粉瘤とほくろの違いについて専門医が徹底解説

粉瘤とほくろについて

粉瘤とほくろについて粉瘤は袋状の組織に老廃物が溜まってできるのですが、皮膚上に開口部ができることがあり、皮脂が酸化して黒い点に見えることがあります。これがしばしばほくろに間違われます。粉瘤は放置すると悪臭や炎症を起こすリスクがあるため、早めの治療が望ましい疾患です。また新たにできたり急激に大きくなったりするほくろは悪性の可能性がありますので、こちらもできるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。

粉瘤の原因

粉瘤は、皮膚の下にある袋状の組織に皮脂や垢などの老廃物がたまってできる良性腫瘍です。ほとんどの場合、発症の原因は不明で、一部ヒトパピローマウイルスの感染や外傷が原因と認められる場合があります。

ほくろの原因

ほくろは母斑細胞(ほくろ細胞)という良性の細胞が集りできたもので、医学的には色素性母斑(しきそせいぼはん)と言います。
ほくろができる主な原因は、紫外線の影響です。他にもストレス、肌への刺激や疲労なども関係していると言われています。ほくろの黒色はメラニン色素によるもので、メラノサイトという色素細胞が異常に活性化しメラニンを大量に生成した結果です。メラニンは紫外線から肌を守るという重要な役割を担い、皮膚の色を決める物質ですが、体外への排出が何らかの原因でうまく行われなくなると、ほくろが形成されます。

粉瘤とほくろを見分けるポイント

粉瘤とほくろは全く異なる疾患ですが、皮膚に小さく黒い点がある見た目の場合、一般の方では判断が難しいことがあります。ほくろには稀に悪性のものがあるため、判断に迷ったら医療機関を受診することをおすすめします。

ポイント1:黒い点

初期の粉瘤は皮膚の開口部にある皮脂が酸化し黒い点に見えることがあります。ほくろには開口部はなく、色素細胞が集まっています。

ポイント2:炎症の有無

粉瘤は袋状の組織に老廃物がたまったもので、袋の中の老廃物が増えると徐々に大きくなります。また炎症を起こすこともあり、痛みや赤み、腫れを伴います。ほくろも紫外線などの刺激によって大きくなることはありますが、炎症を起こすことはありません。炎症とそれに伴う症状を感じたら粉瘤の疑いが強いと言えます。
ただし、ほくろが急激に大きくなった場合には、「悪性黒色腫」という疾患の可能性があります。急にほくろができたり、大きくなってたりするようでしたら、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。

ポイント3:悪臭

粉瘤は内容物が老廃物であるため、独特の悪臭を発することがあります。通常は圧迫されたことなどが原因で内容物が体外に排出され臭いを生じますが、炎症を起こしている場合、内容物が体外に出ていなくても悪臭を生じることがあります。ほくろには内容物がありませんし、悪臭を発することはまずありません。内容物や臭いは見分けるポイントとして有効です。

粉瘤とほくろ、判断に迷ったら

  • 大きくなった
  • 独特の臭い、悪臭がする
  • 赤みや痛みを生じた

粉瘤とほくろ、判断に迷ったらほくろだと思っていた黒い点がこれらのような症状を発した場合、粉瘤である可能性があります。
ほくろが大きくなってきた場合、悪性の可能性もありますので、可能な限り早めに医療機関を受診するようにしてください。
できものが粉瘤だった場合、形成外科であれば、手術後の傷痕をより綺麗にし、早く治せる可能性が高まります。悪性かどうかの検査も受けられますので、安心してお越しください。また、形成外科を受診する際は、日本形成外科学会が認定する「形成外科専門医」が診療や手術を行っているかどうか確認することをおすすめします。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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