ニキビやできものがあると、自分で潰してしまうことってありますよね?
もちろん、ニキビであっても自分で潰すと、皮膚を傷つけたり雑菌が入り、治りにくくなるだけでなく、ニキビ痕が残るころもあります。
しかし!!そのできものがよく似た粉瘤だった場合、もっと大変なことになりかねません
粉瘤をニキビなどと同じ感覚で潰してしまうと、破れた箇所から細菌が中に入り込みやすくなり、感染して炎症を起こす可能性があります。
炎症を起こすと腫れあがって化膿し、痛みや発熱に繋がることがあるのです。
そうは言っても、初期の粉瘤とニキビやできものを見分けることは困難です。
そこで、この記事では粉瘤の対処法から、ニキビとの見分け方まで詳しく解説しています。
心配や不安のある方は、是非この記事を最後まで読んでいただき、参考にしてみてください。
粉瘤について
粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下に袋状の組織ができ、その中に垢や皮脂などの老廃物がたまってできる良性腫瘍です。
粉瘤は自分で潰したら悪化する⁉
粉瘤は袋状の組織に老廃物が溜まることで肥大化し、直径10㎝を超えるものもあります。
老廃物は皮膚が作り出した垢や脂などのゴミです。
自分で粉瘤を潰すと袋状の組織が破れ、皮膚に中にゴミが撒き散らされてしまうのです。
これによる異物反応によって炎症が起こってしまうのです。
粉瘤の影響
粉瘤が皮膚を隆起させるほどの大きさになると、腐敗した魚のような臭いを発するようになったり、袋状の組織の破壊や細菌の感染により炎症を引き起こす可能性があります。
また、人間の身体はなんとか皮膚からゴミを排出する為に、炎症を起こし、皮膚に穴を開けようする防衛反応があります。
こういったことで炎症が起こると、赤くなり、痛みが出ます。
お尻だと座れない方や、脇だと手が挙げられなくなる方もいらっしゃいます。
また、背中は皮膚が分厚いため、なかなか皮膚に穴を開けることができずに炎症が続くと、ばい菌が全身に回り、発熱を起こすこともあります。
こうなれば抗生剤の点滴が必要になることもあります。
炎症後は色素沈着が残ったり、傷が硬く、ケロイドになることもあります。 このようなリスクは炎症の期間や強さが影響するため、早めに膿を出したり、炎症を抑えることが重要になります。
また、粉瘤は良性の腫瘍ですが、極稀に癌化することもあるのです。
ですので、気になるできものがあれば、炎症が起こる前に早めに近くの病院にいらしてみてください。
原因
粉瘤については、はっきりとした原因は未だに解明されていません。
粉瘤は毛穴の有無に関わらず、皮膚のどこにでもできる可能性があります。
皮膚のターンオーバーで本来剥がれ落ちるはずだった古い角質や皮膚などが、傷口や毛穴から入り込むことで出来ると考えられています。
そのため、汗や皮脂などの分泌物が多い体質の方や、暴飲暴食や不健康な生活をしているホルモンバランスが崩れていたり分泌物が増えている方は、粉瘤が比較的できやすいのです。
粉瘤とニキビの違い
初期の粉瘤はニキビとよく似ています。 ニキビと勘違いして粉瘤を軽視してしまっている方も多くいるでしょう。
そこでニキビと粉瘤の見分け方や違いを解説していきます。
ニキビの原因
粉瘤とニキビは医学的に言えば全く異なる疾患です。
ニキビの主な原因は、毛穴にある皮脂腺が過剰に分泌されることなどして毛穴が詰まることです。
これにより毛穴に溜まった皮脂が細菌感染し炎症を起こすことで赤く腫れ、痛みや痒みなどの症状が表れます。
ニキビは毛穴・皮脂腺さえあればどこにでもできる可能性がありますが、特に顔、中でも額、鼻やあごなど皮脂腺が多い部分にできることが多いです。
粉瘤とニキビを見分けるポイント
できもの表面の黒い点
粉瘤には皮下に袋状の組織があり、その開口部が皮膚表面に現れ、これを一般的に粉瘤の「へそ」と飛びます。
へそは黒い点のように見えることが多く、これは開口部をふさいでる皮脂や老廃物が酸化したものです。
