できものの種類と見分け方|放置するリスクと治療方法を解説

はじめに

「できもの」は、世代性別を問わず誰にでもできるものです。
「できものは自然に治る?」「大きくなることはある?」「放置しても問題ない?」
このような不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
できものにはさまざまな種類が存在し、症状によって治療方法も異なります。なかには、外科手術でしか治療できない症状も存在します。
本記事では、よくできるできものの代表例とそれぞれの治療方法、できものを放置することのリスクも解説します。

できものとは?

できものとは、「腫瘍」や「しこり」のことで、体のあらゆる場所にできます。ニキビやほくろなども、できものの一種です。
できものができる原因はさまざまで、形状や痛み・かゆみの有無、良性・悪性など、症状もさまざまです。
痛みを伴わない場合、「気付いたらできていた」というケースも少なくありません。
できものの種類や症状によって、内服薬や外用薬で治療できるものもありますが、外科手術が必要なケースもあります。
また、良性か悪性かを自身で判断するのは困難です。そのため、できものができたら放置せずに、できるだけ早い段階で医療機関を受診しましょう。
早めに治療をすることで治りが早かったり、傷跡が小さく済んだりとメリットも多くあります。

できものの種類の代表例

できものには、数多くの種類が存在します。まずは、どのような種類があるのか知っておくことが大切です。できものの代表例を紹介します。

粉瘤(アテローム)

粉瘤とは、皮膚の皮脂や角質などの老廃物が袋状に溜まった「しこり」です。良性腫瘍で、転移することはありません。
粉瘤を見分けるポイントは、ドーム状に膨らんでいることと、開口部の中央に黒点が見えることです。潰れると独特のにおいがします。
粉瘤は、初期段階では目立ちませんが、炎症を起こすと痛みを感じます。そして、自然治癒することはありません。
無理に潰そうとすると症状は悪化し、周りの皮膚と癒着を起こしてしまいます。根治させるためには外科手術が必要になるので、早めに専門医に相談しましょう。

脂肪腫(リポーマ)

脂肪腫とは、皮下組織にできる良性腫瘍です。小さいサイズで1cm程度のものから、大きいと10cmを越えるものもあります。
痛みを伴わないのが特徴ですが、肥大化することにより神経を圧迫し、痛みが出ることがあります。
脂肪腫は徐々に肥大化していくため、サイズが小さいうちに取り除くことが望ましいとされています。
自然治癒することはありません。メスを使用した手術で、完全摘出する治療が一般的です。

ほくろ

ほくろは誰にでもある身近なものですが、できものの一種です。
メラニン色素が沈着したもので、専門用語では「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と呼びます。
サイズや色はさまざまで、基本的には放置していても問題ありません。
しかし、悪性(皮膚がん)の場合もあるので、突然増えたり大きくなったりした場合は注意が必要です。気になる場合は専門医に相談しましょう。

イボ

イボとは、皮膚や粘膜にできる柔らかいできものです。ウイルスが皮膚内に入り込むことにより発症します。
専門用語では「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」と呼びます。 イボには、ウイルス性のイボや老人性のイボ、水イボなど、さまざまな種類が存在します。

そして、痛みや痒みを伴わないケースがほとんどです。しかし、触れると大きくなったり、数が増えたりすることもあります。
自然治癒することもありますが、悪性腫瘍の可能性もあるので放置することはおすすめできません。

石灰化上皮種(毛母腫)

石灰化上皮種とは、皮膚や皮下組織にできる良性腫瘍で「毛母腫(もうぼしゅ)」とも呼びます。
20歳以下の方に多くみられるできものですが、発症する原因は解明されていません。
石灰のように固いしこりができ、触れると動き、押すと痛みを感じることもあります。
色は皮膚と変わらない色か、皮膚が薄い場所にできると青黒く透けて見えることもあります。
ゆっくり成長する良性腫瘍で、急激に大きくなることはありません。
しかし、自然治癒はしないため、小さいうちに取り除くことが望ましいとされています。
薬やレーザーで取り除くことはできないので、根治させるためには外科手術が必要です。

ニキビ

ニキビとは、皮脂腺や毛穴の詰まりが原因でできるできものです。
思春期には「ニキビ」、大人になると「吹き出物」と呼ばれることもありますが、正式名称は「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」といいます。
顔や背中・胸・臀部などにできやすい、身近なできものの一種です。 症状が悪化し炎症を起こしてしまうと、痛みや痒みを伴うこともあります。
重症化すると跡が残ることもあるので、軽視してはいけません。内服薬や外用薬で治療ができるので、早い段階で専門医に相談しましょう。

できものを放置するリスク

できものにはさまざまな種類がありますが、なかには自然治癒しないできものも存在します。そのため、痛みや痒みを伴わなくても放置するべきではありません。
放置することで症状が悪化したり、傷跡が大きく残ってしまったりします。また、悪性腫瘍の可能性も考えられるので注意が必要です。
できものに気付いた場合は、自己判断せずに専門医に診てもらいましょう。早い段階で治療することが大切です。

できものの治療方法

できものの種類によって、治療方法はさまざまです。できものの代表的な治療方法は以下の通りです。

内服薬を用いた治療方法

飲み薬で症状を改善させる治療方法です。細菌やウイルスが原因の場合、十分な治療効果を発揮します。
症状に合わせて、抗生物質や抗ウイルス薬・鎮痛薬・かゆみ止めなどが処方されます。体質や年齢などで、漢方薬が処方されることもあります。

外用薬を用いた治療方法

症状が出ている患部に外用薬を塗布し、症状を改善させる治療方法です。
症状によって複数の外用薬を使用する場合や、内服薬と併用することもあります。

外科手術による治療方法

内服薬や外用薬では治療できない、できものも存在します。外科手術の際には麻酔薬を使用して処置するため、手術そのものに痛みを感じることはありません。
症状にもよりますが、当院では日帰り手術も可能です。

その他の治療方法

上記の治療方法以外では、液体窒素治療やレーザー治療があります。 液体窒素治療は、-196度の液体窒素を塗布してできものを取り除く方法で、痛みを伴う場合もあります。
ウイルス性のイボや、老人性のイボによく使われる治療方法です。 レーザー治療は、患部にレーザーを当て症状を改善させる治療方法です。
ほくろの治療に有効です。治療痕が目立たないのが特徴です。

まとめ

できものには、良性のものから悪性のものまで、さまざまな種類が存在します。
できものが小さいからといって、放置するのは危険です。大切なのは、早い段階で治療をすることです。
どの種類のできものなのか自己判断が難しいこともあるため、早めに専門医に相談しましょう。
当院では、傷口が目立ちにくく再発の心配が少ない治療や手術を行っております。
できものができてしまい、不安を感じている方はぜひ当院にご相談ください。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。