脂肪腫ができやすい人とは?腫瘍の原因と治療方法を解説

はじめに

脂肪腫ができやすい人は、比較的肥満な人に多く、女性の割合が高いとされています。脂肪腫は体のどの部分にも発生する腫瘍であり、原因は明確に判明していません。
日常生活に支障がなければ、すぐに治療の必要はありませんが、脂肪腫は他の腫瘍とよく間違われやすく注意が必要です。
また大きくなれば、直径10センチ以上にまで成長することもあります。脂肪腫は自然に小さくならないため、気になる症状がある時は早めに検査を行い、適切な治療を行いましょう。

 

脂肪腫とは?

脂肪種とは柔らかい腫瘍であり、良性腫瘍であることが多いと言われています。皮膚にできる腫瘍の中では発生頻度が高く、脂肪細胞がある部分であれば、体のどこにでも発生します。
脂肪腫は良性の腫瘍ですが、稀に悪性へと変異する可能性もあるため注意が必要です。非常にゆっくりと肥大化していくため、脂肪腫ができていることに気付かない人も多くいます。
必ずしも摘出が必要ではありませんが、脂肪腫と見た目が似ている悪性腫瘍も存在しているため、自己判断による放置は避けるようにしましょう。

脂肪腫ができやすい人の特徴

脂肪腫ができやすい人の特徴は、肥満の方や糖尿病、高脂血症を患う方に多いとされています。高カロリーで栄養バランスが悪い食事や、加工食品の頻繁な摂取などは、脂肪腫のリスクを高めます。食生活や生活の乱れは、脂肪腫ができやすい原因に繋がるため、バランスの良い食事や規則正しい生活を心がけましょう。
また年齢を重ねるごと脂肪腫を患うリスクは増し、40代から60代の方に多い疾患です。また男性よりも女性の方がわずかに多く、遺伝性もあると考えられています。
ご家族の中に脂肪腫を患っている方は、発生リスクは高まるでしょう。遺伝や性別により、なりやすい人には傾向がありますが、ご自身で改善できる点もあります。
最も大切なことは、規則正しい生活や食生活です。これは脂肪腫だけでなく、他の健康状態にも影響を及ぼす可能性があるため、改善を心がけてみましょう。

脂肪腫を放置すると起こるリスク

脂肪腫を治療せずに放置した場合、下記のようなリスクがあります。

●腫瘍が肥大化する
●発生場所によっては痛みを伴う

腫瘍が肥大化する

脂肪腫は自然に小さくなることはなく、ゆっくりではあるが徐々に大きくなっていきます。肥大化した脂肪腫は、周囲の細胞や臓器を圧迫する可能性があります。
これにより痛みや不快感、身体機能に障害が生じる場合があるでしょう。さらに非常に稀なケースで、脂肪腫は悪性に変異することもあるため、注意が必要です。
一般的には良性腫瘍ですが、早期治療を行い肥大化や悪性への変異、悪化を予防することが重要になります。

手術の危険性が高まる

肥大化した脂肪腫の摘出は、手術の危険性が高まります。大きな脂肪腫は、手術した際に出血の恐れや周囲組織の損傷リスクがあると言えます。
また脂肪腫が深部にまで肥大化したり、周囲に重要な血管や神経が近接していると、さらに手術のリスクが高くなりかねません。
そのため脂肪腫は、大きくなる前に適切な手術を受けるようにしましょう。

傷跡が大きく残る

脂肪腫を手術した際、傷跡が大きく残るリスクがあります。手術の時は、脂肪腫の大きさや深さに応じて切開が必要になります。
そのため大きく切開すればするほど、傷跡が残るリスクが高まるでしょう。
傷跡の目立ち方は、体質や手術方法によって異なりますが、傷跡が心配な方は、脂肪腫が小さい間に手術を行うことが推奨されます。