ニキビにも黒い点ができますが、初期のニキビはこの点が白っぽいことが多いため、見分けることができる場合があります。
サイズ
粉瘤は10㎝以上の大きさになるものもあり、ニキビとは明らかに異なる場合があります。ニキビの大きさは1㎝未満のことがほとんどですから、見分けるポイントになります。
悪臭がある内容物
粉瘤の内容物は垢や皮脂などの老廃物です。 圧迫されたり意図的に押し出したりすることで内容物が出てくることがあり、独特の臭いを発します。 さらに炎症を起こす内容物が出たり触れたりしなくても臭いを発することがあります。
ニキビにはこのような臭いがありませんから、これも見分けるポイントになります。 ただし、あまり臭いがしない粉瘤もあるため注意が必要です。
粉瘤は自然には治らない
粉瘤は自然に治ることはありません。
根治にはクリニックでの手術が必要になります。
皮膚の下にある袋状の組織を外科手術で摘出しなければ粉瘤は根治することはなく、再発を繰り返す可能性があるのです。
当院の粉瘤治療は「くりぬき法」と「切開法」という2種類の手術方法を用いています。
くりぬき法
特殊な器具を用いて皮膚に素早く小さな穴を開けて、そこから粉瘤の内容物を絞り出し、その後しぼんだ袋状の組織を引き抜く方法です。
手術時間は5分~20分と短時間で施術が可能で、患者様の負担も少ない方法です。
切開法
粉瘤直上の皮膚を切開し、粉瘤をまるごと摘出する手術法です。
再発する可能性が低いため、患者様の状態によっては切開法を選択する場合があります。
粉瘤の予防法
粉瘤に限らずあらゆる病気やトラブルを防ぐためには生活習慣の改善が必須です。
粉瘤ができやすい体質の方やそうでない方も、日頃の生活習慣を見直してみてください。
スキンケア
脂性肌の方や、日頃運動など大量に汗をかく方、現在であれば外でマスクを着けて家に帰宅した時に、洗顔やシャワーを浴びるなど常に肌を清潔に保つことが重要です。
また怪我などがある場合も、絆創膏などで保護してあげると良いでしょう。
食生活
唐揚げを食べ続けるなど、偏った食事をしていると、皮膚分泌が増えたり、コントロールする栄養素が不足する可能性があります。
ですので、バランスの取れた食事をすることが大切です。
健康的な生活
夜更かしによる睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスの崩れや皮膚のターンオーバーのサイクルを乱すことに繋がります。
当院の特徴
特徴1:入院が不要!日帰り手術に対応
当院では、たとえ炎症性の粉瘤であっても基本的に日帰り手術が可能です。
事前の診療で粉瘤の大きさや数、炎症の有無などを確認し、日帰り手術が可能か否かを慎重に判断します。
患者様の日常生活になるべく影響がないように「日帰り手術」にこだわっています。
手術に全身麻酔が必要な場合や悪性腫瘍の疑いがある場合などは提携している大学病院などをご紹介させていただき、安心で円滑な治療を心掛けています。
特徴2:痛みを軽減させる手術
手術の際は局所麻酔を用いて痛みを軽減させます。
局所麻酔を注射する際も、極細の針を使用し薬剤の配合も工夫するなど痛みを軽減する配慮を行っています。
痛みが苦手な方はお気軽にご相談ください。
個別の対応も可能ですので、痛みを軽減するための様々なご提案を行います。
院長紹介
日本形成外科学会 専門医 古林 玄
私は大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院、市立奈良病院を経て東京へ行き、がん研有明病院、聖路加国際病院で形成外科の専門医として様々な手術の経験を積んできました。
がん研有明病院では再建症例を中心に形成外科分野の治療を行い、乳房再建および整形外科分野の再建を中心に手術を行ってきました。聖路加国際病院では整容的な面から顔面領域の形態手術、また、先天性疾患、手の外科、全身の再建手術に携わって参りました。
この経験を活かし、全身における腫瘍切除を形成外科的に適切な切除を目指し、傷跡の目立たない治療を提供できればと考えております。