粉瘤は放置してはいけない!症状から治療法まで形成外科専門医が解説

できものが出来たけど、仕事で時間もないし放っておけば治るだろうと考えている人は、多くいると思います。
しかしできものを放置しておくことは、時として大変危険です。
できものを放置した結果、炎症を起こし腕が上がらない程の痛みになってしまった方など、多くいます。

特にそのできものが「粉瘤」であった場合、自然に根治することはありません。
自然に根治できないからこそ私生活に影響が出る前に早めに、病院で診察を受けることをおすすめします。

この記事では、「粉瘤」について、症状や原因まで形成外科専門医が詳しく解説します。

粉瘤とは

粉瘤(アテローム)は、表皮嚢腫とも呼ばれる良性腫瘍のことを指します。
皮膚の下に袋のような組織が形成され、皮脂や角質といった老廃物が溜まることでできます。

はじめはニキビと似た大きさですが粉瘤が成長すると大きくなり、炎症によって化膿し強い痛みや腫れが生じることがあります。
また炎症を繰り返すと、元の状態に戻すことができないこともあるため、早めの診察が重要です。

粉瘤は放置してはいけない

粉瘤は放置しても完全に治ることは、ありません。
老廃物を外に出したりしても、皮膚下にある袋状の組織に老廃物が何度も溜まり続けるからです。
そのため、袋状の組織をクリニックで摘出する必要があるのです。

粉瘤のサイクル

粉瘤は、どのように進行していくのでしょうか。
粉瘤の成長サイクルについて、紹介します。

定常期

低上記は痛みなどの症状がない状態です。
粉瘤自体もニキビのような大きさで、患者自身で見分けるのは難しいです。

炎症期

炎症期では軽い炎症が起きている状態で、強い痛みはありません。
特に大きな変化は感じることはなく、膿などの確認はできません。
一方で硬いできものができていると認識できる段階です。

感染・膨脹期

感染・膨張期では炎症が増し、強い腫れや強い痛みを感じます。
袋の中はブヨブヨとした液体の膿があり、自分で確認ができます。

炎症期から感染・膨脹期の粉瘤を炎症粉瘤と呼びます。
この状態になると初期の粉瘤と比較して何倍にも腫れ上がり強い痛みを感じることがあります。
粉瘤が関節などのデリケートな部分にでき、腕や足を挙げられない、座れないほどの痛みを感じる人もいます。

この状態で放置すると悪化し、袋状の組織が壊され、膿が溜まった膿瘍になってしまいます。
さらにこの膿瘍が壊されると、皮膚の組織が壊され壊死していきます。
壊死が起こると、炎症粉瘤が治った後も色素沈着を残し瘢痕となってしまうことがあるのです。

破裂期

袋の中に膿が溜まり過ぎて、破裂した状態です。
膿などの内容物が外に出ることによって、炎症などの症状が治まる方向に向かいます。

治癒期

膿を出し切ったあとで、炎症や腫れが無くなっている状態です。
治癒期になっても袋状の組織は残っているため、放置すれば再発をする可能性があり、定常期に戻りサイクルを繰り返すことになります。

粉瘤は自分で潰してはいけない

粉瘤は自分で潰しても根治することなく、デメリットすらあります。
ニキビだと勘違いして、自分で粉瘤を潰して膿を出そうとする方もいると思います。
しかし袋状の組織を摘出しない限りは、粉瘤は根治しません。

また自分で潰してしまうと、細菌感染や皮膚に傷を付けてしまい炎症を起こすリスクもあります。
粉瘤の疑いがあるできものは、痛みや腫れがなくても早めにクリニックで判断してもらうことをおすすめします。

私生活にも影響?粉瘤の特徴

粉瘤は症状が悪化すると痛みだけでなく、治療後にも影響が出ることや、第三者に悪影響を及ぼす可能性があります。

瘢痕が残る

粉瘤が炎症を繰り返すと色素沈着が残ったり傷が硬くなることがあります。
「あの時粉瘤を放置しなければ、この痕は無かったのに」ということにならないためにも早めに適切な処置をするようにしましょう。

独特な臭い

粉瘤の特徴として大変強い独特な臭いを発することです。
臭いを例えると、腐ったたんぱく質のにおいなどに似ています。
これは粉瘤の中の老廃物が表面に出てきた時、また炎症が起こっている場合は老廃物が外に出ていなくても臭いを発する場合があります。
この臭いによってご自身だけでなく、周りにも影響を与えてしまうのが粉瘤ですので、注意が必要です。

