できものから膿が出た場合は治療が必要?放置のリスクと正しい治療法

はじめに

できものから膿が出ている状態は、細菌が侵入している可能性が高く、放っておくと症状の悪化に繋がりかねません。
悪化すると患部が赤く腫れたり、激しい痛みを伴うことも多く、傷跡が残りやすくなります。そして膿が出るできものの種類は様々で、自己判断による放置は危険です。
病院でしっかり検査をして適切な治療を行うようにしましょう。本記事では、膿が出るできものを解説するとともに、正しい治療方法について解説します。

できものから膿が出る原因

膿が出る原因は、炎症をしているできものを放置していることが挙げられます。できものは、垢や皮脂などの老廃物が溜まりやすく、細菌の感染リスクが高い疾患です。
適切な処置を行わなければ、炎症を引き起こし、膿が出やすい環境に繋がります。
他にもできものを汚れた手で触ったり、潰したりすることも炎症を引き起こし、膿が出る原因のひとつです。そのためできものに気付いた時は清潔を保ち、膿が出る前に治療を行うことが重要です。

膿が出ているできものを放置した場合のリスク

膿が出ているできものを放置した場合、下記の様なリスクがあるため注意しましょう。
• 患部が腫れて激しい痛みを伴う
• 細菌が体中に増殖し発熱する
• 色素沈着によって傷跡が残る
• できものが悪性に変異する

患部が腫れて激しい痛みを伴う

できものが赤く腫れあがり、激しい痛みを伴うケースもあります。最初は小さいできものであっても、何倍もの大きさに腫れることもしばしば報告されています。
できものができた場所がデリケートな所や関節部分などであった場合、注意が必要です。
できものは元々痛みが少ないですが、場所によっては放置することで強い痛みを伴い、日常生活に支障をきたす可能性があります。できものの種類によっては自然に治癒しない腫瘍も存在しているため、痛みが強まる前に早めに治療を行いましょう。

細菌が体中に増殖し発熱する

症状の悪化が更に進むと、患部の痛みだけでなく、発熱や倦怠感などの症状が発生することがあります。
単なるできものと考えて、放置をしないように注意しましょう。細菌が増殖すると、完治までに長い時間が必要になります。
また一度悪化すると、炎症や化膿を繰り返す原因になるため、早めの治療が大切です。

色素沈着によって傷跡が残る

膿が出ているできものの治療は、色素沈着が起こりやすいため、傷跡が残る可能性が高くなります。
傷跡が残ると、以前のようなきれいな状態に戻すことは、難しいと言われています。特に顔にできたできものは、美容的観点から考えて放置しないようにしましょう。
また傷跡だけでなく皮膚に凹凸ができる恐れもあります。できものから膿が出ている時に放置すると、皮膚に凹凸や傷跡が残りやすく、適切な治療を受けるようにしましょう。

できものが悪性に変異する

できものは、良性腫瘍であるケースが殆どですが、ごく稀に悪性へと変異する可能性があります。
できものを長期間放置していると、気付かないうちにできものが悪性腫瘍に変異していたということになりかねません。
必ずしも放置した場合だけが悪性に変異するのではないが、できものは悪性変異もあり得ることを頭に入れておきましょう。
他にもできものができているのにも関わらず、検査や治療を行わなければ悪性腫瘍の発見遅れに繋がるため、注意が必要です。

膿が出るできものの種類と見分け方

膿がでるできものには、さまざまな種類があります。ここでは、発生頻度が高いできものを3種類紹介します。
• 炎症性粉瘤
• 化膿性汗腺炎
• ニキビ

炎症性粉瘤

炎症性粉瘤は、粉瘤が炎症や化膿している状態の疾患です。主に粉瘤が細菌感染や異物反応を起こすことで、炎症し膿が出るようになります。
また炎症や化膿の程度によっては難易度が高い手術になります。
そのため手術で摘出を行っても、細胞の一部が体内に残り、再発を繰り返す場合もあるため、できるだけ早く治療を行いましょう。
粉瘤の見た目の特徴としては、腫瘍の真ん中に黒い点があり、悪臭を放ちます。
また時間の経過とともに、腫瘍部分は大きくなり、「黒い点がある」「悪臭がする」「日に日に大きくなる」のような症状は、炎症性粉瘤の可能性があると言えるでしょう。

