粉瘤が突然できた… 見分け方と治療法について解説

はじめに

粉瘤が突然できて、痛みが出ているとどうすればよいかわからないと思う方もいるかもしれません。
粉瘤は、放置すると大きくなったり、炎症したりする可能性があるため早めに病院を受診する必要があります。
この記事では、粉瘤と他の疾患との見分け方や治療法について解説します。記事を読めば、粉瘤が突然できて痛みが出ているときの対処方法がわかります。

粉瘤(アテローム)の特徴

粉瘤とは、皮膚の下に袋状の構造物が生成され、その中にはがれ落ちるはずの角質や皮脂がたまってできた腫瘍の総称のことです。粉瘤は他に転移しない「良性腫瘍」であり、初めは肌色~白色をしており、炎症を起こさなければ痛みもかゆみもありません。目立った症状がないので、病院を受診しない方が多いのが現状です。ただ、炎症を起こすと変色し、痛み、発赤、腫脹の症状が出現します。この状態は「炎症性粉瘤」と呼ばれ、すぐに治療が必要です。
粉瘤は体のさまざまな場所に突然発生しますが、特に背中、頭、顔面などに多くできます。また、中年の男性にできやすいと言われています。
粉瘤の原因は明確になっていませんが、現在考えられる原因は以下のように言われています。
● 毛穴が詰まること
● 外傷が原因で皮膚が炎症を起こしやすい
● ウイルス感染している
原因が明確になっていないため、粉瘤の予防法はありませんが、毛穴が詰まることが原因ということはわかっているため清潔にする必要はあるでしょう。

粉瘤に似た皮膚疾患

粉瘤に似た皮膚疾患はいくつかあり、ここでは代表的なものを紹介します。
● ニキビ
● 脂肪腫
● イボやおでき(せつ・よう)
● ガングリオン
それぞれの疾患との見分け方を解説します。

粉瘤とニキビの見分け方

ニキビは、毛穴に皮脂がつまって炎症を起こして、赤く腫れることがあります。粉瘤は、初期にはしこりがある程度ですが、何かのきっかけで細菌に感染して炎症すると赤くなります。そのため、ニキビと似たような外見になる可能性があるでしょう。粉瘤とニキビを見分けるポイントは以下の通りです。
粉瘤には開口部(黒い点)がある
粉瘤は悪臭がする
粉瘤はニキビの市販薬では治らずに徐々に大きくなる
粉瘤には、開口部と呼ばれるものが中央にあり、黒い点に見えます。粉瘤は、中にある老廃物から悪臭がします。また、ニキビは大きくなっても数ミリ程度にしかなりませんが、粉瘤はそのままにしていると徐々に大きくなり数センチ以上になることがあります。粉瘤は自分で治療することはできないので、サイズが徐々に大きくなっている場合には粉瘤を疑って病院を受診するようにしましょう。

粉瘤と脂肪腫の見分け方

脂肪腫は、脂肪細胞の増殖によってできる良性の腫瘍で、柔らかい「しこり」です。脂肪腫は、粉瘤と比べて柔らかく、皮膚の下で動きます。粉瘤は弾力がある硬い「しこり」であり皮膚にくっついて動くため、脂肪腫と区別しやすいでしょう。また、粉瘤はそのままにしていると徐々に大きくなりますが、脂肪腫は長年サイズが変わらないことが多いと言われています。脂肪腫と考えられる腫瘍であって瘍の可能性があるためすぐに受診する必要があります。粉瘤は放置していても治らないため、サイズが小さいうちに病院を受診しましょう。、急に大きくなった場合は悪性腫

粉瘤とイボとおでき(せつ・よう)との見分け方

イボには多くの種類がありますが、ウイルス性によるものと、加齢や紫外線が原因のものに分けられます。外見は、皮膚にできた表面がブツブツした1㎝程度の隆起であり、多くが集まって発生します。一般的には、痛みやかゆみもなく、粉瘤とは外見が異なるため判別しやすいでしょう。おできは、黄色ブドウ球菌などの細菌に感染することで、初期から炎症を起こして痛みを伴います。脇や鼠径部、お尻などにできることが多く、初期からしこりに厚みがあります。粉瘤は、初期から炎症していることは少ないため、初期段階の症状で区別できるでしょう。

