)

腱鞘巨細胞腫は良性の皮下腫瘤で、手の指の関節周辺の腱鞘付近に多く発生します。徐々に大きくなっていくこともありますが、大きさが変わらない場合もあります。大きさが3cmを超えることはほとんどなく、痛みもありません。

ただし、指の付け根にできると運動制限がかかり、日常生活に支障をきたす場合があります。腱鞘巨細胞腫は大きくなると、骨を浸食する場合もあるので早い段階で摘出することが望ましい腫瘍です。

粉瘤(アテローム)

粉瘤は、アテロームや表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれる良性の腫瘍です。皮膚に袋状の組織ができ、その中に皮脂や垢などの老廃物が溜まっています。ニキビと勘違いしやすいできものですが、粉瘤は自然治癒しません。腫瘤が破裂すると、独特な臭いを発します。

通常は痛みを伴いませんが、細菌感染を起こすと赤く腫れ痛みを伴います。化膿すると悪化する場合もあるため注意しなければいけません。

粉瘤は、指だけではなく全身にできるできもので、顔・首・背中・耳の後ろにできやすいと言われています。

たこ(胼胝)

たこは、皮膚が外的刺激を受けることで角質が増殖し分厚くなります。医学的には胼胝(べんち)と呼ばれます。足の甲にできる「正座たこ」や、手の指にできる「ペンだこ」など、身体のさまざまな部分にできます。

通常は痛みを伴いませんが、炎症を起こすと赤く腫れ、痛む場合があります。

うおのめ(鶏眼)

うおのめは、直径5~7mm程度の硬い角質の塊です。中心部分に芯ができ、魚の目のように見えることが名前の由来ですが、医学的には鶏眼(けいがん)と呼ばれます。

中心の芯が皮膚にめり込むことで神経が圧迫され、痛みを伴います。大きくなる可能性があるため、早めに治療することが望ましいできものです。

指にできる悪性のできものの種類

指にできる悪性のできものの種類を紹介します。悪性のできものの場合、身体の他の部位に転移したり、命に関わる症状がでたりと、危険性を伴うので特に注意が必要です。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫(メラノーマ)は、悪性腫瘍で皮膚がんの一種で「ほくろのがん」とも呼ばれています。黒色もしくは褐色のしみや、腫瘤が皮膚の表面に現れます。

悪性黒色腫は転移する可能性もあるため、早めに治療しなければいけません。

有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)

有棘細胞癌は、表皮にある層の細胞が悪性化してできる悪性腫瘍で、皮膚がんの一種です。皮膚の表面がかさついて硬くなり、盛り上がったりしこりができたりします。有棘細胞癌は、基底細胞癌に次いで2番目に多く見られる皮膚がんです。

皮膚の深い部分に浸潤するとリンパ節に転移する可能性があり、最悪の場合、死に至る可能性もあるため放置してはいけません。表皮内にとどまっている間に切除すれば完治します。

指のできものの治療方法

上記で紹介した指のできものの治療方法は以下のとおりです。

できものの種類 治療方法
いぼ 液体窒素による冷凍凝固療法
ガングリオン ・注射器で吸引
・症状が繰り返す場合は外科手術
腱鞘巨細胞腫 外科手術
粉瘤 外科手術(くり抜き法・切開法)
たこ 専用の医療機器で患部を削り取る
うおのめ ・軟膏で芯を柔らかくした後、芯の根元から切除
・液体窒素による冷凍凝固療法
悪性黒色腫 症状の進行度によって異なる
(外科手術、リンパ節の生検、化学療法など)
有棘細胞癌 病状の進行度によって異なる
(外科手術・凍結療法・放射線療法・化学療法など)

関連記事:痛みを伴ったできものの治療

指にできものができたら何科を受診すべき?

指にできものが出来た場合、形成外科または皮膚科を受診しましょう。

外科的治療を必要とするできものの場合は、外科手術を得意とする形成外科がおすすめです。形成外科は、治療後の傷跡を目立たなくする技術に優れています。再発を繰り返しているできものや、薬で改善が見られないもの、根治させたいできものなどは形成外科が望ましいでしょう。

一方、皮膚科は内服薬や塗り薬を用いて治療することを得意としています。そのため、薬で改善される症状であれば、皮膚科を受診しても問題ありません。ただし、手術が必要なできものでも外科手術は優先されないことを覚えておきましょう。

