できものが耳の後ろにあるけど大丈夫?しこり押すと痛い時はどうする

「耳の後ろにできものがあるけどなんだろう」
「放っておいて大丈夫なのか」

耳の後ろにできものができて気になっている方がいらっしゃるかと思います。耳の後ろのできものの中には悪性腫瘍もあるため、クリニックでの診察がおすすめです。
本記事では、耳の後ろのできものの主な種類を解説しています。症状や原因についても解説しているため、しこりが気になっている方は是非ご覧ください。

耳の後ろのできものの種類

耳の後ろにできる、主なできものを以下の通り解説します。

  • ・粉瘤
    ・脂肪腫
    ・リンパ節炎
    ・乳様突起炎
    ・嚢胞
    ・耳下腺腫瘍

粉瘤

粉瘤は、大きさが数mm〜10cmほどの半球状のしこりです。多くは、中央部分に黒い穴が開いています。全身にできますが顔や首、背中などにできることが多い腫瘍です。
初期において痛みはありません。しかし、大きくなって破裂した場合や化膿すると痛みを生じます。色は肌の色や白色です。炎症を起こすと腫れて赤くなります。

年代は40〜50歳くらいに多く発症し、女性の方が多い傾向です。原因は、皮膚内にできた袋状の組織内に、本来は剥がれ落ちるはずの角質や皮脂などがたまることでできます。
たまったものは、ドロドロの粥状になっており悪臭がします。粉瘤は、良性の腫瘍ですが炎症を繰り返すことで、ごくまれに悪性になる場合があり注意が必要です。

良性であっても自然に治ることはほとんど無く、むしろ大きくなっていく場合があります。また、治ったかのように見えても皮膚内部の袋を取り出さない限り再発するため治療した方が良いでしょう。
治療は外科的治療です。患部を切開し中の袋を取り出します。

脂肪腫

脂肪腫は、脂肪細胞からできる腫瘍で、皮膚の下にできるため皮膚が半球状に盛り上がります。
周囲との境目ははっきりしており、押すと柔らかいしこりです。身体の各部にできますが、首や背中、臀部(お尻)に多く、外部からの刺激を受ける箇所にも発生します。1個だけの場合もあれば、複数できることもあります。大きさは数mm〜10cmほどとさまざまです。

脂肪腫は、男女問わず幅広い年齢にできますが、40〜50代に多く見られます。脂肪腫ができる原因ははっきりとわかっていませんが、糖尿病や肥満、高脂血症の方にできやすい傾向です。また、遺伝や飲酒と関連があるともいわれています。

脂肪腫は、良性の腫瘍であり痛みや痒みは特にありません。しかし腫瘍が大きくなると周囲の神経を圧迫し、しびれたり違和感を感じたりすることがあります。
脂肪腫は、放っておいても自然に治ることはありません。むしろ徐々に大きくなっていく場合があります。そのため、見た目の問題もあり治療することも多いです。治療は、患部を切開し腫瘍を取り除く外科的治療をします。

リンパ節炎

リンパ節炎は、ウイルスや細菌に感染しリンパ節が炎症を起こしている状態です。リンパ節は耳の下やひじ、お腹まわり、膝の裏など全身の至るところにあります。
耳の下にあるリンパ節が炎症を起こすと患部の皮膚は緩やかに盛り上がるため、耳の後ろにしこりがあるように感じるかもしれません。
リンパ節炎は、ウイルスや細菌の感染によって起こるため、のどの痛みや発熱、鼻水などの症状を伴う場合があります。

リンパ節炎は悪性(癌)ではありませんが、似たような症状で悪性リンパ腫と呼ばれる悪性腫瘍があります。しこりをさわると硬い、2cm以上の大きさになってきた場合などには注意が必要です。リンパ節の腫れはさまざまなウイルスや細菌の感染、悪性腫瘍であることが考えられるため医師の診察を受けましょう。
リンパ節炎の治療は、抗菌薬の内服による内科的治療です。

乳様突起炎

乳様突起炎は、乳様突起が細菌感染症することで発症します。乳様突起は、耳の後ろの出っ張りのある骨です。
乳様突起炎の多くは、急性中耳炎を発症した後治療が十分でないために感染が広がることで起こります。急性中耳炎が重症化したものと考えられます。

発症するのは、ほとんどが0〜9歳の乳幼児です。しかし、少数ではあるものの30〜40代での発症例があります。
乳様突起炎を発症すると耳の中や周囲がズキズキ痛み、腫れにより耳介(耳の外に出ている部分)が立ってくることが多いです。悪化すると顔面神経痛を引き起こし、難聴や頭痛を伴うことがあります。

