化膿性汗腺炎の治療は何科でできる?正しい治療方法と見分け方

化膿性汗腺炎は、汗腺に細菌感染が起こり、膿がたまる皮膚疾患です。この疾患は放置すると病状が悪化し、激しい痛みや腫れが現れ、時には膿や血液が外に流れて不快な悪臭を伴うこともあります。そのため、早期治療が非常に重要と言われています。本記事では、化膿性汗腺炎の適切な治療方法や、何科を受診すべきかについて詳しく解説します。

化膿性汗腺炎とは?

化膿性汗腺炎は、皮膚の汗腺や毛包周りに起因する慢性的な炎症で、繰り返しできやすい疾患です。主にわきの下やお尻、あしの付け根、胸の下などにできやすく、20~40歳の人が発生しやすいと言われています。この疾患は特に慢性的に発生しやすく、完治に時間がかかるため、抗生物質や手術による治療が一般的です。ここでは、化膿性汗腺炎の原因と症状について詳しく解説します。

原因

化膿性汗腺炎の主な原因は、毛穴のつまりです。毛穴が詰まる原因の一つは、年齢とともに皮膚の新陳代謝が遅くなり、角質が毛穴から排出されなくなることです。また、ターンオーバーが乱れることも毛穴のつまりを引き起こす要因です。さらに、窮屈な衣類や摩擦や圧力、毛の処理なども化膿性汗腺炎を引き起こす可能性があります。遺伝的要因も一部影響があるとされていますが、具体的な原因はまだ不明確です。化膿性汗腺炎の原因は様々な要因が考えられますが、毛穴のつまりが主な原因と言えるでしょう。

主な症状

化膿性汗腺炎の症状は、痛みや赤い腫れを伴う場合があり、結節、濃腫、瘻孔、瘢痕などの症状が特徴的です。結節は、太もも内側や付け根に痛みを伴うしこりとして現れ、時間が経つと大きくなり、赤く腫れることがあります。濃腫は皮膚に膿がたまったしこりで、悪化するとぷよぷよした袋のように膿が貯留します。瘻孔は痛みを伴う、膿が排出される状態です。皮膚の下は、トンネルのようになることが多く、ここまで進行すると傷跡が残りやすくなります。治療を受けないまま進行すると、症状は悪化し、痛みや腫れが強まるため、早期の治療が推奨されています。
また完治していない状態では、炎症をが繰り返す恐れがあり、適切な治療を行うことが大切です。

化膿性汗腺炎は何科を受診する?

化膿性汗腺炎の治療は、形成外科か皮膚科で治療が可能です。形成外科では、手術による除去治療や薬物療法が行われます。手術では患部の結節や膿瘍を切開し、膿を排出する治療が一般的です。形成外科での治療は、症状がひどく進行している場合や、傷跡が残るか心配される場合に適しています。一方で、皮膚科では環境改善のサポートや抗生物質、抗炎症薬などによる薬物療法が行われます。環境改善では、清潔な状態を維持し、摩擦や汗を避けるなどの指導が行われます。抗生物質は感染を抑えるために用いられ、抗炎症薬は炎症を軽減する効果に期待できます。

化膿性汗腺炎の治療方法

化膿性汗腺炎には、主に2つの治療法があります。

  • 手術による治療
  • 薬を使用した治療

ここでは、それぞれの治療について詳しく紹介します。

手術による治療

化膿性汗腺炎の手術による治療は、炎症部分の除去と再発防止を主な目的として行われます。手術には、炎症部分を全て取り除く場合と膿瘍を切開して膿を排出させる場合があります。炎症の広がり程度に応じて手術内容も大きく異なり、早めの治療が体への負担も少ない治療法を選択できるでしょう。手術による治療は保険適用が可能で、状態や治療の範囲によって費用は大きく異なります。手術を受ける場合は、費用についても確認しておくと安心です。

薬を使用した治療

手術では症状が改善しない場合、薬物療法による治療があります。治療には、注射薬や経口薬、塗り薬などが使用され、代表的な治療薬がヒュミラです。ヒュミラは、化膿性汗腺炎を減少させる効果がありますが、効果が現れるまでには約3か月かかります。治療では主に太もも、お腹、二の腕の後ろに注射を打つことが一般的で、自己注射が可能なため通院の手間を軽減でき、治療への負担が軽くなります。薬物療法にかかる費用は、使用する薬や治療の内容により異なります。

化膿性汗腺炎は市販薬でも治療できる?

化膿性汗腺炎治療には、市販薬が一時的な緩和や予防に使えることがありますが、効果的な治療には適していません。そのため根本的な炎症や感染の治療には、医師による治療が必要です。化膿性汗腺炎治療は、完治までに時間がかかり、悪化すると傷跡が残ることも多く報告されています。自己判断による市販薬での治療を行うのではなく、適切な治療を行うようにしましょう。

似ている疾患と見分け方

化膿性汗腺炎治療は、見た目がよく似た他の疾患がいくつか存在しています。

  • 粉瘤
  • 毛嚢炎

ここでは代表的な2つの疾患を紹介します。

粉瘤

粉瘤は、皮膚の内部に老廃物や皮脂が蓄積されることによってできる良性の腫瘍です。初期は小さなしこりとして始まりますが、時間が経つと内部の老廃物がたまり、大きく変化します。粉瘤と化膿性汗腺炎の主な違いは、粉瘤に小さな穴が存在することです。

毛嚢炎

毛嚢炎は、赤みや膿を伴うしこりがあり、周囲の皮膚が赤く腫れることがあります。化膿性汗腺炎と毛嚢炎は、症状が似ているため間違われやすい疾患の一つですが、大きな違いは発生場所にあります。毛嚢炎は主に首の後ろや太もも、陰部などで発生しやすい傾向があります。一方、化膿性汗腺炎は、乳房の下、お尻、足のつけ根、わきの下などでよく見られます。

化膿性汗腺炎かも?と思ったら気を付けるポイント

化膿性汗腺炎が疑わしい場合には、気を付けるべきポイントがあります。

  • 患部を自分で潰さない
  • 毛嚢炎

上記の3つに注意し、適切な処置を行うようにしましょう。

患部を自分で潰さない

患部を自分で潰してしまうと、炎症を悪化させる可能性が高まります。そのため患部が気になっても、無理に潰すのは避けましょう。特に化膿性汗腺炎は、患部を無理に触ったり潰したりすることで、感染が広がる恐れがあります。自己判断での処置は避けて、疑わしい場合は早めの治療が大切です。

清潔に保つ

化膿性汗腺炎は不衛生が原因ではありませんが、二次感染を防ぐためにも清潔を保つことが重要です。シャワーや入浴で感染部分の周囲を清潔に洗うようにしておきましょう。洗う際は、刺激の少ないボディソープを使用し、優しく手で洗浄してください。

症状が改善しない場合早めに病院を受診

症状が改善しない場合や悪化した場合は、病院を早めに受診することが重要です。化膿性汗腺炎に似た疾患も存在するため、自己判断は難しいことが多いです。また悪化すると皮膚がんを発症するケースもあるため注意が必要です。

まとめ

化膿性汗腺炎は汗腺に細菌感染が起こり、膿がたまる皮膚疾患で、放置すると悪化する可能性が高いと言われています。症状は痛みや腫れ、膿や血液の外部流出を伴い、早期治療が不可欠です。治療には、形成外科が適切な専門科で、手術や投薬によって症状の改善を行います。化膿性汗腺炎が疑われる場合は、自分で潰さず、早めに病院を受診しましょう。化膿性汗腺炎の治療は、傷跡の目立たない治療を行う当院にお任せ下さい。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。

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