関連記事:できもの全般の基礎知識について

指にできものができた際の注意点

指にできものができた際の注意点を3つ紹介します。

基本的にできものは自然治癒しない

基本的に、できものは自然治癒しません。放置していても問題ない良性の腫瘍の場合もあれば、悪性腫瘍の可能性もあるため注意が必要です。

気になるできものを見つけた場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。放置していても問題ないか医師に相談してください。

できものの種類によって再発する可能性がある

できものは、完全に除去しなければ再発の可能性があります。1番してはいけないことは、自分で処置することです。感染症を起こし悪化するおそれがあるため、触らないようにしましょう。

再発を繰り返している場合は、外科手術で根治させることをおすすめします。

治療方法によって痛みを伴う場合がある

外科手術や凍結療法の場合、治療中や治療後に痛みを伴う場合があります。特に、手の指は敏感な部分なので、比較的痛みを感じやすい部位です。

術後の痛みが不安な方は、痛み止めを処方してもらいましょう。治療箇所に触れたり、突っ張ったりすると痛みを感じやすいため、術後は触らないようにしてください。

まとめ

手足の指にできるできものには、放置していると大きくなるものや自然治癒しないものなど、さまざまな種類があります。悪性腫瘍の可能性もあるため、まずは病院を受診することをおすすめします。

当院は、傷口が目立たない外科手術を得意としています。日帰り治療が可能なので、指に気になるできものがある方はご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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2024.05.31

鼻の下のできものはニキビ以外の可能性も!症状によって最適な治療を!

鼻の下にできものができたら、気になってしまいますよね。
鼻の下は自然に触っていることも多く、できものができやすい場所でもあります。

「いつもは自然に治るのに、なかなか今回は治らない」

とお悩みの方もいると思いますが、鼻の下にできるできものはニキビだけとは限りません。

本記事では、鼻の下にできものができやすい原因やできものの種類、治療法などを詳しく解説していきます。

鼻の下にできものができやすい理由

鼻の下や鼻の周辺には皮脂を分泌する皮脂腺が多くあるため、毛穴に皮脂が溜まりできものができやすくなります。

また、鼻の下や鼻の周辺は皮膚が厚く、毛穴も深いため、皮脂が溜まりやすいことも、できものができやすい理由といえるでしょう。

鼻の下にできものができる原因

鼻の下にできものができやすい原因を紹介します。

生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れは全身の肌に悪影響を及ぼしますので、できものができやすくなります。

毎日の食事でバランスの良くない食事が続いたり、睡眠不足が続いたりすると、皮脂量の増加やホルモンバランスが崩れる原因になります。

ホルモンバランスが崩れて男性ホルモンが過剰な状態になると、角栓を発生させて毛穴を詰まらせる作用や、皮脂の過剰分泌を促進することになり、できものができやすい状態になります。男性ホルモンは男性だけでなく、女性にも分泌されるものであり、ストレスが多いと、男性ホルモンの分泌量が増えます。

逆に、生活習慣を整えることで女性ホルモンの分泌量が増えることになり、肌の健康を保つことができます。

日常的にストレスをためないようにして、バランスの取れた食事や適度な運動をおこない、ホルモンバランスを整えることが大切です。

刺激を与える

鼻の下や鼻の周辺は自然に触ってしまうことも多い場所ですが、刺激を与えると、できものができやすくなる原因になります。

人の肌は触ったり擦ったりして刺激を与えると、バリア機能が低下して乾燥しやすい状態になります。
肌が乾燥すると、肌を守ろうとして皮脂の分泌量が増加し、皮脂の分泌量が増加することによって、毛穴がつまりできものができる原因になります。

また、花粉症や風邪などによる鼻をかむ行為や、カミソリで髭を剃るときなど、どうしても触れてしまう機会が多くなります。
このように鼻の下は日常的に触ることが多く、肌への刺激が増えてしまうので、できものができる原因になります。

メイクや洗顔の落とし忘れ

メイクや洗顔がきれいに落ちていないと、できものができる原因になります。

鼻の下は凹凸が多いため、メイクや洗顔がきれいに落ちにくい部位です。
肌にメイクや洗顔剤などが残っていると毛穴に汚れが溜まってしまい、そこから細菌が繁殖することでできものができる原因となります。

鼻の下など凹凸の多い部位は、丁寧に洗顔するように心がけて落とし忘れがないように注意しましょう。

鼻の下にできるできものと治療法

できものにはいろいろな種類があり、症状や治療法もそれぞれ異なります。

鼻の下にはどんなできものができるのか紹介します。

ニキビ

ニキビとは、毛穴が皮脂によってつまり、アクネ菌などが毛穴の中で炎症してできるできもののことです。

通常、皮脂は毛穴から汗とともに排出されますが、毛穴の角質が厚くなることで毛穴の出口が塞がれ皮脂が詰まってしまいます。特に鼻の下は皮脂の分泌量が多いためニキビがよくできやすい部位と言えます。