発生場所によっては痛みを伴う

腫瘍ができる場所によっては、痛みを伴うケースがあります。一般的に、脂肪腫は痛みやかゆみなどの症状を感じる人は少ないと言われています。しかし圧迫や刺激によって痛みを引き起こす可能性があるでしょう。
特に神経や筋肉、骨などの近くに脂肪腫が発生すると、他の組織を圧迫することで痛みが生じるケースがあります。
ほかにも動きや摩擦によっても痛みを伴う場合があるため、痛みが強くなる前に適切な治療を行いましょう。

脂肪腫の治療方法

脂肪腫の治療方法は、手術による摘出になります。脂肪腫の中身は液体ではないため、注射器などによる吸引も不可能です。
そのため皮膚を切開して行う、外科手術が必要になります。手術は、局所麻酔や全身麻酔の下で行われ、日帰りによる手術が可能な場合もあります。
脂肪腫は自然治癒しない腫瘍ですが、手術を行えば再発リスクが低い疾患です。脂肪腫に疑いがある時は、早めに診察を受けることで、体への負担を軽減し、不安も解消できるでしょう。

診察から手術の流れ

  • ここでは、脂肪腫の診察から手術までの流れを紹介します。

●疾患を鑑別し検査を行う
●治療方法や手術内容の説明 

日帰りによる摘出手術 初めての病院で診察や手術は、不安な点も多いですが、下記を参考に流れについて知識を深めてください。

疾患を鑑別し検査を行う

脂肪腫の疾患を鑑別するために、問診と視診、触診を行います。まずは問診で、症状や腫瘍の発生経緯について話していきます。
そして視診で腫瘍の形状や皮膚の変化などを観察し、最後に触診で腫瘍の硬さや痛みの有無、周囲の組織との関係性について診察が行われるのが一般的です。
医師は、この診察を元に脂肪腫であるか鑑別していきます。ただし診察結果だけでは確定診断が難しいため、必要に応じて画像検査やエコー検査、CT検査などが追加される時もあります。

治療方法や手術内容の説明

脂肪腫であると判断された場合、治療方法や手術の説明を受けます。脂肪腫の治療方法は、麻酔を使用した外科手術です。
そのためここで詳しく手術内容や麻酔、注意事項などの説明があります。不安や心配なことがある場合、遠慮せずに伝えておきましょう。
安心して治療を始めるためには、非常に重要なことなので、できる限り事前に不安を解消しておくと安心です。

日帰りによる摘出手術

手術の説明を終えれば、実際に手術を行います。脂肪腫の手術は、一般的に日帰りで受けることが可能です。
しかし腫瘍の大きさや悪性の疑いがある場合は、日帰り手術ができないケースもあるため、事前の説明で確認しておきましょう。
日帰りによる手術が不可能な場合は、提携している病院への紹介を受け、最適な手術を受けられるようにサポートしてくれます。

手術後の注意点

傷が早く綺麗に治るために術後は、飲酒や運動を避けるようにしましょう。特にアルコールの摂取は傷の治りに悪影響を及ぼすため、術後最低でも3日間は控える必要があります。
医師によるアルコール摂取の自粛推奨期間は、1週間程度とされており、可能であれば1週間程度控えると安心です。
また入浴については、当日は細菌の感染リスクがあるため、不可能な場合が多いですが、術後翌日からシャワーが可能になります。
しかし切開を行った大きさや部位によっても異なるため、医師の指示を確認しましょう。

まとめ

脂肪腫ができやすい人は、肥満の方や糖尿病、高脂血症の方に多い傾向です。また遺伝性もあるとされています。
しかし明確な原因は判明しておらず、誰もがなり得る疾患と言えるでしょう。
脂肪腫は良性腫瘍である場合が多いが、腫瘍は自然に小さくならず、時間の経過とともに大きく変化していきます。また脂肪腫は稀に悪性腫瘍に変異する可能性や痛みを伴うケースもあり、自己判断による放置は避けるようにしましょう。
脂肪腫のようなできもの全般の治療は、形成外科専門医である当院にお任せください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。