粉瘤の治療法

粉瘤は他に転移しない「良性の腫瘍」ですが、サイズが大きくなったり、悪臭を放つようになったりすると治療する必要があります。また、粉瘤が炎症を起こして痛みや腫れがひどくなり重度になった場合は膿を外に出す切開排膿処置します。その後、炎症が落ち着いたら、粉瘤を取り出す手術をする必要があるでしょう。
ここでは、抗生剤治療、手術法のくりぬき法、切開法について解説します。

抗生剤治療

粉瘤の中でも3㎜以内で小さいものや、炎症があって軽い場合には抗生剤を投与し、炎症の鎮静化を図ります。ただ、抗生剤治療による効果は限定されており、根治できないと考えられています。炎症が中等度の場合には抗生剤の投与ではほとんど効果がなく、痛みが続く場合があるでしょう。
手術をすぐに行うことで痛みが長引くことはないため、抗生剤治療をおすすめしていない医師もいます。抗生剤の治療後には、手術にて粉瘤の構造物や袋そのものを取り除くことが必要です。

くりぬき法

特殊な器具(トレパン)で粉瘤の中心に4~5㎜程度丸く切開し、そこから構成物(膿、皮脂、角質)を取り除きます。粉瘤を構成している壁まで全て取り除く手術法であり、炎症がある場合にも粉瘤を完全に取りきれます。また、傷口が小さいため縫合する必要がなく、後述する「切開法」と比較して傷跡が目立ちにくいでしょう。手術時間も、短時間で終了するため、患者への負担も少ないと言われています。くりぬき法のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット
● 炎症があっても手術可能
● 傷跡が小さい
● 手術は1回で終わる
● 5~20分程度で終わる
● 炎症の引きが早く、回復が早い

デメリット
● 大きな腫瘍(5㎝以上)には適応していない
● 炎症を何度も繰り返している硬い粉瘤には適応していない
● 周囲との癒着が強い粉瘤には適応していない
● 癒着している場合に取り残しが発生することがある
● 取り残した場合には再発のリスクがある
● 熟練した技術が必要

手術後は、3~5日程度は傷に少量の出血があるため、ガーゼ保護や絆創膏を貼りかえる処置する必要があります。傷に問題がなければ、翌日からシャワー可能であり、傷は石けんをつけて優しく洗い流しましょう。傷は、通常1~2週間で治ります。自分の粉瘤がくりぬき法の適応になるかどうかは病院を受診して判断してもらいましょう。

切開法

メスで粉瘤の周囲を切開し、中に溜まった膿や皮脂、垢などを丸ごと取り除きます。ただ、粉瘤の壁の部分は皮膚に残ったままなので、いずれは再手術する必要があるでしょう。また、粉瘤の壁部分が残っていると、炎症反応は続き痛みが引くまでには時間がかかると考えられています。粉瘤の大きさに傷を切開するため、くりぬき法よりも傷が大きくなります。切開法のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット
● 手技が簡単

デメリット
● くりぬき法よりも傷が大きくなる
● 粉瘤の壁があるため、炎症が続く
● 再手術する必要がある

傷が落ち着いてから2~3ヶ月後に再度手術をします。日本では昔から最も多く行われている手術法ですが、経過が長くなるためできるだけくりぬき法を行い、1回で済ませる方がよいでしょう。

まとめ

粉瘤が突然できて、痛みが出てきた場合には、炎症を起こしている可能性が高いでしょう。そのため、なるべく早く他の疾患と見分けて、すぐに治療を開始する必要があります。病院を受診して、粉瘤の炎症程度に応じた治療を選択するようにしましょう。

院長紹介

日本形成外科学会 専門医 古林 玄

東京皮膚のできものと粉瘤クリニックふるばやし形成外科 新宿院 院長 古林 玄

私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。

がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。

この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。