一般的なニキビの治療法としては、市販薬の軟膏を塗ったりして自分で治療をすることが多いと思いますが、市販薬でなかなか治らない場合もあります。

こうした時には、見た目がニキビに似ていても実際は違うできものだったりすることもあるので注意が必要です。

粉瘤

粉瘤(表皮嚢腫)は、皮膚の下に袋状の嚢腫ができ、その中に古い角質や皮脂などの老廃物がたまることでできるしこりのことです。
皮膚の下に老廃物がたまることで、ドーム状に盛り上がった形のしこりになることが特徴で、通常の大きさは数mm〜数cm程度で、肌色もしくは白色をしています。
しこりの中央部に黒い穴が空いていることが多く、ニキビと違い臭いを発するようになったり、隆起させるほど大きくなったりすることがあります。

また、細菌などの感染により炎症を引き起こす可能性もあり、強い痛みや腫れを生じることもあります。
初期の間は、大きなニキビのように勘違いされがちですが、粉瘤はニキビと違い放置していても治癒することはありませんので治療が必要です。
粉瘤の治療は薬で治すことはできないため、くりぬき法や切開法などの手術を用いて摘出することになります。

粉瘤は大きくなってからの治療ではきれいに治すことが難しくなるため、しこりが小さいうちに治療を受けることをおすすめします。

めんちょう

めんちょうとは、毛嚢炎(もうほうえん)が進行して毛穴の奥深くにある毛嚢という部分が炎症してできるできもののことです。

めんちょうは、鼻先や顎先など顔の中心部にできることが多く、赤みがかかった腫れや痛み、かゆみといった症状をもたらします。
また、長期間治らずに繰り返すこともあり、悪化すると赤く大きく腫れあがったり、硬いしこりになることもあります。

めんちょうは市販の塗り薬でも治療可能ですが、医療機関への受診がおすすめです。患部を気にして何度も触ったり、自分で潰そうとして症状が悪化したりすると、治療が長引いたりしこりの痕が残ったりする可能性があります。

医療機関では、塗り薬だけでなく抗生剤の内服で原因菌の増殖を抑える治療をおこないます。また、化膿にともなう腫れや痛みがひどい場合は、切開して内部の膿を出し切って治療することも可能ですので、早めに医療機関に相談してください。

鼻せつ

鼻せつとは、鼻の入り口付近に細菌が感染してできるできもののことです。

鼻せつは、鼻の穴を指でいじったり鼻毛を抜いたりしたときに傷ができ、そこから黄色ブドウ球菌という原因菌が侵入することで発症します。腫れがひどくなると鼻詰まりの原因になったり、頭痛を引き起こすこともあり、感染が鼻の先まで広がってしまうとピエロのような赤い鼻になることもあります。

鼻せつの治療は抗生物質を内服したり、抗菌薬を含んだ軟膏を塗ったりします。炎症がひどくて薬での改善が見られない場合は、膿を排出する切開手術が必要になることもありますので、早いうちに医療機関に相談することをおすすめします。

鼻の下のできものが治らない時は形成外科へ

鼻の下のできものがなかなか治らない時は、形成外科へ受診することをおすすめします。
形成外科では、できもの全般の摘出手術に対応しており、手術で傷口を治すだけではなく傷跡をきれいに仕上げることが可能です。

手術は日帰りでおこないますので入院する必要もありませんし、治療費も保険適用されるので経済的にも負担が少なく受けられます。
患者様のご要望をしっかり伺いながら治療方針を決めていき、一人ひとりに合った治療法を提案させて頂きますので、お気軽にご相談ください。

いつものできものと思って自己判断して放置してしまうと、症状が悪化して治療が難しくなるだけではなく、症状によっては外科手術での除去が必要になります。
治療が難しくならないためにも、一度病院へ受診して専門家に見てもらいましょう。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

2024.05.11

目のできものの病名や症状は?治療法や原因についても解説します!

