お尻の粉瘤はどうすれば?見分け方から摘出方法まで徹底解説!

お尻に粉瘤が・・・

お尻に粉瘤ができた場合、他人からは見えませんが、日常生活にとって大変支障をきたしてしまいます。
休憩中や通勤中、食事中などでも気が休まらずに、本当に辛いですよね。
でもそれ以上に辛いのは、手術の痛みや入院によって時間がとられることだと考えている方は多いのではないでしょうか。

「デスクワークだからお尻の粉瘤がつらい・・・」
「手術は痛そうだから我慢すればいいか・・・」
「仕事は休めないから入院は厳しい・・・」

この記事では、このようなお悩みを持つ方のために、お尻の粉瘤治療に関して気になるポイントを解説しています。

お尻の粉瘤とは

では粉瘤とはいったいどういう症状でしょうか。
類似した症例とともに紹介していきます。

粉瘤(特に痛みがない)

粉瘤とは表皮嚢腫、粉瘤腫、アテローム、アテローマと呼ばれる良性の腫瘍です。
皮膚が盛り上がって、丸いしこりのような見た目をしています。大きさは数ミリ程度ですが、数年も放置すると、10センチを超えるほど肥大化するケースがあります。
しこりの中央には開口部(黒い点)があり、つぶれていなくても臭いがする場合があります。

粉瘤の正体は、垢(角質)や皮脂などの老廃物が、皮膚の下の袋上組織に溜まったものです。
本来であれば、それらの老廃物は勝手に皮膚から剥げ落ちていくものですが、袋があることで体内に溜まってしまうのです。

粉瘤ができる原因は、ウイルスの感染や外傷とされていますが、詳しいことはまだ明らかになっていません。
原因がわからないため、予防法もありません。
そのため、男女問わず、清潔にしていても、体中どこの部位でも発生する可能性があります。
その中でも特に首や背中、耳の後ろ、顔、股関節などにできやすいため、お尻にできることも珍しくありません。

炎症性粉瘤(強い痛みがある)

粉瘤が赤く腫れていて、明らかに痛みを伴う状態を、炎症性粉瘤と言います。
炎症性粉瘤の要因としては、老廃物が袋を飛び出して皮膚内部に広がってしまうことや、細菌感染、異物反応などが挙げられます。
袋の中は皮膚から出た老廃物が溜まっているため、細菌の増える温床です。
炎症が起きたまま放置していると、細菌によっては合併症を引き起こしたり、悪性化したりする可能性もあるため、注意が必要です。

お尻によくできる粉瘤の類似皮膚疾患

次にお尻の粉瘤とよく似ていて、間違われることが多い皮膚疾患を3つ紹介します。
ぜひ自分の症状と比較して考えてみてください。

【ニキビ】
ニキビは顔だけでなく、お尻に発生することもありますが、しこり中央の黒い開口部はなく、巨大化しないため見分けがつきます。
ニキビは毛穴の感染であるのに対して、粉瘤は皮下腫瘍です。
原因はホルモンバランスの乱れなどによる、過剰な皮脂分泌の増加、アクネ菌の増加、毛穴の詰まりなどが挙げられます。

【おでき】
高齢者、肥満体型の方、糖尿病の方などが発症しやすく、細菌の感染によってできる皮膚症状です。
粉瘤と同じようにしこりができますが、おできは早い段階で痛みが生じるため、見極めることができます。
おできと粉瘤の区別がつかない場合は、施術の際に外科的処置が必要となるケースもあるため、形成外科の受診がおすすめです。

【毛巣洞:もうそうどう】
毛巣洞は体毛が濃い、多毛、長時間の座位により、体毛が皮膚に刺さって発症します。
肛門の頭側の皮膚に生じる事が多いですが、脇などの毛の多い部位などにも生じます。
無症状の場合もありますが、感染すると炎症が起こり、痛みが出たり、膿が出てきたりします。
そのため、痔瘻や化膿した皮膚腫瘍、粉瘤と間違えられることがあります。

摘出手術の気になるポイント

ここからは、粉瘤の摘出手術について気になるポイントを3つ解説します。

お尻の粉瘤は手術しなくても勝手に治る?