粉瘤の特徴と見分け方

ここまで粉瘤の構造や症状について、解説してきました。
ここでは、粉瘤を見分けるポイントとよく勘違いされるニキビとの違いを解説していきます。

表面の黒い点

粉瘤は袋状の組織の開口部が皮膚の表面に現れます。
これを粉瘤の「へそ」と呼び、粉瘤を判断するポイントにしています。
開口部がふさいでいる皮脂や老廃物が酸化することで、多くのへそは黒い点のように見えます。
ニキビにも黒い点ができますが、初期のニキビはこの点が白っぽいことが多いため、見分けることができる場合があります。

サイズ

粉瘤は、10㎝以上の大きさになるものもあります。
ニキビは1㎝未満であることがほとんどのため、粉瘤とは明確に異なるポイントです。

悪臭がある内容物

老廃物が表面に出てきた時や、炎症が起こっている場合は外に出ていなくても臭いを出します
ニキビには臭いがないため、これも見分けるポイントになります。
ただし、あまり臭いがしない粉瘤もあるため注意が必要です。

粉瘤の原因と対策

皮膚の入れ替わりで剥がれ落ちる予定だった古い角質や皮膚などが毛穴や傷から入り込むことで、毛穴に関係なく全身に粉瘤ができるとされています。
一方で炎症を引き起こす要因は「防衛反応」と「異物反応」の2つがあります。

防衛反応

皮膚表面には数多くの細菌が常におり、これを常在菌といいます。
常在菌は悪玉菌などから肌を守ってくれる重要な存在ですが、菌が増えやすい環境である粉瘤の中など特殊な状況でに拡大に数を増やすと人間の免疫機能が細菌を取り除こうと防衛反応を示します
その反応が炎症という形で症状に現れます。

異物反応

また老廃物が溜まった袋状の組織が圧力を受けて、組織が潰され内容物が漏れ出すと異物反応により、炎症を起こすケースもあります。
細菌は防衛反応よりも異物反応が理由で起こる炎症が多いと考えられています。

粉瘤になりやすい環境とは?

このような粉瘤は、どういった環境で発症しやすいのでしょうか。
体質で汗などの分泌物が多い方や暴飲暴食などで不健康な生活をしてホルモンバランスが崩れている方は、粉瘤ができやすい傾向にあります。

改善するためには、スキンケアやバランスの取れた食事、健康的な生活などを心掛けることが大切になります。
粉瘤や他の病気やトラブルであっても生活習慣を整えることは大切です。
これを機に日頃の生活習慣を見直してみてください。

粉瘤の治療方法

当院では粉瘤の治療を「くりぬき法」「切開法」という2つの術法を用いています。

 くりぬき法

・特殊な器具を用いて皮膚に小さな穴を開ける
・開けた穴から粉瘤の内容物を絞り出す
・最後にしぼんだ袋状の組織を引き抜く
手術時間は5~20分と短時間で施術が可能で、患者の負担も少ない方法です。

切開法

粉瘤直上の皮膚を切開し、粉瘤全体を取り除く方法になります。再発の可能性が低い方法になるので、患者様の状態を医師が診て選択する場合があります。
炎症がある場合は、袋状の組織を切除することが困難になりますが、可能な限り腫瘍を摘出します。
術後も基本的には約1ヶ月後の再診のみとなります。

※詳しい治療法と費用はこちら

当院の特徴

ここまで粉瘤について詳しく解説してきました。
当院では忙しい方や手術に不安を抱えている方でも、安心して治療できるように努めています。

特徴1:入院不要!日帰り手術に対応

多忙で時間が取れない方もいると思います。
当院では、炎症のある粉瘤だとしても基本的に日帰りでの手術が可能です。
診察時に粉瘤の規模や炎症の有無を確認し、日帰りでの治療が可能かを慎重に判断します。

特長2:痛みを軽減させる手術

手術は局所麻酔は、使用して患者様の痛みを軽くします。
麻酔の注射時も極細の針を使用することや、薬剤の配合にも工夫することで、痛みに配慮した治療を心掛けています。
個別の対応も可能なため、痛みを軽減するための様々な提案を行います。

特徴3:SNSで院長自らが粉瘤を解説

当院では院長自ら、実際の治療映像と共に解説しています。
約30万人の方が登録しており、頻繁に情報を発信していることからも安心して来院していただけると思います。
できものや粉瘤について少しでも不安がありましたら、お気軽にご相談ください。