目の周りにできものが現れると、不安や不快感を感じることがありますよね。
目の周りにできものができることを、「ものもらい」などの言い方をすることありますが、ものもらいの中でもさまざまな症状があります。
今回の記事では、目の周りのできものの病名や症状、原因や治療法を解説していきます。

目のできものに関する正しい知識を身につけて、適切な対処法を見つけましょう。

目の周りのできものの病名

目の周りにできものができた時の病名はいくつかありますが、よく言われる病名としてはこちらになります。

  • 麦粒腫
  • 霰粒腫
  • 表皮嚢腫(粉瘤)

それぞれまぶたが腫れて開けづらくなることがありますが、症状や原因は異なってきますので、詳しく解説していきます。

麦粒腫

麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は、まぶたのふちに痛みや痒みをともない、赤く腫れができる症状です。
まぶたのふちにある汗腺やまつ毛の根元に細菌が感染して、炎症を起こしている状態となります。

麦粒腫の症状が軽い場合は、炎症による溜まった膿が自然につぶれて出ていくことで治癒することもあります。腫れている部分に膿が溜まってしまった状態が続くようでしたら、専門医へ相談に行くようにしましょう。

霰粒腫

霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、まぶたのふちにあるマイボーム腺に脂肪が詰まってしこりができる症状です。

マイボーム腺とは、まぶたのきわにある分泌腺のことで、そこから脂を分泌することで涙と混ざり目の渇きを抑える役目をします。
そのマイボーム腺の出口に脂が固まったり、化粧品などが付着した状態などで塞がれることによってマイボーム腺に脂が溜まり、しこりができることになります。

霰粒腫の症状としては、まぶたの一部にしこりが生じて腫れることになりますが、しこり自体には細菌感染を起こしていないため痛みを感じることはありません。しかし、霰粒腫の場合でも細菌感染を合併することもあり、その場合赤く腫れて痛みをともなうこともあります。霰粒腫は、完治した場合でもしこりが残ってしまうことがあり、繰り返し症状が出ることもあります。

また、しこりが大きくなり過ぎた場合は、眼球を傷つける原因になったりするので摘出することが必要となります。

表皮嚢腫(粉瘤)

表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とは、アテローム粉瘤とも呼ばれる良性の皮膚腫瘍のことです。
表皮嚢腫は、身体のどこの部分にも生じることがありますが、特に顔や耳の後ろなどにできやすい腫瘍です。

目の周りにできるときは、基本的にまぶたにできることが多く見られます。表皮嚢腫は、毛穴部分の皮下に袋状の組織があり、そこに皮脂や角質などの老廃物が溜まりしこりができる症状のことです。初期の状態では特に問題となることはありませんが、細菌などの感染により炎症を引き起こす可能性があったり、皮膚を隆起させるほど大きくなったりします。

一般的に、表皮嚢腫は目薬や軟膏が効かず、放置していても治癒することはありませんので、手術して除去することになります。

目の周りのできものに対する治療法

目にできものができた時の治療法を紹介していきます。
市販の目薬などで治療することもできますが、症状がおさまらない場合しこりができてしまって何度も繰り返して症状が出る場合は、早めに眼科に行くことをおすすめします。

目薬や軟膏、内服薬で治療

目のできものの治療には、抗菌剤の入った目薬や眼軟膏、内服薬が使われることがあります。これらの治療法は、炎症や腫れを抑えたり、感染を防いだりするのに効果があります。目薬や眼軟膏は、直接目に投与されるので症状を改善するのに効果的な治療法です。

また、内服薬は体内から炎症を抑える効果があるため、症状に改善がみられない場合は内服薬の服用がおすすめです。

手術して治療

目のできものの治療として、切開手術を受けて膿や異物を取り出す方法があります。

麦粒腫の場合、腫れている部分に膿が溜まっているときは、切開手術をして膿を取り出します。霰粒腫の場合では、しこりが大きくなったり、しこりが気になるときは切開手術をおこなって異物を除去します。表皮嚢腫の場合は、老廃物などの内容物を取り除いた後に、袋状の組織自体をすべて除去する手術になります。

霰粒腫や表皮嚢腫の手術では、しこりを完全に除去してしまわないと再発の可能性がありますので、信頼できるクリニックでの治療が必要です。
そこで、実際に切開手術をおこなうのにおすすめな病院は形成外科です。形成外科では、体の表面の異常や変形の治療、失った機能や体の一部を修復する診療科となっていますので、このような手術には最適な病院となります。

専門的な技術や知識、実績がありますので、なかなかできものが治らず手術をお考えの方は、一度形成外科へ相談しに行くことをおすすめします。

目にできものができないための予防法

ここからは日常生活で、目にできものができないための予防法について紹介します。

目の周りを清潔にする

目の周りは常に清潔にしておき、汚れた手で目を擦ったりしないようにしましょう。
細菌感染が原因で目にできものができることがあるので、こまめに手洗いをして細菌の感染を防ぎましょう。

