背中にできた粉瘤の治療方法や期間について解説

『背中に違和感があると思ったらしこりのようなものができていた…』
『リュックを背負った時に痛みがあると思って家族に見てもらったら背中が腫れていた…』
このように、いつの間にか背中にできた『腫れ』に気付き、驚きと同時に不安を抱く方もいらっしゃることでしょう。

粉瘤(アテローム)の好発部位である背中は自身では見えにくいため、発見が遅れることもしばしばあります。
そのため、気付いた時にはすでにある程度の大きさになっていることが多い傾向にあります。

しかし、放っておくと肥大化したり、炎症を起こして痛みを伴ったりすることがありますので早めに医療機関を受診することが望ましいです。
今回は、背中にできた粉瘤の治療方法や治療にかかる費用や日数を分かりやすく解説していきます。

このページでわかること

■ 背中にできた粉瘤の治療方法
■ 治療にかかる費用と治療にかかる日数の目安
■ 背中にできた粉瘤の治療後の注意点

粉瘤とは

はじめに、粉瘤とはなにか簡単に説明します。

粉瘤(アテローム)は、表皮嚢腫ともいわれ、皮下にできる良性の腫瘍のことをいいます。
なんらかの原因により皮下にできた袋の中に皮脂や角質(垢)といった老廃物が溜まることで腫瘍化します。

症状としては、最初は無症状のことが多いため、背中など自身から見えにくい場所にできると、かなり大きくなるまで気付かないこともしばしばあります。

また、放置しておくと、どんどん大きくなったり、臭いを発するようになったり、細菌などの感染により炎症を引き起こしたりする可能性もあります。
粉瘤は皮下にできた袋の中に皮脂や角質(垢)が溜まって起こる腫瘍であるため、根本的に治療するには手術が必要です。

背中にできた粉瘤の治療方法

背中にできた粉瘤も、他の場所にできた場合と同じように根本的治療には、手術法を用います。
手術には”切開法”と”くりぬき法”の2種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

切開法のメリットとデメリット

切開法の最大のメリットは、”再発する可能性が低い”ことです。
なぜなら、切開法は粉瘤の直径と同じくらい切開するため、粉瘤を袋ごとまるまる取り出せるからです。
袋をそのまま取り出すことができれば、そこに皮脂や角質が溜まらなくなるため、再発することはありません。

また、粉瘤の大きさや皮膚との癒着状況の強弱に関わらず、あらゆる粉瘤に対応できることもメリットとして挙げられます。

一方で、デメリットもあります。それは”傷跡が大きくなる”ことです。
傷跡が大きくなるといっても、できた粉瘤の大きさによりますので、粉瘤が小さければその分、傷跡も小さくなります。

くり抜き方のメリットとデメリット

次に、くり抜き法のメリットですが、それはなんと言っても”傷が小さくて済む”ことです。
なぜならくり抜き法は、粉瘤の真ん中のヘソと言われる部分をわずか4〜5mmほど丸く切開し、そこから粉瘤の内容物と袋を取り出す手術法だからです。

くり抜き法の手術方法としては、
①粉瘤の周りに麻酔を行います(もちろん切開法も麻酔を行います)。
②トレパンといわれる特殊な器具もしくはメスを用いて小さな穴をあけます。
③切開した小さな穴から内容物を押し出します。
④内容物を押し出したあとに、その周囲をよく揉むと袋の一部が剥がれてくるため、丁寧に剥がし、袋を取り出します。
⑤しっかりと止血を行い、切開した傷を丁寧に縫合します。

ここまで見ると、「くり抜き法がいいじゃん!」と思われるかもしれませんが、デメリットもございます。
それは、切開法に比べて再発の確率が高いことです。内容物を取り出すための穴が小さいため、場合によっては袋が残ってしまい、再発する可能性があります。
また、大きな粉瘤や皮膚との癒着が強いものなどはくり抜き法では対応ができない場合もあります。

結局どっちの方法がいいの?

