鼻のできものはニキビ?粉瘤?症状別に原因や治療法を解説!

鼻にできものができると、痛みや痒みを伴うだけでなく人目も気になってストレスに感じてしまうものです。
「鼻の中にできものができたけど何だろう?ニキビかな?」
「鼻の頭にニキビっぽいのができたから市販の薬で治せないかな?」

こんなお悩みを抱えながら病院で相談せずに放置したり、間違った市販薬で自己治療をすると更に悪化してしまう可能性があります。この記事では、鼻にできたできものが何なのか・どんな治療法があるか・できものができたら注意することを紹介します。

鼻のできものとは?

鼻やその周辺は皮脂の分泌量が多いだけでなく毛穴も深いため、様々な症状を引き起こしやすい部位です。毛穴に溜まった皮脂や、落としきれなかった化粧ができものを悪化させる原因となってしまいます。無意識に鼻を触る癖がある人や、鼻炎・アレルギーを持っていて頻繁にティッシュで鼻をかむ人は、特に物理的な刺激を受ける機会が多いため注意が必要になります。

鼻にできものができる主な原因

鼻にできものができる主な原因は非常に多いですが、その一部を下記で紹介します。

・鼻のかみ過ぎ
・頻繁なマスクの着用
・疲労やストレスによるホルモンバランスの乱れ
・鼻毛を抜く
・角栓を無理に絞り出す
・ムダ毛処理や髭剃りによる肌荒れ
・脱毛やレーザー治療による肌荒れ
・乾燥
・化粧品の汚れ

鼻は顔の部位の中でも、皮脂が溜まりやすい上に刺激を受けやすいので、たくさんの原因が考えられます。特にコロナ禍を経た近年ではマスク着用者も増加し、できものを悪化させる要因の一つにもなっています。どの症状にも共通して言えることは、刺激を与えないことが大切ということです。人目に付きやすい鼻は、つい入念に手入れをしてしまいがちですが、極力刺激が少ない方法でケアすることが重要です。

鼻にできる主なできもの4種類

鼻にできてしまうできものは主に「ニキビ」「粉瘤」「めんちょう」「鼻せつ」の4種類あります。以下の表にそれぞれの症状や色などの特徴をまとめましたので、どのできものに当てはまるのか判別するための参考にしてください。

ニキビ 粉瘤 めんちょう 鼻せつ
見た目・色

直径1~3mmほどの白い盛り上がり・赤み・黒点

数mm~数cmのドーム状のしこり

数mm~数cmの赤い腫れ膿

直径数mmの赤くて硬いしこり

できる場所

顔・背中など皮脂分泌の多い部位

顔・背中など皮脂分泌の多い部位

鼻の頭
顔の中心部

鼻の入口

症状

痛み、痒み

痛み、発赤、腫脹

強い痛み、腫れ

痛み、腫れ

市販薬の治療

◯(軟膏、内服薬)

✕(手術)

◯(軟膏)

◯(軟膏)

ただし、この4種類以外にも帯状疱疹(たいじょうほうしん)や毛嚢炎(もうのうえん)といった炎症まで、考えられる症状はたくさんあります。特に粉瘤に至っては手術による治療が必要でもある症状なので、自己判断せずに形成外科や皮膚科へ相談することがとても大切です。

ニキビの特徴

鼻周辺にできるニキビには、初期段階で気付きにくい「白ニキビ」や、詰まった皮脂が黒くなった「黒ニキビ」、それが炎症を起こして赤くなってしまう「赤ニキビ」など色や特徴が様々です。「白ニキビ」は毛穴の中に皮脂がたまっている状態で、ニキビになりたての段階で特に症状もなく、白ニキビができていることに気づかない方もいます。「黒ニキビ」は白ニキビが進行して毛穴が開き、空気にさらされて酸化して黒く変色したものです。「赤ニキビ」は更に進行してアクネ菌が繁殖し、炎症を引き起こしたものです。できものの中で最も認知度が高いため、他のできものもニキビと勘違いしてしまうことが多いです。

ニキビの治療方法

ニキビと言えば、種類豊富な市販薬をドラッグストア等で見かけることが多いことから、自己治療が基本と思っている方が多いです。しかし、酒さ(しゅさ)といった皮膚病の可能性もあるため、自分で判断せずに形成外科や皮膚科へ相談することが最も効果的です。保険診療による外用薬や内服薬の処方も可能です。