免疫力を低下させない

免疫力が低下していると、小さな細菌に触れることでも感染してしまうことがあります。
目の周りのできものは、季節の変わり目や疲れている時に起こりやすく、ストレスによる免疫力の低下が原因だと考えられます。

十分に睡眠や食事を摂り、免疫力の低下を防ぐことはとても重要です。

アイメイクやコンタクトレンズを控える

アイメイクをすることで、マイボーム腺を防いでしまうと炎症を起こす原因になるので、丁寧に洗い流しましょう。また、コンタクトも清潔にしておくようにしましょう。

目の周りにできものができてしまったら、アイメイクやコンタクトの使用を控えることも必要です。

ホットタオルなどでまぶたを温める

ホットタオルなどでまぶたを温めることは、マイボーム腺の脂が固まりにくくなるので有効な予防法といえます。

また、まぶたのマッサージをしてあげることでマイボーム腺がつまりにくくもなるので、洗顔時などにまぶたのマッサージをしてあげるようにしましょう。

まずは形成外科へ相談

目の周りのできものは自然治癒する場合もありますが、なかなか治らない場合は早めに病院に行くようにしましょう。

できものによってもいろいろな種類がありますので、ご自身で判断せずに専門のクリニックで相談しましょう。できものの切除手術は、形成外科へ相談するのがおすすめです。

当院では、単に治療するだけでなく手術後の傷跡をできるだけ目立たなくすることを重視して治療しています。また、手術の際は局所麻酔を用いて痛みを軽減させる工夫もおこなっていますし、切開手術は日帰りで手術に対応していますので入院が不要です。形成外科専門医による治療では、傷跡がなくきれいな仕上がりで痛みの少ない日帰り手術が可能となっていますので、一度お気軽にご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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耳の後ろのしこりは放置していい?症状別に治療方法を解説

気づかないうちに耳の後ろにしこりができていた経験はありませんか?

痛みがあれば小さいしこりでも気づくことができますが、
「痛みがなければ膨らんできてから気がついた」といったケースも多いです。

知らないうちにできたしこりは、放置していて大丈夫なのか不安に感じる可と思います。
本記事では、耳の後ろにしこりができる病気や症状、治療法などを紹介していきます。

耳の後ろにしこりがある病気

耳の後ろのしこりの病気として代表的な4つを紹介します。

  • リンパ節炎
  • 乳様突起炎
  • 粉瘤
  • 脂肪腫

しこりの種類によって、症状も治療法も異なってきますので、それぞれの病気に対して理解が必要です。
痛みを伴ったしこりかどうかの2パターンに分けて詳しく解説していきますので、参考にしてください。

しこりに痛みがある

耳の後ろのしこりに痛みがある場合の病気として考えられるのは、代表的にはリンパ節炎と乳様突起炎になります。
痛みがあるしこりの中でも症状や原因は異なってきますので、それぞれみていきましょう。

リンパ節炎

リンパ節炎とは、リンパ節が細菌やウイルスなどによって炎症を起こした状態のことをいいます。
リンパ節炎になると腫れた状態になり、触れたり押さえたりすると痛みを感じます。疾患部位が赤くなって熱を帯びたり、発熱がみられたりすることもあります。

リンパ節は、リンパ管の途中にある免疫器官の一種で、全身に存在していますが耳や首の周りに多くありますので、耳の後ろにしこりができた場合は、リンパ節炎の可能性があります。

乳様突起炎

乳様突起炎とは、耳の後ろにある乳様突起という出っ張った骨が、細菌の感染によって発症する炎症のことです。

乳様突起炎は、中耳炎が進行した状態のことで、急性中耳炎を治療しなかった場合や治療が不十分のときになりやすい病気です。乳様突起炎が発症すると、腫れや痛みがあったり、皮膚が赤くなりします。乳様突起は耳の後ろにあるので、耳の後ろにしこりができ痛みをともなう病気として、乳様突起炎があります。

しこりに痛みがない

耳の後ろのしこりに痛みがない場合の病気としては、粉瘤や脂肪腫の可能性が考えられます。こちらの症状について詳しく解説します。

粉瘤

耳の後ろにしこりがあり痛みがない場合は初期の粉瘤の可能性もあります。
粉瘤とは、表皮嚢腫とも呼ばれることもあり、皮膚の下にできた袋の中に角質や老廃物が溜まった症状のことをいいます。

