【粉瘤と粉瘤によく似たできもの3種類】見分け方と治療方法を解説

粉瘤とは

粉瘤は、アテロームや表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれる良性の腫瘍です。年齢や性別に関係なく身体のどこにでもできる皮膚疾患で、皮膚良性腫瘍の約8割を占めます。粉瘤の腫れは皮脂や角質といった老廃物が溜まったもので、基本的に痛みはありません。原因としてウイルス感染や外傷などがいわれていますが、特定することは難しいのが現状です。また、粉瘤は個人差があり、一度もできない人もいれば同時に複数個できる人もいます。発生して間もない粉瘤は、ニキビと間違われ放置されることが多いです。しかし、放置していると徐々に大きくなるため適切な治療が必要です。

粉瘤に類似のできもの3種類

皮膚に粉瘤ができて間もない時は、他の皮膚疾患と見分けるのは困難です。
粉瘤によく似たできものとして、
ニキビ
脂肪腫
おでき(せつ)
の3種類があります。以下に解説します。

ニキビ

ニキビは、多くの人が経験する慢性炎症性疾患です。皮脂が毛穴に詰まることを面皰(めんぽう)といい、ニキビの原因であるアクネ菌が増殖します。アクネ菌は身体中の毛穴に存在する常在菌ですが、増えすぎると炎症を起こしてニキビを引き起こします。女性に多く、ストレスや不規則な生活スタイル、間違ったスキンケアなどが原因といわれています。また思春期頃に発症することが多いニキビですが、大人になってから初めてできる人もいます。大人のニキビは「思春期後ざそう」といい、乾燥肌が大きな原因です。ニキビができたからといって、すぐに治療が必要ではありませんが、症状が長引くと痕が残る場合があります。

脂肪腫

脂肪腫はリポーマとも呼ばれ、皮下にできる良性の腫瘍です。軟部組織(脂肪、筋肉、血管、神経など)の腫瘍の中で最も発生頻度の高い疾患です。粉瘤と同じく身体のどの部分にも発生しますが、首や肩、背中に多く発生します。直径が10cm以上の大きな脂肪腫もありますが、数ミリ程度までしか大きくならないものがあり、発見されない場合もあります。基本的に痛みはなく、丸いドーム状に皮膚が盛り上がります。粉瘤は触れた時に弾力を感じますが、脂肪腫の場合はゴムのように柔らかい特徴があります。放置しておくと少しずつ大きくなるものもあり、基本的に炎症は引き起こしません。ただし血管の中に腫瘍ができる血管脂肪腫の場合は、痛みを感じることがあります。

おでき(せつ)

おできは医学用語で「せつ」と呼ばれ、特に首や胸、顔やおしりにできます。肥満者や高齢者、糖尿病患者に多く見られる傾向にあります。おできの原因は、食中毒の原因としても知られている黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌は、人の鼻やのど、動物の皮膚やホコリなどでも検出され、身近に存在する菌です。免疫が低下している時や外傷後にできた傷口から侵入することでおできを発症します。おできができると、痛みや発赤、腫れなどの症状がみられます。放置していても自然治癒することもありますが、発熱や倦怠感などの症状悪化がある場合は、早めに治療が必要です。

治療方法

ニキビ、脂肪腫、おできは粉瘤に似ていますが、原因や症状が違うため治療方法も異なります。以下に、それぞれの治療方法を解説します。

粉瘤の治療方法

粉瘤は良性の腫瘍ですが放置すると独特の臭いを放ち、場合によっては炎症を引き起こします。炎症を起こした粉瘤を炎症性粉瘤といいます。炎症性粉瘤は、強い痛みや腫れなどの症状が出る前に処置が必要です。粉瘤の治療方法は基本的に手術になります。手術方法には「くり抜き法」と「切開法」の2通りあります。

くり抜き法の手順

くり抜き法は、局所麻酔をしたあとにトレパンと呼ばれる特殊な器具を使って手術するため、傷跡が小さくて済みます。また、炎症を起こしている粉瘤でも手術ができます。手術にかかる時間が5〜20分と短時間であるため、身体への負担が少ないのが特徴です。一方で、老廃物の溜まった袋を取りきれなかった場合には再発の可能性があります。また手術途中で、内容物を取りきれないと判断した場合には切開法に切り替えることもあります。
くり抜き方の手順は以下の通りです。
1. 粉瘤の周辺に局所麻酔を行う
2. トレパンやメスを用いて皮膚に小さな穴をあける
3. 皮脂や垢などの老廃物を取り出す
4. 老廃物が入っていた袋状の組織を摘出する
5. 止血をし、切開した傷を縫合する

