鼻の下にできものができたら、気になってしまいますよね。
鼻の下は自然に触っていることも多く、できものができやすい場所でもあります。
「いつもは自然に治るのに、なかなか今回は治らない」
とお悩みの方もいると思いますが、鼻の下にできるできものはニキビだけとは限りません。
本記事では、鼻の下にできものができやすい原因やできものの種類、治療法などを詳しく解説していきます。
鼻の下にできものができやすい理由
鼻の下や鼻の周辺には皮脂を分泌する皮脂腺が多くあるため、毛穴に皮脂が溜まりできものができやすくなります。
また、鼻の下や鼻の周辺は皮膚が厚く、毛穴も深いため、皮脂が溜まりやすいことも、できものができやすい理由といえるでしょう。
鼻の下にできものができる原因
鼻の下にできものができやすい原因を紹介します。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは全身の肌に悪影響を及ぼしますので、できものができやすくなります。
毎日の食事でバランスの良くない食事が続いたり、睡眠不足が続いたりすると、皮脂量の増加やホルモンバランスが崩れる原因になります。
ホルモンバランスが崩れて男性ホルモンが過剰な状態になると、角栓を発生させて毛穴を詰まらせる作用や、皮脂の過剰分泌を促進することになり、できものができやすい状態になります。男性ホルモンは男性だけでなく、女性にも分泌されるものであり、ストレスが多いと、男性ホルモンの分泌量が増えます。
逆に、生活習慣を整えることで女性ホルモンの分泌量が増えることになり、肌の健康を保つことができます。
日常的にストレスをためないようにして、バランスの取れた食事や適度な運動をおこない、ホルモンバランスを整えることが大切です。
刺激を与える
鼻の下や鼻の周辺は自然に触ってしまうことも多い場所ですが、刺激を与えると、できものができやすくなる原因になります。
人の肌は触ったり擦ったりして刺激を与えると、バリア機能が低下して乾燥しやすい状態になります。
肌が乾燥すると、肌を守ろうとして皮脂の分泌量が増加し、皮脂の分泌量が増加することによって、毛穴がつまりできものができる原因になります。
また、花粉症や風邪などによる鼻をかむ行為や、カミソリで髭を剃るときなど、どうしても触れてしまう機会が多くなります。
このように鼻の下は日常的に触ることが多く、肌への刺激が増えてしまうので、できものができる原因になります。
メイクや洗顔の落とし忘れ
メイクや洗顔がきれいに落ちていないと、できものができる原因になります。
鼻の下は凹凸が多いため、メイクや洗顔がきれいに落ちにくい部位です。
肌にメイクや洗顔剤などが残っていると毛穴に汚れが溜まってしまい、そこから細菌が繁殖することでできものができる原因となります。
鼻の下など凹凸の多い部位は、丁寧に洗顔するように心がけて落とし忘れがないように注意しましょう。
鼻の下にできるできものと治療法
できものにはいろいろな種類があり、症状や治療法もそれぞれ異なります。
鼻の下にはどんなできものができるのか紹介します。
ニキビ
ニキビとは、毛穴が皮脂によってつまり、アクネ菌などが毛穴の中で炎症してできるできもののことです。
通常、皮脂は毛穴から汗とともに排出されますが、毛穴の角質が厚くなることで毛穴の出口が塞がれ皮脂が詰まってしまいます。特に鼻の下は皮脂の分泌量が多いためニキビがよくできやすい部位と言えます。
一般的なニキビの治療法としては、市販薬の軟膏を塗ったりして自分で治療をすることが多いと思いますが、市販薬でなかなか治らない場合もあります。
こうした時には、見た目がニキビに似ていても実際は違うできものだったりすることもあるので注意が必要です。
粉瘤
粉瘤(表皮嚢腫)は、皮膚の下に袋状の嚢腫ができ、その中に古い角質や皮脂などの老廃物がたまることでできるしこりのことです。
皮膚の下に老廃物がたまることで、ドーム状に盛り上がった形のしこりになることが特徴で、通常の大きさは数mm〜数cm程度で、肌色もしくは白色をしています。
しこりの中央部に黒い穴が空いていることが多く、ニキビと違い臭いを発するようになったり、隆起させるほど大きくなったりすることがあります。
また、細菌などの感染により炎症を引き起こす可能性もあり、強い痛みや腫れを生じることもあります。
初期の間は、大きなニキビのように勘違いされがちですが、粉瘤はニキビと違い放置していても治癒することはありませんので治療が必要です。
粉瘤の治療は薬で治すことはできないため、くりぬき法や切開法などの手術を用いて摘出することになります。
粉瘤は大きくなってからの治療ではきれいに治すことが難しくなるため、しこりが小さいうちに治療を受けることをおすすめします。
めんちょう
めんちょうとは、毛嚢炎(もうほうえん)が進行して毛穴の奥深くにある毛嚢という部分が炎症してできるできもののことです。
めんちょうは、鼻先や顎先など顔の中心部にできることが多く、赤みがかかった腫れや痛み、かゆみといった症状をもたらします。
また、長期間治らずに繰り返すこともあり、悪化すると赤く大きく腫れあがったり、硬いしこりになることもあります。
めんちょうは市販の塗り薬でも治療可能ですが、医療機関への受診がおすすめです。患部を気にして何度も触ったり、自分で潰そうとして症状が悪化したりすると、治療が長引いたりしこりの痕が残ったりする可能性があります。
医療機関では、塗り薬だけでなく抗生剤の内服で原因菌の増殖を抑える治療をおこないます。また、化膿にともなう腫れや痛みがひどい場合は、切開して内部の膿を出し切って治療することも可能ですので、早めに医療機関に相談してください。
鼻せつ
鼻せつとは、鼻の入り口付近に細菌が感染してできるできもののことです。
鼻せつは、鼻の穴を指でいじったり鼻毛を抜いたりしたときに傷ができ、そこから黄色ブドウ球菌という原因菌が侵入することで発症します。腫れがひどくなると鼻詰まりの原因になったり、頭痛を引き起こすこともあり、感染が鼻の先まで広がってしまうとピエロのような赤い鼻になることもあります。
鼻せつの治療は抗生物質を内服したり、抗菌薬を含んだ軟膏を塗ったりします。炎症がひどくて薬での改善が見られない場合は、膿を排出する切開手術が必要になることもありますので、早いうちに医療機関に相談することをおすすめします。
鼻の下のできものが治らない時は形成外科へ
鼻の下のできものがなかなか治らない時は、形成外科へ受診することをおすすめします。
形成外科では、できもの全般の摘出手術に対応しており、手術で傷口を治すだけではなく傷跡をきれいに仕上げることが可能です。
手術は日帰りでおこないますので入院する必要もありませんし、治療費も保険適用されるので経済的にも負担が少なく受けられます。
患者様のご要望をしっかり伺いながら治療方針を決めていき、一人ひとりに合った治療法を提案させて頂きますので、お気軽にご相談ください。
いつものできものと思って自己判断して放置してしまうと、症状が悪化して治療が難しくなるだけではなく、症状によっては外科手術での除去が必要になります。
治療が難しくならないためにも、一度病院へ受診して専門家に見てもらいましょう。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。