粉瘤の特徴

粉瘤(アテローム)とは、表皮嚢腫とも呼ばれる良性の腫瘍のことです。皮膚の下に袋状の組織ができ、ドーム状に皮膚が盛り上がった見た目をしています。皮膚の内側に皮脂や角質といった老廃物が溜まってしまい粉瘤となってしまいますが、粉瘤ができる原因ははっきりとわかっていません。はじめはほとんど目立つことはなく、ニキビや小さなしこりのように感じるため勘違いしやすい症状でもあります。粉瘤は鼻以外でも体中どこにでもできる可能性があります。

粉瘤について詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
関連記事:『粉瘤(アテローム)治療/治療方法・症例』

粉瘤の治療方法

ニキビとよく勘違いされやすい粉瘤ですが、治療方法は全く異なります。ニキビとは違って放置していても治癒することがありません。放置するほど更に大きくなり、炎症によって化膿し強い痛みや腫れが生じてしまいます。粉瘤はくりぬき法または切開法という手術法により摘出します。局所麻酔を行うため、基本的には痛みも少なく手術可能です。

手術について動画でも解説していますので、詳しくはこちらをご覧ください。

関連記事:『粉瘤(アテローム)の手術動画/専門医による手術』

めんちょうの特徴

めんちょう(面疔)とは鼻先や顎先など顔の中心部にできる、できものの一種です。鼻の頭にできためんちょうを「めんちょう鼻」と呼ぶことがあります。赤みがかった腫れや痛み、痒みといった症状が現れます。悪化してしまうと、硬いしこりになったり、赤みが更にひどくなって晴れ上がることもあります。

めんちょうの治療方法

めんちょうの治療は市販の塗り薬でもセルフケアが可能ですが、医療機関の治療がおすすめです。医療機関では塗り薬だけでなく、抗生剤の内服で原因菌の増殖を抑える治療をします。化膿や酷い腫れが生じた場合は麻酔をして切開し、内部の膿を出し切ることもできます。

鼻せつの特徴

鼻せつは、鼻の入り口付近が赤く腫れ上がってしまう感染症のことです。鼻の入口や穴の中を指でいじったり、鼻毛を抜いたときにできる傷から黄色ブドウ球菌という原因菌が侵入することで症状が現れます。腫れがひどくなると鼻詰まりの原因になったり、頭痛を引き起こしてしまします。感染が鼻の先まで広がってしまうと、ピエロのような赤い鼻になってしまうこともあります。

鼻せつの治療方法

鼻せつの治療は、原因菌である黄色ブドウ球菌に効果がある抗生物質を内服、または軟膏で治療することが一般的です。膿が多く溜まってしまった場合は切開手術が必要なケースもあるので、自然治癒を期待して放置するのではなく、悪化する前の診察が重要です。

鼻のできものができたときのセルフケア

鼻にできものができたら、基本的に放置や自己治療するのではなく医療機関へ受診することをおすすめしています。ただし、ニキビなどの症状は繰り返し症状が出てしまうこともあるので、治療後のセルフケアや予防がとても重要です。

生活習慣

生活習慣は鼻に限らず、体中の肌の調子に直結します。適切な睡眠や運動、バランスの取れた食生活を心がけることでホルモンバランスを整えることができます。ホルモンバランスが乱れてしまうと、肌に良い影響を与える「エストロゲン(卵胞ホルモン)」などのホルモン分泌量が不足してしまうことがあります。特に脂質を多く含むスナック菓子や揚げ物を日常的に食べてしまう習慣がある場合は、皮脂量が増えてできものの原因になってしまします。ストレスを貯めないよう適度な運動をしたり、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。

スキンケア

スキンケアで特に気をつけるべきポイントは、肌への刺激や負担を抑えて正しい保湿をすることです。刺激を与えないように優しい洗顔を心がけたり、洗顔後は速やかに化粧水や乳液による保湿を行うことが大切です。日常的にメイクをする場合は、クレンジングをしてメイクを肌に残さないことも意識しなければいけません。

市販薬を使った自己治療

ドラッグストアでは、きものに効果がある軟膏や塗り薬を買うことができます。できものに効果がある抗生物質や抗菌剤を配合しており、症状を改善させる効果があります。また、肌荒れやニキビに効くビタミン剤も市販されています。ただし、いずれも軽症の段階で使用するときは効果が見込めますが、痛みや腫れが生じた場合は医療機関で受診することが大切です。 

鼻にできものができたらお近くの形成外科・皮膚科へ相談

鼻にできものを見つけたときは、早めの診療が大切です。ニキビだと決めつけて放置すると、どんどん悪化して手術にいたることもあります。できもの全般の治療なら、お気軽に当院へご相談ください。患者様の不安を少しでも解消できるよう寄り添い、それぞれの患者様に合った治療方法を選択できるよう、事前のご説明とご相談を大切にしています。

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