「昔より顔にほくろが増えたかもしれない」と感じたことはないでしょうか。
ほくろは誰にでもあるものですが、数が多かったり急に増えたりすると気になりますよね。
特に、顔のほくろは見た目の印象に影響するため、ほくろの除去を検討する方も少なくありません。
ほくろには、種類や状態に応じた適切な治療方法があります。もし自分で処置を行うと感染症や傷跡が残るリスクが伴います。
この記事では、顔のほくろが増える原因や治療法、予防策について解説します。ほくろを安全に除去したい方や、増やさないためのケアを知りたい方はぜひ参考にしてください。
顔のほくろが増える主な原因
顔のほくろが増える主な原因は、以下のとおりです。
- ・紫外線によるメラニンの蓄積
- ・遺伝による体質的な影響
- ・ホルモンバランスの乱れ
それぞれ詳しく見てみましょう。
紫外線によるメラニンの蓄積
顔のほくろが増える、最も一般的な原因が紫外線です。紫外線を浴びると、肌はダメージを守るためにメラニン色素を生成します。本来、メラニンは肌表面にとどまり、時間とともにターンオーバー(肌の生まれ変わり)によって排出されます。
しかし、過度な紫外線を浴びたりターンオーバーが乱れたりすると、メラニンが肌に蓄積し、ほくろとして定着するのです。結果として新しいほくろが形成されたり、すでにあるほくろが濃くなったりします。
特に顔は一年中紫外線にさらされやすいため、日焼け対策を行わずに外出する習慣がある方は、知らず知らずのうちにほくろが増えることがあります。
遺伝による体質的な影響
遺伝も、顔のほくろの数に影響を与える要因です。両親や祖父母にほくろが多い方がいる場合、皮膚のメラニンの生成量や分布など、性質が似ていると体質的にほくろができやすくなります。
遺伝が原因の場合は紫外線対策を徹底しても完全に防ぐのは難しいですが、日常的なケアである程度の予防は可能です。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れによってメラニンの生成量が増加し、ほくろが増える場合もあります。特に女性の場合、妊娠や出産、更年期などホルモンの変動が大きい時期にほくろが増えるケースがあります。
また、ストレス・睡眠不足・食生活の乱れなど、生活習慣によってもホルモンバランスが乱れやすくなります。
顔のほくろの治療方法
顔にできたほくろを除去したい場合、皮膚科や形成外科、美容皮膚科で以下のような方法で治療可能です。
- ・レーザー治療
- ・外科的切除
- ・電気メス(電気焼灼)
- ・くり抜き(パンチ切除)
適切な治療方法は、ほくろの大きさや箇所、症状によって変わります。希望する方法がある場合は、医師に相談しましょう。
レーザー治療
レーザー治療は、炭酸ガスレーザーやQスイッチレーザーなどを使用し、ほくろのメラニン色素に反応させて除去する方法です。切開する必要がないため、傷跡が残りにくく、ダウンタイムも短いことがメリットです。
ただし、盛り上がったほくろや深い根のあるほくろなどには適用できない場合があります。
外科的切除
外科的切除は、メスを用いてほくろを切り取る治療方法です。基本的に、縫合が必要になります。再発のリスクが低く、病理検査にも出せるため、悪性の疑いがあるほくろの場合に適しています。
大きなほくろや根が深いものなど、他の治療方法では除去が難しいケースにも対応可能です。
電気メス(電気焼灼)
電気メスは、高周波の電気で熱エネルギーを与え、ほくろを焼き切る方法です。治療時の出血が少なく、短時間で処置が完了します。手術中の止血効果も高いため、出血しやすい部位のほくろ除去にも適しています。
ただし、深いほくろや悪性の疑いがあるものには適していません。短時間・低踏襲で治療したい方に適した選択肢の一つですが、ほくろの状態によっては別の治療方法が推奨されることもあります。
くり抜き法(パンチ切除)
くり抜き法は、直径数mmの円筒形のメス(パンチ)を使用して、ほくろを丸くくり抜く治療方法です。皮膚の表面だけでなく、真皮層(深い部分)まで除去できるため、再発リスクが低くなります。
切除後は、縫合せずに自然に傷がふさがるまで待つケースが多いですが、サイズや場所によっては縫合が行われることもあります。
