粉瘤はなぜできるの?できものの専門医が徹底解説!

はじめに

粉瘤ができていて、このままにして良いのか不安に思っていませんか?粉瘤は良性の場合が多いですが、放置しておくリスクもあるためなるべく早く病院を受診する必要があるでしょう。当記事では、粉瘤のできる原因や症状、粉瘤に似た皮膚疾患や治療法について紹介します。記事を読めば、粉瘤ができた時にどのように対応すればよいかがわかります。

粉瘤(アテローム)とは

粉瘤とは、皮膚下に袋ができて、その中に垢や皮脂がたまってできた腫瘍の総称のことです。腫瘍というと「癌」を想像するかもしれませんが、粉瘤は他に転移しないと言われる「良性腫瘍」です。外見は半円上にもり上がった「しこり」であり、中央に黒い点があります。初期に自覚症状はなく、かゆみや痛みはありません。しかし、細菌が侵入すると炎症を起こして痛みや腫れが出てくることもあります。

粉瘤はなぜできるのか

粉瘤がなぜできるかについては、現在のところ明確になっていませんが、考えられているものは以下の通りです。
● ケガや炎症で皮膚が化膿しやすくなる
● 垢や皮脂により毛穴が詰まる
● ウイルス感染している
毛穴が詰まることが原因の1つと考えられているため、不潔にするとできると思われていますが、できやすい体質の人がいることはわかっています。

粉瘤ができやすい人の特徴

粉瘤は中年男性にできやすく、男性の発生率は女性の約2倍という論文があります。中年男性の人は、粉瘤ができやすいため注意が必要です。

粉瘤の予防法

粉瘤を予防する方法は、粉瘤の発生原因が明らかになっていないため、現在のところ明確に判明していません。ただ、毛穴の詰まりや皮膚が炎症を起こすることが原因とわかっているため、できる限り皮膚の状態を清潔にする必要があるでしょう。

粉瘤の特徴

次に粉瘤の症状やできやすい部位、リスクについて分けて解説します。粉瘤ができて気になっている人は、参考にしてください。

粉瘤の症状

粉瘤の症状にはさまざまなものがあり、特有な症状がいくつかあります。
● 中央部に皮膚表面につながる開口部(小さな黒い点)がある
● でき始めの小さな粉瘤は肌色や白色である
● 開口部を押すと、ドロドロとした臭いものが出てくる
● 時間が経つにつれて膨らんでくる
● サイズが膨らんでくると色が変わることがある(青、黒、黄色)
● 感染や炎症によって赤く腫れて、痛むことがある
● 放置していてもなくならない
放置していてもなくならないため、このような症状がある場合には、病院を受診するようにしましょう。

できやすい部位

粉瘤は、体のさまざま部位にできる可能性があり、粉瘤の約60%が首・背中・顔面にできると言われています。そのため、皮脂の分泌が関与している可能性があるようです。また、足の裏に発生する場合もあり、その場合は若年者(20歳±10.2歳)に多いと言われています。

粉瘤のリスク

粉瘤は他に転移しない「良性の腫瘍」と言われており、リスクは少ないと言われています。しかし、放置していると以下のようなリスクがあります。
老廃物がたまって大きくふくらんでくる
悪臭がする
細菌が入り込んで炎症を起こして膿が出てくる
症状のところでも述べましたが、時間が経つと粉瘤の中身が増えて大きくふくらむ可能性があります。また、老廃物の貯留により悪臭を放つようです。さらに、細菌が入り込むと感染し炎症を起こし痛みが出てきて、膿がでるようになります。
また、まれですが、経過が非常に長くサイズの大きなものや炎症を繰り返したものは悪性化(がん化)したという事例があります。中高年男性のおしり、頭部、顔面に生じたものが悪性化したというものです。「粉瘤が長い期間ある」、「急にサイズが大きくなった」、「皮膚に炎症を繰り返している」などという症状がある場合には、病院を受診するようにしましょう。

粉瘤に似た皮膚疾患

粉瘤に似た皮膚疾患は、以下のようなものがあります。
ニキビ
脂肪腫
せつ(おでき)
ガングリオン

ニキビ

ニキビは、ホルモンバランスの乱れによって起こると言われています。できる部位は背中や胸などであり、粉瘤ができる部位と似ています。しかし、ニキビは10㎝以上になることはなく、悪臭がすることはありません。ニキビの薬を塗っても治らない場合には、粉瘤であることを疑いましょう。

脂肪腫

脂肪腫は、皮膚と癒着しておらず皮膚の下で動く腫瘍です。粉瘤は固くて弾力がありますが、脂肪腫はやわらかい「しこり」であり、触った感覚が異なります。また、粉瘤のように炎症を起こしたり、痛みや匂いがしたりすることはありません。

せつ(おでき)

せつ(おでき)は菌の感染によってでき、高齢者・糖尿病患者・肥満者にできる皮膚の疾患です。初期は「しこり」のようであるため粉瘤と似ていますが、せつは初期から痛みが出やすい特徴があります。初期に痛みのない粉瘤と区別できるでしょう。

ガングリオン

ガングリオンは、ゼリー上の粘液が貯留してできた「しこり」で、関節の周囲にできやすいと言われています。20~50歳に多く、若い女性に見られ、痛みは出ません。ただ、ガングリオンが神経を圧迫すると痺れや痛みを起こすことがあります。

どの疾患も粉瘤と症状は異なりますが、自分で判断できない場合には病院を受診するようにしましょう。

粉瘤の治療法

粉瘤は良性の腫瘍と言われているので、治療が絶対に必要というわけではありません。本人が気になっておらず、粉瘤が小さければ、何も処置しない場合もあります。
ただ、粉瘤の内部に老廃物がある限り完全に治ることはなく、飲み薬や塗り薬で治すことはできません。そのため、基本的に手術による治療が必要です。
炎症している粉瘤の場合は、膿を覆っている袋が周囲とくっついているため、そのまま取り除くことはできません。この場合には、袋から菌を除去する治療から行います。菌を除去する方法は、塗り薬で小さくしたり、抗生剤の内服をしたりします。また、切開して膿を外に出し菌を除去する方法です。
以下では、炎症が軽度の場合や炎症がない場合の手術法である「くりぬき法」と「切開法」について紹介します。

くりぬき法

特殊な器具(トレパン)で粉瘤の中心を4~5mmほど丸く切開し、構造物を絞り出し、取り除く手術方法です。なるべく小さな切開により腫瘍を摘出でき、手術時間も5分~20分で可能です。傷の部分も縫わないため、傷跡も目立たず、顔面などに適しています。
後述する「切開法」よりも傷跡が小さく目立ちにくいと言われていますが、袋の周囲の癒着が強い粉瘤ではすべてを取りきれない場合もあります。取り切れない場合には、再発するリスクがあるため注意が必要です。

切開法

粉瘤の周りを切開し粉瘤を切除して縫合するため、再発のリスクは軽減できますが、傷跡が残るデメリットがあります。局所麻酔をした後に真ん中の皮膚を切り取り、粉瘤の壁に沿って構造物を摘出し、止血後に傷を縫合します。
なるべく傷あとを残さないように切開を小さくしていますが、粉瘤の大きさと同じ長さの線の傷跡が残るため、傷跡を残したくない人にはおすすめできません。

まとめ

粉瘤は出来始めには自覚症状もなく、痛みもありません。しかし、放置するとサイズが大きくなったり、イヤな臭いを発したりする可能性があります。また、悪性化する事例もまれにあるため、粉瘤ができて気になっている方は、早めに病院を受診するようにしてください。