初期のうちは小さなしこりのように感じますが、時間が経つにつれて皮膚を隆起させるほど大きくなったり、臭いを発するようになることもあります。また、細菌などの感染により炎症を引き起こし、化膿、腫れを生じることもあります。基本的に痛みは伴いませんが、化膿や腫れが深刻化すると痛みを伴う場合もあります。

粉瘤はニキビのようなものと勘違いされがちですが、粉瘤は放置していても治癒することはなく除去することが必要です。

脂肪腫

脂肪腫とは、皮下に発生する良性腫瘍で、繊維質の袋状の組織の中に脂肪が蓄えられて腫れてくる症状のことです。

脂肪腫の症状が出ると、皮膚を触った時に柔らかい感触のしこりを感じます。痛みやかゆみをともなうことはほとんどなく、赤くなったりすることもありません

脂肪腫は身体中のどこにでも発症する可能性があるので、耳の後ろにしこりがある場合は、脂肪腫の可能性も考えられます。

耳の後ろにしこりがあるときは何科を受診する?

しこりに痛みがあるのかないのかによって、治療の違いが出てきますので、ご自身の症状に合わせて受診する病院を検討しましょう。

しこりが痛い場合

しこりに痛みがある場合は、耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう。

しこりに痛みがあるので、リンパ節炎や乳様突起炎の可能性があります。リンパ節炎や乳様突起炎の治療は、抗菌薬の服用が必要です。どちらの病気も適切に治療をしてもらえば重症化する病気ではありませんが、痛みが出てきているので早めに病院に行くことをおすすめします。

早い段階に、抗菌薬を服用することで症状も軽くすみ完治も早くなるので、耳の後ろのしこりに痛みがある場合は耳鼻咽喉科に受診するようにしましょう。

しこりが痛くない場合

しこりに痛みがない場合は、形成外科に受診することをおすすめします。

しこりに痛みがないので、粉瘤や脂肪腫の可能性があります。粉瘤や脂肪腫は、細菌などの感染がないと痛みを感じることはありませんが、自然治癒することはほとんどないので、しこりが消えることはありません。また、粉瘤や脂肪腫は放置していると徐々に大きくなっていくので、早めに摘出することをおすすめします。

粉瘤や脂肪腫の摘出するには、しこり部分を切開して内容物を抜くなどの手術が必要となります。しこりが大きくなればなるほど、手術も大変になりますし、綺麗に治すことも難しくなってしまいます。

このような手術をするのに適している病院は形成外科です。形成外科は、体の表面のけがや火傷、皮膚のできものや手術後の修復などの治療をおこなう診療科となっていますので、形成外科への受診をおすすめします。また、しこりに痛みがないからといって、放置しておくことはおすすめできません。しこりを放置したままで少しでも気になっている方は、早めに受診することをおすすめします。

当院では、ただ治療するだけではなく手術後の傷跡を可能な限り目立たなくすることを重視しています。粉瘤や脂肪腫は、自然に治癒する病気ではありませんし、徐々にしこりは大きくなるので早めに治療してもらいましょう。また、粉瘤や脂肪腫の手術は日帰りでおこなっていますので入院の必要がなく、お時間のない方にも受けやすくなっています。治療費の負担も検査や診断、手術の費用も健康保険が適用されるので経済的にも安心です。手術の際は、少しでも患者様の痛みを軽減させるために局所麻酔を用いており、極細の針を使用するなどさまざまな工夫をおこなっています。

もし、手術に全身麻酔が必要な場合や悪性腫瘍の疑いがある場合などは、提携している大学病院などを紹介させていただきますので、安心してご相談ください。

まとめ

耳の後ろにしこりができた場合は、症状によっても治療法や受診する病院も違ってきますので、まずはしっかりご自身の状況をよく理解したうえで適した病院に受診しましょう。

しこりに痛みがある場合は、リンパ節炎や乳様突起炎の可能性が考えられますので、耳鼻咽喉科を受診して抗菌薬を服用するなどの治療をおこなうことが必要です。しこりに痛みがない場合は、粉瘤や脂肪腫の可能性がありますので、切開法などによる摘出手術が必要となります。粉瘤や脂肪腫などの摘出手術は、形成外科でおこなうことをおすすめします。形成外科による手術は傷口を治すだけではなく、傷跡も綺麗に仕上げることができます。

