おできができる原因とは?正しい対処法を徹底解説

おできは、皮膚の下に膿がたまり、痛みや腫れを引き起こすことがあります。主な原因は、皮膚の毛穴に細菌が侵入し感染が広がることです。さらに、ストレスや摩擦、皮脂の過剰分泌、不潔な環境、または免疫力の低下など、さまざまな要因があります。
この記事では、おできができる原因と正しい対処法について解説します。皮膚にしこりのようなおできができた際は、早めに治療を行うようにしましょう。

おできができる原因

おできができる主な原因は、黄色ブドウ球菌による感染です。一般的に、皮膚に存在する常在菌は、外部からの有害な細菌の侵入を防ぎ、増殖を抑制しています。しかし体調不良などが原因で免疫力が低下すると、黄色ブドウ球菌による感染が起こります。この感染により、皮膚の深い部分で炎症が発生し、しこりのような症状が現れて最終的な状態がおできです。おできは皮膚の真皮層から皮下組織層にかけての炎症状態を指しており、適切な処置が必要です。免疫力低下や傷口からの感染などがおできができやすい要因に繋がります。そのためおできが発生した場合は、早期に適切な治療を行い、おできができにくい環境を心がけ、健康な皮膚状態を維持することが重要です。

しこりやおできは市販薬で治る?正しい対処法

表面的で軽度な症状のしこりやおできの治療には、市販薬が有効な場合があります。これには抗生物質や抗菌剤が含まれ、通常は5〜6日の使用で症状が改善することが期待されます。しかし、市販薬の使用にもかかわらず、症状が改善しない場合はすぐに医師の診察を受けるようにしましょう。また病状が悪化した場合は、手術が必要になるケースもあるため、注意が必要です。早期の対応が悪化を防ぎ、症状の軽減に繋がるでしょう。おできができた場合、市販薬だけでなく適切な治療を行うことが、早期の回復や傷跡の少なさに繋がり、より効果的と言えます。

おできの種類と治療法

おできには、様々な種類があり、疾患によっては自然治癒しないものも存在しています。

  • 粉瘤
  • 化膿性汗腺炎
  • 石灰化上皮腫

ここでは、代表的な3つのおできについて解説します。

粉瘤

粉瘤は、皮膚の下に形成される良性の腫瘍で、皮脂や角質などの老廃物が詰まった袋状の組織のことを指しています。初期段階では目立たないことが多く、ニキビや小さなしこりのように感じられます。ほとんどの場合、粉瘤は良性の腫瘍ですが、まれに悪性腫瘍の可能性もあるため、注意が必要です。また自然に小さくなることがなく、治療が必要な疾患です。粉瘤は進行すると大きくなり、時に臭いを発生させたり、感染による炎症を引き起こす可能性があるため、早期の治療が推奨されています。

治療法

粉瘤の治療には、くりぬき法または切開法によって摘出します。くりぬき法では、特殊な器具を用いて皮膚に小さな穴をあけ、そこから粉瘤の内容物を絞り出し、組織を引き抜くことで粉瘤を除去します。手術時間はおよそ5分から20分と言われており、体への負担が少ない治療方法です。一方切開法では、皮膚を切り開き、粉瘤をまるごと摘出します。この方法は再発の可能性が低いため、症状によっては切開法が選択される場合があります。

化膿性汗腺炎

化膿性汗腺炎は、摩擦が多い部位で発生しやすく、主にお尻やわきの下、脚の付け根、胸の下などで発生する慢性的な皮膚疾患です。20代から40代の方に発症しやすく、ふさがった毛包が腫れて破裂し、細菌感染が生じることがあります。また膿瘍ができると圧痛や悪臭が生じ、治癒後も再発する恐れがあるため、注意が必要です。治療をせずに放置すると、痛みや腫れが生じて日常生活に支障をきたす場合もあるでしょう。そして膿瘍を繰り返すことで、瘢痕ができ、皮膚が厚くなることがあります。化膿性汗腺炎には早めの治療が重要であり、専門医の診察を受けることを推奨します。

治療法

化膿性汗腺炎の治療法は、手術による摘出と薬による治療が一般的です。手術では、腫瘍部分を広範囲に切除します。また、手術で除去できなかった場合や改善しない場合は、薬による治療が行われます。薬による治療には、飲み薬や塗り薬、注射薬などがあり、感染を抑制し、炎症を和らげる効果に期待できます。

石灰化上皮腫

石灰化上皮腫は、皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性の皮下腫瘍です。主に20歳以下の女性に多く見られ、顔や首、腕などに発生しやすいと言われています。石灰化上皮腫のしこりは石のように硬く、症状がないケースが大半ですが、押すと痛みを感じる方も多いです。また触れると硬さを感じ、皮膚と同じ色や青黒く見える場合があります。石灰化上皮腫はゆるやかに大きくなりますが、自然に消失することはありません。そのため自己判断による放置は避け、適切な治療を行うことが大切です。

治療法

石灰化上皮腫の主な治療法は外科手術による摘出です。内服薬や外用薬、レーザー治療では腫瘍の消失は期待できません。手術では、できるだけ小さく切開を行い、他の腫瘍に比べ崩れやすいため慎重に腫瘍を摘出します。手術時間は場所や大きさにより異なりますが、およそ5~20分程度で終了する手術です。

おできの治療科について

おできの治療には、形成外科と皮膚科で治療が可能です。

  • 形成外科
  • 皮膚科

ここでは、それぞれの特徴について解説します。

形成外科

形成外科は、体の浅い部分の傷やけが、良性および悪性の腫瘍などに特化した専門医であり、優れた縫合技術で知られています。そのため形成外科医は、手術や治療によって傷跡を極力目立たなくすることが得意です。小さな皮膚疾患から大きな皮膚腫瘍まで、腫瘍摘出だけでなく、手術後の傷跡においても手術後の美しい傷跡を追求しています。患者の外見や機能を損なわないよう心がけ、形成外科では美容的かつ機能的な治療を行っています。形成外科では、手術や治療において傷跡を極力目立たなくし、患者の健康と外見の回復を促進することが専門とされています。

皮膚科

皮膚科の治療範囲は非常に広く、口内や髪の毛、爪など、皮膚に変化が見られる部位全般に及びます。最新の治療法の進展により、アトピー性皮膚炎やニキビ、爪水虫などに対する有効な治療法が登場し、それによって専門的な皮膚科治療が症状の大幅な改善につながる期待が高まっています。皮膚科では特殊な機械を使用せず、目で見える範囲全体が診療対象となり、主に内服薬や塗り薬を活用した治療が行われます。これにより、患者は美容や健康に関連する様々な皮膚トラブルに対して、内服薬や塗り薬を処方されて治療を受けることができるでしょう。

まとめ

おできは皮膚の下に膿がたまり、痛みや腫れを引き起こす皮膚疾患です。原因は主に細菌感染ですが、ストレスや摩擦、不衛生な環境、免疫力の低下などが影響する場合もあります。早期に治療を行うことで、痛みや炎症を最小限に抑え、早期回復が見込めるしょう。また、傷跡も残りにくくなるため、早めに治療を行うことが大切です。皮膚におできができた場合は、傷跡が少なくきれいに仕上がる当院にお任せください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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