化膿性汗腺炎

化膿性汗腺炎は、毛包がふさがり炎症を起こすことで、できもののように腫れて見える疾患です。
化膿性汗腺炎の原因は判明しておらず、脇の下や鼠径部などの毛髪が生えている部分に多く発生します。見た目からの判断が難しい疾患で、腫瘍の発生場所や膿の採取を行い検査して断定されることが一般的です。
脇や鼠径部など毛髪部分にできものがある場合は、化膿性汗腺炎の可能性が高いと言えますが、自己判断では難しい点も多く、適切な診察を行うようにしましょう。

ニキビ

ニキビは、毛穴に皮脂が詰まることでできる発疹のことです。思春期にできやすいとされていますが、大人になってからニキビができる方も多数存在しています。
ニキビは状態によって白ニキビや黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビと分類され、悪化すると黄色い膿が出てきます。
主に顔や背中、胸にできやすく、悪化した場合でもそれほど大きくなりません。ニキビは自然に治りますが、炎症や膿が出ていると跡が残りやすくなるため注意しましょう。

化膿しているできものの治療方法

できものが化膿していると、症状やクリニックによってはすぐに摘出できない場合があります。化膿や炎症の程度により、下記のような治療方法があります。

抗生物質を内服し化膿を抑える

まずは抗生物質の内服を行い、化膿や炎症を抑える治療を行います。軽い炎症や化膿であれば、抗生物質の内服は有効な手段と言えるでしょう。
しかしできものの種類や状態によっては、抗生物質だけでは不十分な場合もあるため、適切な検査と治療を行う必要があります。

切開を行い膿の部分を排出する

次に抗生物質では症状が改善されない場合、膿が出ている部分を切開し除去します。切開を行い膿を取り出すことで、炎症や化膿は一時的に改善します。
しかしこの切開は、炎症や化膿を抑えるためのものであり、できものの治療が別で必要です。また再発の可能性も高く、早めに治療を行いましょう。

手術で摘出を行う

できものから膿が出ている場合でも、クリニックによってはすぐに摘出手術が可能な場合があります。
炎症や膿が出ているできものを摘出する手術は、容易ではありません。
しかし当院では、最も効果が期待できる「手術による摘出」を採用しています。できものの状態に合わせて、くり抜き法と切開法を用いて、よりベストな手術方法が可能です。

くりぬき法

くりぬき法は、皮膚に穴をあけて、中に溜まった老廃物を絞り出す方法です。くりぬき法は、体への負担や傷跡の心配を最小限に抑えた手術方法になります。
手術時間は短く、5分から20分程度で終わるケースが多いとされています。炎症や化膿が強い場合は、くりぬき法では摘出できない場合もあるため、注意が必要です。

切開法

切開法は、皮膚を切開して化膿したできものを全て摘出する方法です。できものをまるごと摘出できるため、再発リスクが低い手術方法になります。
皮膚を切開しているので傷跡は残りますが、1ヶ月程度で落ち着き、目立たなくなります。
しかし傷跡は、個人差や腫瘍の場所によっても大きく異なり、傷跡について心配な方は事前に相談しておくと安心です。

まとめ

できものから膿が出た場合、細菌の感染や炎症を起こしている可能性が高く、そのまま放置すると症状の悪化に繋がります。
膿が出てくるできものは様々な疾患が存在し、自己判断せずに適切な治療を行うようにしましょう。
当院では、医師の判断によっては日帰りによる摘出手術が可能です。
できものから膿が出てきた場合やできもの全般の治療は、形成外科専門医である当院にお任せください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。