顔や首、腕など傷が目立ちやすいところにできた粉瘤を摘出する場合や、小さめの粉瘤を摘出する場合はくり抜き法を選択する場合がほとんどです。
しかし、背中は傷が目立ちにくく、ある程度大きくなってから治療される方が多いため、再発の可能性が低く、確実に摘出することができる切開法を選択される方もいらっしゃいます。

いずれにしても、診察の際に患者様のご希望やライフスタイルをおうかがいしながら、どちらの手術方法が適しているか見定めていきます。

当院の治療の特徴

当院における治療の特徴として、3つご紹介します。

まず1つ目は、麻酔には極細針を使用していることです。
手術を行う際には局所麻酔を行いますが、注射による痛みを軽減するために通常よりもかなり細い、極細針を使用しています。痛みが苦手な方も安心して手術を受けることができます。

2つ目は、傷跡が目立たないことです。
いくら背中とはいえ、傷跡は小さい方がいいという方が多いのではないでしょうか。当院では、切開した箇所を縫う際に、皮膚にシワを作らないようデザインをした上で縫合するため、傷跡が目立ちにくくなります。

3つ目は、土日対応をしていることです。お仕事が忙しくなかなか休めない方や、土日しかまとまった時間が取れないという方にも安心して診療を受けていただくことができます。
また、背中に粉瘤ができたと気付いた時にはすでに、痛みが出ていたり、腫れが伴っていたりすることがあります。そのような場合は、早めの治療が必要となるため土日であっても遠慮なくお問合ください。

背中にできた粉瘤の治療にかかる費用と日数の目安

治療にかかる費用は小さいほど安く抑えられる

粉瘤の治療にかかる費用は場所と大きさによって異なり、背中の場合は”非露出部”になるため、露出部にできた粉瘤の治療費と比べると安くなります。
また、できた粉瘤が小さいほど治療費が抑えられるため、費用の面からしても早めの治療をおすすめしています。

切除した粉瘤の直径の合計 3割負担の場合 1割負担の場合
3cm未満

4,000〜5,000円程度

1,500円程度

3cm〜6cm未満 10,000〜11,000円程度

3,500円程度

6〜12cm未満 12,000〜14,000円程度 4,500円程度
12cm以上

25,000円程度

8,000円程度

※上記手術費用に別途、診察料1,000円、検査費用1,000円、病理検査費用3,000円が加わります

治療は基本日帰り対応、所要時間は5分〜20分

背中のように比較的大きな粉瘤ができやすい場所であっても、基本的には日帰り手術が可能です。
事前に行う診療で、粉瘤の大きさや数、炎症の有無を確認し、日帰り手術が可能かどうか慎重に判断します。

治療後の注意点

手術後の注意点

術後は以下のことを患者さまにお願いしています。

①入浴‥傷口からの感染を予防するため、抜糸をするまで湯船に浸かることはお控えください。ただし、シャワーであれば翌日から可能です。
②運動‥背中は運動により皮膚の伸び縮みが起こりやすい場所なため、出血する可能性があります。手術当日と翌日、場合によっては抜糸するまで控えていただくことがあります。
③飲酒‥お酒を飲むと血行が良くなり、血腫のリスクが高まるため手術当日と翌日は控えるようにしてください。

手術後に起こりやすい合併症

術後は以下の合併症が起こりやすくなる可能性があります。

①血腫‥縫合した場所に血のたまりを作ってしまうことがあります。ドレーンという細いストロー状のチューブを使用することで予防できるため、必要に応じて適用します。
②化膿‥炎症性粉瘤を摘出する場合に、化膿することがあります。化膿した場合でも、投薬治療や時期をおいてあらためて手術することで傷は治りますのでご安心ください。

このページのまとめ

今回の内容をまとめると、

①背中にできた粉瘤の治療方法
■手術方法は、再発の可能性は低いがくり抜き法より傷跡が大きくなる切開法と、傷跡は小さいが再発の可能性があるくり抜き法がある。
■いずれにしても、診察時に患者様のご希望やライフスタイルによって慎重に見定めていく。

②背中にできた粉瘤の治療にかかる費用と目安
■粉瘤の治療にかかる費用は場所と大きさによって異なり、背中の場合は”非露出部”になるため、露出部にできた粉瘤の治療費と比べると安い。
■できた粉瘤が小さいほど治療費が抑えられるため、早めの治療がおすすめ。

③治療後の注意点
■入浴は感染予防のため、抜糸をするまではシャワー。
■背中は運動により皮膚の伸び縮みが起こりやすい場所なため、抜糸をするまで控えていただくこともある。
■お酒を飲むと血行が良くなり、血腫のリスクが高まるため、手術当日と翌日は控える。

背中にできた粉瘤は、気づいた時にはある程度の大きさになっていることが多く、びっくりされる方も多いと思います。
当院は、大きな粉瘤であっても日帰り手術が可能であり、土日も診療しているため、治療を検討されている方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。