当院でも、治療をするだけではなく手術後の傷跡を目立たなくすることを重視して治療をおこなっていますので、安心してご相談ください。耳の後ろのしこりを放置している方は、早めに病院を受診することで治療や手術も軽くすみますので、できるだけ早く病院に行きましょう。
ご自身で判断するのではなく、一度専門のクリニックに相談することをおすすめします。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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耳の後ろにできものができて気になっている方がいらっしゃるかと思います。耳の後ろのできものの中には悪性腫瘍もあるため、クリニックでの診察がおすすめです。
本記事では、耳の後ろのできものの主な種類を解説しています。症状や原因についても解説しているため、しこりが気になっている方は是非ご覧ください。

耳の後ろのできものの種類

耳の後ろにできる、主なできものを以下の通り解説します。

  • ・粉瘤
    ・脂肪腫
    ・リンパ節炎
    ・乳様突起炎
    ・嚢胞
    ・耳下腺腫瘍

粉瘤

粉瘤は、大きさが数mm〜10cmほどの半球状のしこりです。多くは、中央部分に黒い穴が開いています。全身にできますが顔や首、背中などにできることが多い腫瘍です。
初期において痛みはありません。しかし、大きくなって破裂した場合や化膿すると痛みを生じます。色は肌の色や白色です。炎症を起こすと腫れて赤くなります。

年代は40〜50歳くらいに多く発症し、女性の方が多い傾向です。原因は、皮膚内にできた袋状の組織内に、本来は剥がれ落ちるはずの角質や皮脂などがたまることでできます。
たまったものは、ドロドロの粥状になっており悪臭がします。粉瘤は、良性の腫瘍ですが炎症を繰り返すことで、ごくまれに悪性になる場合があり注意が必要です。

良性であっても自然に治ることはほとんど無く、むしろ大きくなっていく場合があります。また、治ったかのように見えても皮膚内部の袋を取り出さない限り再発するため治療した方が良いでしょう。
治療は外科的治療です。患部を切開し中の袋を取り出します。

脂肪腫

脂肪腫は、脂肪細胞からできる腫瘍で、皮膚の下にできるため皮膚が半球状に盛り上がります。
周囲との境目ははっきりしており、押すと柔らかいしこりです。身体の各部にできますが、首や背中、臀部(お尻)に多く、外部からの刺激を受ける箇所にも発生します。1個だけの場合もあれば、複数できることもあります。大きさは数mm〜10cmほどとさまざまです。

脂肪腫は、男女問わず幅広い年齢にできますが、40〜50代に多く見られます。脂肪腫ができる原因ははっきりとわかっていませんが、糖尿病や肥満、高脂血症の方にできやすい傾向です。また、遺伝や飲酒と関連があるともいわれています。

脂肪腫は、良性の腫瘍であり痛みや痒みは特にありません。しかし腫瘍が大きくなると周囲の神経を圧迫し、しびれたり違和感を感じたりすることがあります。
脂肪腫は、放っておいても自然に治ることはありません。むしろ徐々に大きくなっていく場合があります。そのため、見た目の問題もあり治療することも多いです。治療は、患部を切開し腫瘍を取り除く外科的治療をします。

リンパ節炎

リンパ節炎は、ウイルスや細菌に感染しリンパ節が炎症を起こしている状態です。リンパ節は耳の下やひじ、お腹まわり、膝の裏など全身の至るところにあります。
耳の下にあるリンパ節が炎症を起こすと患部の皮膚は緩やかに盛り上がるため、耳の後ろにしこりがあるように感じるかもしれません。
リンパ節炎は、ウイルスや細菌の感染によって起こるため、のどの痛みや発熱、鼻水などの症状を伴う場合があります。

リンパ節炎は悪性(癌)ではありませんが、似たような症状で悪性リンパ腫と呼ばれる悪性腫瘍があります。しこりをさわると硬い、2cm以上の大きさになってきた場合などには注意が必要です。リンパ節の腫れはさまざまなウイルスや細菌の感染、悪性腫瘍であることが考えられるため医師の診察を受けましょう。
リンパ節炎の治療は、抗菌薬の内服による内科的治療です。

乳様突起炎

乳様突起炎は、乳様突起が細菌感染症することで発症します。乳様突起は、耳の後ろの出っ張りのある骨です。
乳様突起炎の多くは、急性中耳炎を発症した後治療が十分でないために感染が広がることで起こります。急性中耳炎が重症化したものと考えられます。

発症するのは、ほとんどが0〜9歳の乳幼児です。しかし、少数ではあるものの30〜40代での発症例があります。
乳様突起炎を発症すると耳の中や周囲がズキズキ痛み、腫れにより耳介(耳の外に出ている部分)が立ってくることが多いです。悪化すると顔面神経痛を引き起こし、難聴や頭痛を伴うことがあります。