粉瘤は放っておいても、自己完治しません。袋ができてしまえば、老廃物がたまり大きくなる一方です。
よくあるケースで、しこりを潰して、粉瘤を自身で除去しようとする方がいます。
これは逆効果で、老廃物の中の細菌が皮膚内部に飛び出したり、傷口を通って外から細菌が侵入したりして、炎症性粉瘤となることがあります。
もし炎症反応が起きず、老廃物を取り出せたとしても、皮膚の裏に袋の部分の組織が残っていると、再び老廃物がたまるため、再発します。
また、薬物療法は炎症を抑える効果がありますが、粉瘤自体は消滅しないため根本的な解決になりません。

手術は痛い?

お尻の粉瘤を摘出するには2つ方法があります。
切開法と、くりぬき法という摘出手術です。
どちらの方法も皮膚に穴をあけて粉瘤を摘出するため、手術の際は局所麻酔を用いて痛みを軽減させます。
局所麻酔をした場合の手術の痛みは、歯科で麻酔をしてもらって親知らずを抜く時のイメージと変わらないでしょう。ほとんど何も感じることはありません。

当クリニックでは、局所麻酔を注射する際も、極細の針を使用し薬剤の配合も工夫するなど痛みを軽減する配慮を行っています。

炎症していても日帰り治療は可能?

たとえ炎症性粉瘤であっても、基本的に日帰り手術が可能です。
当クリニックでは、事前の診療で粉瘤の大きさや数、炎症の有無などを確認し、日帰り手術が可能かどうかを慎重に判断します。
日程を分けて通院しながら摘出手術を行うことで日帰りでの手術が可能です。

こうして入院をしない施術ができるため、
「連日の入院は厳しい」「仕事の都合で入院をしたくない」
そんな方におすすめの手術です。

また、手術に全身麻酔が必要な場合や悪性腫瘍の疑いがある場合などは、提携している大学病院などをご紹介させていただき、安心で円滑な治療を心掛けています。

手術方法

最後にお尻の粉瘤の摘出手術を2つ説明します。

【切開法】
切開法は、粉瘤の真上の皮膚を切開して粉瘤を摘出するというシンプルなものです。
膨らんだ粉瘤をそのまま一直線に切ると、中身を摘出した時に膨らんでいた分の皮膚が余ってしまうため、楕円のような形に切開します。
老廃物と袋状の組織をしっかり残さずに摘出した後、縫合を行います。
綺麗に縫合すれば時間が経つにつれて傷跡も目立たなくなります。

【くり抜き法】
くり抜き法はトレパンと呼ばれる丸い刃型の特殊なメスで丸い小さな穴を開け、その穴から粉瘤の内容物と袋状組織を摘出する手法です。
切開法と比較すると、最小限の傷跡しか残らず、小さいものであれば5分程度で手術は終わります。
このように2つの手法がありますが、粉瘤の状態によって最適な摘出方法は異なります。
当クリニックでは、患者様の不安を少しでも解消できるよう寄り添い、それぞれの患者様に合った治療方法を選択できるよう事前のご説明、ご相談を大切しています。

まとめ

●自然完治しないので、摘出手術が必要
●摘出手術の痛みは、局所麻酔によりほとんどない
●炎症性粉瘤でも基本的に日帰り治療は可能

お尻に粉瘤ができた場合、人に見せるのが恥ずかしく、診断に気が進まない方は多いと思います。
しかし、粉瘤は少しずつ着実に大きくなり、とある拍子に炎症を起こしたり、合併症を引き起こしたりする可能性があります。
粉瘤かどうかわからない、摘出したいけど不安な点があるなど、お悩みの方は早急に診断をおすすめします。

当クリニックは、東京都新宿駅東口より徒歩5分のアクセスで、土日診療も対応可能です。
まずは気軽にご相談ください。

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