乳様突起炎自体は悪性(癌)ではありませんが、放っておくと症状が悪化するおそれがあるため医師の診察が必要です。治療は、抗菌薬の静脈内投与や内服による内科的治療をします。

嚢胞

嚢胞は皮膚内に袋状の構造物ができ、中に液体がたまった状態です。粉瘤と似てるかもしれませんが、粉瘤と違うのは嚢胞の場合は中にたまっているのが液体である点です。
触ると柔らかいしこりで、炎症が起きると痛みを伴います。

嚢胞は、悪性腫瘍ではありません。しかし、痛みだしたときや大きくなってきた場合は、医師の診察を受けた方が良いでしょう。
嚢胞は袋状の組織を取り出さないと再発するため、治療においては患部を切開し、袋を取り出す外科的治療します。

耳下腺腫瘍

耳下腺腫瘍は、唾液を作る唾液腺(唾液を作るための臓器)にできる腫瘍です。唾液腺は、耳の前や下に位置しますが、腫れの具合で耳の後ろにしこりがあるように見える場合があります。
発症は10万人に1〜3人程度です。耳下腺腫瘍の8〜9割は良性腫瘍ですが、悪性の場合もあります。

良性では、触るとしこりがあるくらいで痛みなどの症状もありません。悪性の場合は痛みがあり、顔面神経麻痺などの症状が現れます。良性であれば摘出の必要はないでしょう。ただし腫瘍の種類によっては後に癌化するおそれがあるため、切除しておいた方が安心です。
治療法は良性、悪性共に切開による腫瘍の摘出手術です。

できものが耳の後ろにできやすい原因

できものが耳の後ろにできやすい原因について解説します。全ての腫瘍の原因となるわけではありませんが、一例としてご参考にしてください。

過労やストレス

できものは過労やストレス、生活習慣の乱れなどが関連している場合があるといわれています。免疫力の低下や、皮膚の新陳代謝などに影響する可能性があるためです。
過労やストレスは、できものの原因とは明確な関連性が認められてはいませんが、気に留めておいた方が良いでしょう。

ウイルスや細菌の感染

ウイルスや細菌に感染してできものができる場合があります。例えば、リンパ節炎や乳様突起炎などです。
ウイルスや細菌の感染は、免疫力が低下したときなどにも起きやすくなります。また、しこりができる直接的な原因ではないものの、途中で細菌に感染することで悪化する場合があります。

物理的な摩擦

できものは、物理的な摩擦でできる場合があると考えられます。脂肪腫などが、外部の刺激を受ける部分によく発生することがあるためです。
耳の後ろについては、マスクのひもやメガネのつるなどが強くあたる場合には注意が必要でしょう。

早めに診察を受けた方が良いケース

耳の後ろのできものに、以下の症状がある場合は早めに診察を受けましょう。

・触ると痛みがある
・いつまでも治らない
・大きくなってきた
・患部の熱感や発疹、赤みがある

できものが悪性腫瘍の場合があります。良性腫瘍であっても、大きくなってくると治療が困難になる場合があるため、早めに診察を受けた方が良いでしょう。

耳の後ろのできものは何科に行けば良いのか

耳の後ろのできものは以下の3つの診療科で診察可能です。

・耳鼻咽喉科
・形成外科
・皮膚科

ウイルス感染による腫れがみられる場合などは、耳鼻咽喉科が良いでしょう。粉瘤や脂肪腫などのできもので、傷口をきれいに治したい場合には形成外科がおすすめです。

形成外科では傷口をきれいに治療できる

形成外科では、傷口をきれいにすることに特化した治療ができます。怪我や生まれつきの、機能や形態の異常を、正常な状態にする治療を行なっているためです。
形成外科なら顔や手指、性器など見た目が気になる箇所でも安心して治療を任せられるでしょう。

当院では、専門医が特殊器具を使用しきれいな仕上がりを実現しています。また、日帰り手術も行っているため忙しい方でも治療可能です。
傷口をきれいに治したいできもの治療全般は、是非お任せください。

【まとめ】不安な場合は早めに診察を

耳の後ろのできものには、悪性の腫瘍も含め種類はさまざまです。腫瘍が良性であっても、炎症を起こしたり大きくなってきたりするなどのリスクがあります。そのため、少しでも不安を感じるのであればできるだけ早めにクリニックで診察を受けたほうが良いでしょう。
当院では、落ち着いた院内でリラックスして診察できるよう心がけています。できものでお困りの方は、是非お気軽にご相談ください。