切開法の手順

切開法は、粉瘤ができた部分を切開し、粉瘤をまるごと摘出する手術方法です。粉瘤をすべて取り除くため再発の可能性が低く、大きな粉瘤にも対応できます。ただし、くり抜き法と比べて傷跡が大きくなり、1週間から10日ほど処置が必要になるケースもあります。切開法の手順は以下の通りです。

1. 粉瘤の周囲に局所麻酔を行う
2. メスを用いて切開する
3. 皮脂や垢などの老廃物を取り出す
4. 粉瘤をまるごと摘出する
5. 縫合する際に、皮膚がしわにならないよう切開ラインをデザインする
6. 止血をし、切開した部分を縫合する

ニキビ、脂肪腫、おできの治療法

ニキビの治療方法

ニキビは1日2回、洗顔料を使用した正しい洗顔方法や生活習慣の見直しにより軽快することがあります。しかし炎症が強い場合や腫れが引かない場合には、ニキビの痕が残ってしまう可能性があります。にきびの痕を残さないためには、軽症のうちに皮膚科で抗生物質を使用して治療する必要があるでしょう。

脂肪腫の治療方法

脂肪腫は粉瘤と同じく良性の腫瘍ですが、自然に治ることはありません。また、腫れの原因が液体ではないため注射器を用いて吸い出すことはできません。根本的に治療するには手術が必要になります。治療方法は、脂肪腫の真上の皮膚を切開し、組織を破らないように周囲から剥がして摘出します。

おできの治療方法

おできの治療には、原因菌である黄色ブドウ球菌に有効な抗菌薬を用います。軽症の場合は内服治療で様子をみますが、腫れが大きく重症になると点滴治療を行います。また治療に効果がみられない場合には切開し、溜まっている膿を外に出す処置が必要です。

当院で行われる粉瘤治療の特徴

当院は、粉瘤の治療を専門的に行うクリニックです。当院の粉瘤に対する治療方法の特徴を3つに分けて紹介します。

専門医による丁寧なカウンセリング

身体に粉瘤ができた場合、多くの方が不安を抱いて来院します。そこで当院では、粉瘤治療に詳しい専門医が丁寧にカウンセリングを行います。まず、粉瘤ができた時期や痛みの有無などを聞き取りながら、粉瘤かどうかを判断しなければなりません。粉瘤であった場合、患者さんが希望に沿った治療を受けられるように治療方法の提案を行います。「痛いのは苦手だから痛みがないように治してほしい」「仕事の都合上、どうしても入院はできない」このような要望にも耳を傾け、不安を一つひとつ解消しながら治療方針を決めていきます。

痛みが少ない手術療法

痛みが苦手な方でも安心して治療を受けられるよう、痛みの少ない手術を心がけています。麻酔後は痛みを感じないため痛みの心配はありませんが、麻酔時の注射が痛いのではないかと不安な方がいます。当院ではそのような方に向けて、局所麻酔を行う際に極めて細い針を使用し、痛みを最小限にとどめるようにしています。また痛みの軽減を図るため、薬剤の配合にも配慮しています。手術が怖い、痛いのが苦手な方も安心して治療を受けられます。

日帰り可能な支援体制

「手術するから入院が必要なのでは?」と考える方もいますが、当院では基本的に手術したその日にお帰りいただけます。痛みや炎症を伴う炎症性粉瘤に移行した場合でも同様です。ただし粉瘤が大きくなりすぎた場合や炎症が強い場合、悪性化の疑いがある症例には提携している大学病院を紹介させていただくこともあります。いずれにしても安心して適切な治療が受けられるような支援体制が整っていますので、ご安心ください。

まとめ

皮膚の良性腫瘍の中でよくみられる粉瘤ですが、ニキビや脂肪腫との見分け方が難しい場合があります。それぞれ、発生する原因や症状が異なるため治療方法も異なります。また粉瘤の場合、放置していると治るどころか徐々に大きくなるため、専門の医療機関で適切な治療を受ける必要があるでしょう。当院は、患者さんが安心して治療が受けられるようなサービス体制を整えています。粉瘤ができて不安な方は、お気軽にお問い合わせください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。