皮膚の腫瘍をチェック!ほくろの種類と注意したい変化・皮膚の健康管理

皮膚の表面に見られるほくろは、多くの人にとっては日常的な存在です。
しかし、ほくろは単なる小さな皮膚のマークでなく、時に健康に関する大切な情報を教えてくれることもあります。

こちらでは、ほくろの種類と注意したい変化やサインについて、またほくろがある皮膚の健康管理について解説します。

ほくろの種類と注意したい変化・サイン

ほくろの主な種類

Miescher(ミーシャー)母斑(Miescher nevus)

皮膚に現れる一種の良性のほくろで、通常は皮膚の表面にある直径1センチ程度の小さな丸い斑点です。
黒色または茶色をしており、皮膚の表面に平坦に存在します。
単一の斑点として現れますが、場合によっては複数の小さな斑点としても現れることがあります。
顔や首、胸、背中などの体の様々な部位に現れます。

Unna(ウンナ)母斑(Unna nevus)

でこぼこした形が特徴的な良性ほくろの一種で、比較的一般的です。
皮膚の表面に現れ、色は褐色または黒色で、直径が1センチ前後の小さなほくろです。
特に顔や首の周りに現れることが多く、上腕や太ももにも見られます。柔らかくふくらんでいるのが特徴です。

Clark(クラーク)母斑(Clark nevus)

皮膚の表面に存在する一般的な良性ほくろで、茶色または黒色をしており、直径は1センチ以下であることが多く、色が均一、または中心が濃く外側に向かって徐々に薄くなるのが特徴です。
手のひらや足の裏を含め、全身に見られます。

Spitz(スピッツ)母斑(Spitz nevus)

子供や若者に多く見られ、60歳以上の高齢者では稀です。
早期のメラノーマとの判別が困難な場合があり、以前は若年性メラノーマとも言われていました。
顔や四肢をはじめ全身どこにでもでき、色は黒褐色や赤褐色、淡褐色など様々です。
通常良性ですが、急に大きくなるなど変化がある場合は、メラノーマと見分けるためにクリニックで診断・生検を行うことが大切です。

皮膚の悪性腫瘍「メラノーマ」について

メラノーマは皮膚がんの一種で、悪性黒色腫と言われます。
ほくろのように見えますが、良性の一般的なほくろとは異なり、非常に不規則な形状、異常な色、不均一な境界線を持ち、急速に変化することがあります。
メラノーマは早期発見・適切な治療が重要です。

【メラノーマの自己チェック方法】

メラノーマは自己チェックや予防策を通じて、早期に発見が可能です。
メラノーマの早期発見につながる自己チェックの方法を簡単に紹介します。

ABCDEルール

このルールは下記の頭文字を表しています。

  • Asymmetry(非対称性)
  • Border(境界)
  • Color(色)
  • Diameter(直径)
  • Evolution(変化)

自己チェック時にこれらの要素を確認しましょう。
形が対称でなくいびつ、境界が不規則で輪郭がぼけている、色の濃淡が不均一、直径が6mm以上、急に変化(拡大)している場合は注意が必要です。

全身チェック

手鏡を使って全身を慎重にチェックし、特に日光にさらされる部位やほくろの多い部分に注意を払いましょう。

ほくろと皮膚腫瘍の関連性

ほくろがある場所や変化には注意が必要です。
悪性ほくろであるメラノーマは、ほくろから発生することがあり、早期発見が重要です。
急激な変化、非対称性、不均一な色、直径が6mm以上のほくろは、病院で診察を受けるべき兆候です。

注意したいほくろの変化

ほくろは時間の経過とともに変化することがあります。
変化に気をつけることは、皮膚の健康を保つために極めて重要です。
以下はほくろの変化に注意すべきサインです。

確認項目 注意したい変化
サイズ ほくろが急激に大きくなる場合・直径が6mm以上になる場合
形状 ほくろの形状が不規則に変わる場合・特に凹凸や境界線の乱れが見られる場合
ほくろが異常な色(特に黒や深紅色)を呈する場合・色が均一でない場合
境界線 ほくろの境界線が不均一でぼんやりとした場合・特にほくろの周囲に色素の広がりが見られる場合
痛みやかゆみ ほくろが痛む、かゆい、出血する場合

ほくろの変化に気付いた場合、専門医の診断が不可欠です。
早期の診断と治療は、悪性ほくろや皮膚がんのリスクを軽減するために極めて重要です。

ほくろがある皮膚の健康管理について

ほくろがある皮膚の健康管理は、早期発見と予防を強化し、皮膚がんなど悪性腫瘍のリスクを低減するのに役立ちます。
自己チェックと専門医のアドバイスを組み合わせ、皮膚の健康を守りましょう。

定期的なほくろの自己チェック

自分自身で定期的なほくろの自己チェックを行いましょう。
ほくろの変化や異常を見つけるのに役立ちます。
注意すべき変化には、ほくろの形状、色、大きさ、境界の不規則性、かゆみ、出血、痛みなどが含まれます。

日光からの保護

ほくろは紫外線からのダメージを受けやすいため、日焼けから皮膚を保護することが重要です。
帽子、肌の露出が少ない衣服、日焼け止めなどで紫外線対策をしましょう。

物理的な刺激を減らす

洗顔やスキンケア、メイクなど、皮膚やほくろを強くこすったり引っ張ったり刺激を与えると、メラニン色素が多く分泌されるため、刺激を与えないようにやさしく丁寧にお手入れすることが大切です。

食事と健康的な生活習慣

バランスの取れた食事、十分な水分摂取、適度な運動など、健康的な生活習慣を維持しましょう。
これはほくろの有無にかかわらず、健やかな肌の基本です。

家族歴の確認

家族にほくろが多い方や皮膚がんの方がいる場合、遺伝的な要因が関与している可能性があるため、確認しておくことをおすすめします。

医師の診察

不安定なほくろ、変化があるほくろ、または新しく現れたほくろがある場合、医師に相談しましょう。
診察を行い、必要に応じて生検を行うことがあります。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。