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2021.03.15

炎症の起こった粉瘤 ~形成外科専門医による東京日帰り粉瘤手術~ 

炎症した粉瘤

炎症の起こった粉瘤について解説します。動画も一番下に載せているので苦手でなければ観てください。

今回の症例では炎症によって皮膚に大きな穴が開いてしまっています。粉瘤は皮膚の中に老廃物が溜まっている状態です。老廃物の溜まった袋が壊れると、ヒトは自分で作った老廃物であっても、異物と認識するため、異物反応を起こします。それが炎症です。

炎症はヒトが老廃物をカラダの外に出す方法ですが、その際は皮膚に爆弾を投げた状態になります。爆弾は皮膚だけではなく皮下組織にも影響を及ぼし、色々なものを壊していきます。

そのため、大きな破壊により皮膚が赤くなり、最終的には皮膚に穴が開きます。老廃物を少し出すことができ、炎症は収まりますが、完全には出すことは出来ずまた再発してしまいます。また炎症のせいで、皮膚は大きく傷つけられ、傷跡と色素沈着が大きく残ってしまいます。また頭部など毛髪の生えている部位で炎症が起こると毛根が死んでしまいハゲになってしまう事もあるので注意が必要です。

今回の症例でも炎症で穴が開いてはいますが、中身はすべて出きらずに、中に溜まった状態で炎症が収まり、色素沈着が残った状態になっています。

なかなか難しい症例ですが、開口部を探しながら原因の袋を摘出していきます。

炎症した 粉瘤 取り出し

中身を取り出した状態です。ここから袋も摘出していきますが、炎症のせいで、袋の癒着が強く、摘出が非常に困難でした。粉瘤はものによっては取れやすいものと、取りにくいものがあります。特に触らずに刺激がなく、大きくなった症例は皮膜の癒着が少なく、簡単に摘出出来ます。一方で自分でよく触ったり、中身を押し出そうとしていたもの、炎症が何度も繰り返している粉瘤では皮膜の癒着が強く、取りにくくなります。また押し出そうとする行為は炎症の原因にもなるため、注意が必要です。

炎症した粉瘤

開口部をが2か所あったため、2か所のくりぬきを行っています。開口部は取らなければ再発してしまうので、出来るだけ摘出する必要があります。

開口部は炎症すると分からなくなることもあります。そして炎症するところは皮膚の開口部ではないということがとても大事なポイントになります。ほとんどの炎症した症例で開口部がずれて、皮膚の炎症を起こします。これを知らない先生も多いので炎症している症例には再発が多くなります。私ももちろん再発させることはあります。

炎症した粉瘤

創部の縫合した状態です。炎症した症例は縫わない事も多いのですが、今回はある程度、炎症が収まっているので縫合しています。それぞれの傷の状態によって色々工夫はしていますが、炎症している場合の方がトラブルがどうしても多くなります。

炎症している時の創部は破壊に向かっています。その際に縫合しても傷は寄らずに創部が開いてしまいます。創部を一部開けたりすることで、内部の出血や感染を抑えながら直すことで治療していきますが、治癒には2-3週間はかかる場合があります。

治るのに時間が掛かるせいで、傷跡が残りやすく、場所によってはケロイドが出来ます。破壊が強い場合には傷の過剰の治癒が起こりやすくなるからです。特に胸部、肩の粉瘤はケロイドが出来やすくなるので注意が必要です。また体質も強く影響します。

ケロイドについてはこちらに詳しく載せていますので参照ください。

 

形成外科専門医 古林玄