くり抜いた部分がくぼむことや、色素沈着が残る可能性もあるため、術後のケアや紫外線対策が重要です。
ほくろと皮膚がんの見分け方
ほくろの中には、悪性(皮膚がん)の可能性もあるため、以下のような特徴がある場合は早めに医療機関を受診しよう。
項目 | 詳細 |
---|---|
Asymmetry(左右非対称) | ほくろの形が左右対称ではない |
Border(境界が不明瞭) | 周囲がぼやけていたり、ギザギザしている |
Color(色が不均一) | 黒・茶色・赤・青など、複数の色が混在している |
Diameter(直径が6mm以上) | 大きさが拡大している |
Evolution(進行性の変化) | 短期間でかゆみ・出欠・色・形などの変化が見られる |
「急激に変化した」「以前と比べると明らかに異なる」と感じた場合は、自己判断で放置せず医師の診断を受けましょう。
顔のほくろを増やさないための予防方法
新たなほくろができないようにするためには、以下のような日々のスキンケアや生活習慣の見直しが重要です。
予防方法 | 詳細 |
---|---|
紫外線対策の徹底 | ・外出前には日焼け止めを使用する ・状況にもよるが「SPF30以上」「PA++以上」がおすすめ |
顔への直射日光を物理的に遮断 | 帽子・日傘・サングラスなどを使用して、顔への直射日光を防ぐ |
生活習慣の見直し | 十分な睡眠・バランスの取れた食事・ストレス管理など、ホルモンバランスを安定させるよう心がける |
ほくろを除去するのは手間がかかりますが、日頃のケアで増加を抑えることはできます。毎日の小さな習慣が、肌へのダメージを減らし、ほくろの予防につながるでしょう。
ほくろを除去する際の注意点
ほくろを除去する際の注意点は、以下のとおりです。
- ・自己判断で除去しない
- ・保険適用か自由診療か確認する
- ・施術後はアフターケアを行う
それぞれ詳しく見てみましょう。
自己判断で除去しない
市販のほくろ除去クリームや、自分で無理やり取る行為は避けましょう。傷跡や感染症の原因になるだけでなく、悪性(皮膚がん)の可能性を見逃すリスクもあるためです。
悪性かどうかは、ほくろの見た目だけでは判断が難しいため専門医の診断が必要です。安全かつ確実に除去するためにも、自己判断ではなく必ず医療機関に相談しましょう。
保険適用か自由診療か確認する
ほくろを除去する際は、保険適用か自由診療か確認しましょう。基本的に、美容目的でのほくろ除去は自由診療扱いとなり、全額自己負担となるケースが一般的です。
一方、悪性の疑いがある場合や、医師が医学的に除去が必要と判断した場合は保険適用となります。
医師の診断結果によって保険適用の可否が変わるので、まずは正確な診断を受けましょう。治療内容や方法、費用は医療機関によって異なるため、カウンセリング時に確認しておくと安心です。
施術後はアフターケアを行う
ほくろを除去した後の肌はデリケートな状態になっているため、アフターケアをしっかり行うことが重要です。適切なアフターケアを行うことで治療効果を高め、傷跡を最小限に抑えられます。
日焼けを避け、医師に指示に従って軟膏の使用やガーゼ交換などの適切なアフターケアを行いましょう。治療方法にもよりますが、術後1週間~1ヶ月程度のケアが必要です。
適切なケアを続けることで、炎症や色素沈着などを抑え、きれいな仕上がりを目指せます。どんなに小さな施術でも、アフターケアを怠らないようにしましょう。
ほくろが気になる場合は当院へご相談ください
顔にほくろが多くなる原因は、紫外線や遺伝、ホルモンバランスの乱れなどがあり、誰にでも起こり得るものです。気になるほくろがある場合は自己判断せず、専門医に相談することが大切です。診断結果によって、レーザーや外科的処置で治療できます。
また、紫外線対策や生活習慣の見直しを日常的に心がけることで、新たなほくろの発生を防げます。自己判断せずに、医師によるカウンセリングを受け、正しい知識と方法で対処しましょう。顔のほくろが増えたとお悩みの方は、当院へご相談ください。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。
他にも多数の症例を解説しています。