頭にできたこのイボはなんだろう・・・良性と悪性の腫瘍5種類を紹介!

頭にイボができた場合、何か違和感がある、シャンプーをしていて気になるという方はいらっしゃいませんか?
脳に転移するような悪性腫瘍ではないかと不安に思う方もいるでしょう。
この記事では頭によくできるイボや、良性腫瘍と悪性腫瘍の見分け方を紹介しています。 ぜひ最後までご覧ください。

イボについて

イボは、皮膚から盛り上がっている小さなできもの一般を指す俗語です。医学的には多くの場合、皮膚腫瘍のことを意味しており、その種類は良性の腫瘍から悪性の腫瘍まで様々です。
また、頭皮にイボができた場合の主な原因は、頭をぶつけて傷ができ、その部分からウイルスの侵入があったと考えられます。
イボの原因はウイルスの感染がほとんどです。原因となるウイルスの種類は100種類以上もあります。

頭にできやすい良性のイボ

はじめに頭にできる代表的な2つの良性のイボ(腫瘍)を紹介します。

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

頭にできるイボの中ではもっとも代表的な皮膚疾患です。 この腫瘍の原因は表皮にある角化細胞の過度な増殖です。
角化細胞は肌の主な部分を占める細胞で、通常は増殖を繰り返し、表面から剥がれ落ちるサイクルを形成しています。
しかし、外傷による傷からヒトパピローマウイルス(HPV)が侵入してきた場合に、角化細胞が活性化してしまい過度に増殖してしまい、イボが形成されてしまうのです。
主な治療方法として、-196度の液体窒素による冷凍凝固療法があります。 1~2週に1度治療を行い、イボが消失するまでこれを繰り返します。 大きくなると何度も治療しないと治らないため、早めの治療が重要です。

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)

皮膚は一定周期を経て細胞が生まれ変わりますが、年齢を重ねるとこのサイクルが滞り、古くなった細胞や皮脂、メラニン色素が排出されにくくなります。 そして少しずつシミが発生し、少しずつ隆起すると、脂漏性角化症というイボとなります。
特に頭皮には毛穴が密集しているため、皮脂分泌が多く脂漏性角化症ができやすいと考えられています。
別名を老人性イボとされていますが、20歳代で発症する方も少なくありません。 楕円形で茶や黒褐色をした良性の腫瘍です。
尋常性疣贅と比較するとウイルス性ではないことがわかります。
保険が適用される治療には液体窒素を用いた冷凍凝固療法や手術による切除があります。

良性のイボである尋常性疣贅や脂漏性角化症は、冷凍凝固療法や切除によって取り除ける可能性があるため、まずは専門医へご相談ください。

頭にできやすい悪性のイボ

次に頭にできる代表的な2つの悪性のイボ(腫瘍)を紹介します。

有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)

有棘細胞がんは一般的に、通常の肌の色から鮮やかな赤色に変化し、皮膚表面は乾燥したように硬くなります。 しこりのように表面が盛り上がるため、イボと間違われる代表例であり、人体の一番外側に存在する表皮細胞のがんです。
紫外線を浴びやすい場所に見られる傾向があり、頭に発生する場合もあります。
表面がもろく崩れやすいので、少しの摩擦で傷になりジクジクして、かさぶたのような状態になるなどの特徴があります。
進行すると、腫瘍から体液が染み出すことや、細菌感染によって悪臭を伴うこともあります。

血管肉腫(けっかんにくしゅ)

血管肉腫とは、血管の内皮細胞から発生するがんのことです。 日本人では、1年間に50人くらいがこの病気にかかると推定されています。高齢者の頭皮にできることが多く、進展が早く、再発しやすいことが特徴です。
さらに遠隔転移の症例もあり、とくに肺転移を起こしやすく、極めて悪性度が高いがんでもあります。
見た目は境界が不鮮明で赤黒く内出血のような色で、進行すると患部が盛り上がる場合もあるためイボやアザのように見えます。
初期に自覚症状はありませんが、病気が進行して出血してくると痛みを伴う場合があります。

日光角化症(にっこうかくかしょう)

日光角化症は紹介した有棘細胞がんの初期疾患です。
名前のとおりに日光を浴び続けると発症する皮膚疾患であるため、高齢者の頭皮や手の甲などに多く発症します。
普通のシミよりもカサカサと乾燥していたり、表面が盛り上がっていたり、赤みがあったりする場合は注意が必要です。
痛みやかゆみがなく自分だけでは気づきにくい腫瘍で、そのままにしていると悪性度の高い有棘細胞がんへと進行します。
高齢者がいる家庭では、定期的に頭や腕、首元などのチェックしてあげることが大切です。

良性と悪性の見分け方

ここまで5つの腫瘍を紹介しました。
これらの腫瘍の特徴をまとめると。良性と悪性の腫瘍を見分けるには5つのポイントがあるといえます。

・イボが急に大きくなってきた
・黒くにじんだような見た目をしている
・表面がジクジクして血や膿が出る
・イボから悪臭がする
・カサブタのような傷が治らない

もちろんこの5つだけでは判断できませんが、悪性腫瘍にみられる共通の特徴であるため該当する場合は要注意です。
悪性腫瘍は早期発見、早期治療が最も重要です。
これらを参考に、不安なイボなどがありましたら、お気軽に当院へご相談ください。

まとめ

発症部位に関わらずイボはそのまま放置しておくと、良性であっても悪性であっても、肥大化します。
帽子をかぶる時や、頭を洗う時、誰かに指摘された時など、日常生活でストレスになり気になっている場合は是非当院へご相談ください。
当院では、検査の結果と患者様の状態に合わせた手術・治療方法を詳しくご説明し、インフォームドコンセントを重視して、最善の治療を行います。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。