その他の皮膚腫瘍

2021.04.12

粉瘤と間違えやすい腫瘍【ガングリオン】症状/治療法

ガングリオンとは

 骨の関節と関節の間や腱と腱鞘にある滑液が何らかの原因で漏れ出てしまい、皮膚の下に腫瘍を作り出した腫瘍をガングリオンと言います。腫瘍の内容物は滑液が濃縮してゼリー状になります。腫瘍は関節の間の関節包に繋がっており、徐々に大きくなってきます。主に手関節にでき、神経などを圧迫すると痛みが生じます。

 

症状

 ほとんどが無症状ですが、神経を圧迫すると痛みやしびれが出てきます。長期間放置していると運動麻痺が起きる事もあります。関節部位かから液が漏れ出たものであるため、手を動かし過ぎると腫瘤は大きくなります。

 

原因

 ガングリオンができる理由ははっきりとわかっていません。若い女性に少し多い傾向があります。

 

診断

 エコー検査で診断がつきます。また大きなものや、痛みの伴うものはMRI検査で詳しく診る場合もあります。また針で刺してゼリー状の内容物を確認することでガングリオンと診断できます。

治療

 症状がなければ経過観察とします。増大傾向や痛みがあるものは治療を行います。

 注射器のより内容物であるゼリーを排出する保存的療法があります。術後圧迫固定を行いますが再発率は約50%です。何度か吸引することで治ることもあります。何度も再発する場合にはケナコルトを注入することもあります。

 それでも再発する場合には手術を行います。手術をしても再発する可能性もあります。論文により差はありますが再発率は約10%から40%と言われています。手術は関節から出てきている根っこを摘出する必要があり、その他の腫瘍摘出術よりは少し難しくなります。再発予防として術後の固定もとても大事になります。

 

形成外科専門医 古林玄