乳様突起炎自体は悪性(癌)ではありませんが、放っておくと症状が悪化するおそれがあるため医師の診察が必要です。治療は、抗菌薬の静脈内投与や内服による内科的治療をします。

嚢胞

嚢胞は皮膚内に袋状の構造物ができ、中に液体がたまった状態です。粉瘤と似てるかもしれませんが、粉瘤と違うのは嚢胞の場合は中にたまっているのが液体である点です。
触ると柔らかいしこりで、炎症が起きると痛みを伴います。

嚢胞は、悪性腫瘍ではありません。しかし、痛みだしたときや大きくなってきた場合は、医師の診察を受けた方が良いでしょう。
嚢胞は袋状の組織を取り出さないと再発するため、治療においては患部を切開し、袋を取り出す外科的治療します。

耳下腺腫瘍

耳下腺腫瘍は、唾液を作る唾液腺(唾液を作るための臓器)にできる腫瘍です。唾液腺は、耳の前や下に位置しますが、腫れの具合で耳の後ろにしこりがあるように見える場合があります。
発症は10万人に1〜3人程度です。耳下腺腫瘍の8〜9割は良性腫瘍ですが、悪性の場合もあります。

良性では、触るとしこりがあるくらいで痛みなどの症状もありません。悪性の場合は痛みがあり、顔面神経麻痺などの症状が現れます。良性であれば摘出の必要はないでしょう。ただし腫瘍の種類によっては後に癌化するおそれがあるため、切除しておいた方が安心です。
治療法は良性、悪性共に切開による腫瘍の摘出手術です。

できものが耳の後ろにできやすい原因

できものが耳の後ろにできやすい原因について解説します。全ての腫瘍の原因となるわけではありませんが、一例としてご参考にしてください。

過労やストレス

できものは過労やストレス、生活習慣の乱れなどが関連している場合があるといわれています。免疫力の低下や、皮膚の新陳代謝などに影響する可能性があるためです。
過労やストレスは、できものの原因とは明確な関連性が認められてはいませんが、気に留めておいた方が良いでしょう。

ウイルスや細菌の感染

ウイルスや細菌に感染してできものができる場合があります。例えば、リンパ節炎や乳様突起炎などです。
ウイルスや細菌の感染は、免疫力が低下したときなどにも起きやすくなります。また、しこりができる直接的な原因ではないものの、途中で細菌に感染することで悪化する場合があります。

物理的な摩擦

できものは、物理的な摩擦でできる場合があると考えられます。脂肪腫などが、外部の刺激を受ける部分によく発生することがあるためです。
耳の後ろについては、マスクのひもやメガネのつるなどが強くあたる場合には注意が必要でしょう。

早めに診察を受けた方が良いケース

耳の後ろのできものに、以下の症状がある場合は早めに診察を受けましょう。

・触ると痛みがある
・いつまでも治らない
・大きくなってきた
・患部の熱感や発疹、赤みがある

できものが悪性腫瘍の場合があります。良性腫瘍であっても、大きくなってくると治療が困難になる場合があるため、早めに診察を受けた方が良いでしょう。

耳の後ろのできものは何科に行けば良いのか

耳の後ろのできものは以下の3つの診療科で診察可能です。

・耳鼻咽喉科
・形成外科
・皮膚科

ウイルス感染による腫れがみられる場合などは、耳鼻咽喉科が良いでしょう。粉瘤や脂肪腫などのできもので、傷口をきれいに治したい場合には形成外科がおすすめです。

形成外科では傷口をきれいに治療できる

形成外科では、傷口をきれいにすることに特化した治療ができます。怪我や生まれつきの、機能や形態の異常を、正常な状態にする治療を行なっているためです。
形成外科なら顔や手指、性器など見た目が気になる箇所でも安心して治療を任せられるでしょう。

当院では、専門医が特殊器具を使用しきれいな仕上がりを実現しています。また、日帰り手術も行っているため忙しい方でも治療可能です。
傷口をきれいに治したいできもの治療全般は、是非お任せください。

【まとめ】不安な場合は早めに診察を

耳の後ろのできものには、悪性の腫瘍も含め種類はさまざまです。腫瘍が良性であっても、炎症を起こしたり大きくなってきたりするなどのリスクがあります。そのため、少しでも不安を感じるのであればできるだけ早めにクリニックで診察を受けたほうが良いでしょう。
当院では、落ち着いた院内でリラックスして診察できるよう心がけています。できものでお困りの方は、是非お気軽にご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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