耳の後ろのしこりは放置していい?症状別に治療方法を解説

気づかないうちに耳の後ろにしこりができていた経験はありませんか?

痛みがあれば小さいしこりでも気づくことができますが、
「痛みがなければ膨らんできてから気がついた」といったケースも多いです。

知らないうちにできたしこりは、放置していて大丈夫なのか不安に感じる可と思います。
本記事では、耳の後ろにしこりができる病気や症状、治療法などを紹介していきます。

耳の後ろにしこりがある病気

耳の後ろのしこりの病気として代表的な4つを紹介します。

  • リンパ節炎
  • 乳様突起炎
  • 粉瘤
  • 脂肪腫

しこりの種類によって、症状も治療法も異なってきますので、それぞれの病気に対して理解が必要です。
痛みを伴ったしこりかどうかの2パターンに分けて詳しく解説していきますので、参考にしてください。

しこりに痛みがある

耳の後ろのしこりに痛みがある場合の病気として考えられるのは、代表的にはリンパ節炎と乳様突起炎になります。
痛みがあるしこりの中でも症状や原因は異なってきますので、それぞれみていきましょう。

リンパ節炎

リンパ節炎とは、リンパ節が細菌やウイルスなどによって炎症を起こした状態のことをいいます。
リンパ節炎になると腫れた状態になり、触れたり押さえたりすると痛みを感じます。疾患部位が赤くなって熱を帯びたり、発熱がみられたりすることもあります。

リンパ節は、リンパ管の途中にある免疫器官の一種で、全身に存在していますが耳や首の周りに多くありますので、耳の後ろにしこりができた場合は、リンパ節炎の可能性があります。

乳様突起炎

乳様突起炎とは、耳の後ろにある乳様突起という出っ張った骨が、細菌の感染によって発症する炎症のことです。

乳様突起炎は、中耳炎が進行した状態のことで、急性中耳炎を治療しなかった場合や治療が不十分のときになりやすい病気です。乳様突起炎が発症すると、腫れや痛みがあったり、皮膚が赤くなりします。乳様突起は耳の後ろにあるので、耳の後ろにしこりができ痛みをともなう病気として、乳様突起炎があります。

しこりに痛みがない

耳の後ろのしこりに痛みがない場合の病気としては、粉瘤や脂肪腫の可能性が考えられます。こちらの症状について詳しく解説します。

粉瘤

耳の後ろにしこりがあり痛みがない場合は初期の粉瘤の可能性もあります。
粉瘤とは、表皮嚢腫とも呼ばれることもあり、皮膚の下にできた袋の中に角質や老廃物が溜まった症状のことをいいます。

初期のうちは小さなしこりのように感じますが、時間が経つにつれて皮膚を隆起させるほど大きくなったり、臭いを発するようになることもあります。また、細菌などの感染により炎症を引き起こし、化膿、腫れを生じることもあります。基本的に痛みは伴いませんが、化膿や腫れが深刻化すると痛みを伴う場合もあります。

粉瘤はニキビのようなものと勘違いされがちですが、粉瘤は放置していても治癒することはなく除去することが必要です。

脂肪腫

脂肪腫とは、皮下に発生する良性腫瘍で、繊維質の袋状の組織の中に脂肪が蓄えられて腫れてくる症状のことです。

脂肪腫の症状が出ると、皮膚を触った時に柔らかい感触のしこりを感じます。痛みやかゆみをともなうことはほとんどなく、赤くなったりすることもありません

脂肪腫は身体中のどこにでも発症する可能性があるので、耳の後ろにしこりがある場合は、脂肪腫の可能性も考えられます。

耳の後ろにしこりがあるときは何科を受診する?

しこりに痛みがあるのかないのかによって、治療の違いが出てきますので、ご自身の症状に合わせて受診する病院を検討しましょう。

しこりが痛い場合

しこりに痛みがある場合は、耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう。

しこりに痛みがあるので、リンパ節炎や乳様突起炎の可能性があります。リンパ節炎や乳様突起炎の治療は、抗菌薬の服用が必要です。どちらの病気も適切に治療をしてもらえば重症化する病気ではありませんが、痛みが出てきているので早めに病院に行くことをおすすめします。

早い段階に、抗菌薬を服用することで症状も軽くすみ完治も早くなるので、耳の後ろのしこりに痛みがある場合は耳鼻咽喉科に受診するようにしましょう。

しこりが痛くない場合

しこりに痛みがない場合は、形成外科に受診することをおすすめします。

しこりに痛みがないので、粉瘤や脂肪腫の可能性があります。粉瘤や脂肪腫は、細菌などの感染がないと痛みを感じることはありませんが、自然治癒することはほとんどないので、しこりが消えることはありません。また、粉瘤や脂肪腫は放置していると徐々に大きくなっていくので、早めに摘出することをおすすめします。

粉瘤や脂肪腫の摘出するには、しこり部分を切開して内容物を抜くなどの手術が必要となります。しこりが大きくなればなるほど、手術も大変になりますし、綺麗に治すことも難しくなってしまいます。

このような手術をするのに適している病院は形成外科です。形成外科は、体の表面のけがや火傷、皮膚のできものや手術後の修復などの治療をおこなう診療科となっていますので、形成外科への受診をおすすめします。また、しこりに痛みがないからといって、放置しておくことはおすすめできません。しこりを放置したままで少しでも気になっている方は、早めに受診することをおすすめします。

当院では、ただ治療するだけではなく手術後の傷跡を可能な限り目立たなくすることを重視しています。粉瘤や脂肪腫は、自然に治癒する病気ではありませんし、徐々にしこりは大きくなるので早めに治療してもらいましょう。また、粉瘤や脂肪腫の手術は日帰りでおこなっていますので入院の必要がなく、お時間のない方にも受けやすくなっています。治療費の負担も検査や診断、手術の費用も健康保険が適用されるので経済的にも安心です。手術の際は、少しでも患者様の痛みを軽減させるために局所麻酔を用いており、極細の針を使用するなどさまざまな工夫をおこなっています。

もし、手術に全身麻酔が必要な場合や悪性腫瘍の疑いがある場合などは、提携している大学病院などを紹介させていただきますので、安心してご相談ください。

まとめ

耳の後ろにしこりができた場合は、症状によっても治療法や受診する病院も違ってきますので、まずはしっかりご自身の状況をよく理解したうえで適した病院に受診しましょう。

しこりに痛みがある場合は、リンパ節炎や乳様突起炎の可能性が考えられますので、耳鼻咽喉科を受診して抗菌薬を服用するなどの治療をおこなうことが必要です。しこりに痛みがない場合は、粉瘤や脂肪腫の可能性がありますので、切開法などによる摘出手術が必要となります。粉瘤や脂肪腫などの摘出手術は、形成外科でおこなうことをおすすめします。形成外科による手術は傷口を治すだけではなく、傷跡も綺麗に仕上げることができます。

当院でも、治療をするだけではなく手術後の傷跡を目立たなくすることを重視して治療をおこなっていますので、安心してご相談ください。耳の後ろのしこりを放置している方は、早めに病院を受診することで治療や手術も軽くすみますので、できるだけ早く病院に行きましょう。
ご自身で判断するのではなく、一度専門のクリニックに相談することをおすすめします。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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